ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

バタフライ・エフェクト

は: 続いてもう一本参りましょう、昨年のナンバー1ミステリ作品との噂もある「バタフライ・エフェクト(The Butterfly Effect)」でございます。ご主人様、大変楽しみにしておられましたので、てっきりこれが今年初のレビューになるかと思っておりましたがーー、
ゆ: う~ん、期待が大きかっただけに考え込んじゃったよ~、まだ評価に迷うところはあるんだけど、ハッキリ言って、個人的には駄作だと思います。
バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション
バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション

物語の主人公エヴァンは、ごく普通の少年だった・・・時折、記憶を喪失“ブラックアウト”してしまうことを除いて。精神科の医師は彼に、治療のために毎 日、日記をつけることをすすめる。やがて時は過ぎ、記憶が失われることの多かった日々はすっかり過去のものとなっていた。そんなある日、大学生になったエ ヴァンは、7歳の頃からつけていた日記を見つける。その日記を紐解いたとき、いつしか彼の意識は日記を書いた当日の陽光の中にあった。忘れていた、ある出 来事が鮮烈に蘇る。幼馴染みの少女ケイリー・・・そしてエヴァンと彼女が引き裂かれることになった決定的な理由。“君を迎えに来る”・・・かつてその約束 を果たせなかったエヴァンは彼女への思いゆえ、ある選択をする。それが取り返しのつかない新たな状況を引き起こすとは夢にも思わずに・・・。(Cinema Topics Onlineより)

は: 主人公が過去を変えようと努力するタイム・トラベルSFものと考えても良いような映画でございました。ミステリとしてもSFとしても良質なよく考えられたプロットと社会的問題への言及、そして三世代の主人公とヒロインの熱演で、はむちぃメは良くできた映画と思いましたが。
ゆ: 一般的評価を要領よくまとめたようなコメント有難う、ハムチイ君。私が疑問に思うのは、「バタフライ・エフェクト」という題名と、主人公の動機と行動の正当性なんだよね。
は: 「バタフライ・エフェクト」というのは

蝶々の羽ばたきが、時と場合によっては地球の裏側で台風を起こすこともある、というカオス理論である

と冒頭にクレジットが出ましたね。些細なことでもあとでとんでもない事態を惹き起こすということで、この映画の場合は、主人公が過去の重要なポイントで過去と違った行動をすることにより、目覚めて大学生に戻った時に今までと状況が全く変わっている、ということでございました。
ゆ: それなんだけど蝶々の羽ばたきというのは

1:ほんの些細な力である
2:意図された行動ではない

という特徴があるはず。結果に比して最初は全く偶然の僅かなアクションに過ぎないはずなんだけど、この主人公の場合、明らかに未来を変えようと意識しているし、全く偶然に過去に戻るのではなく、記憶を無くすほどの重大事件の現場へしか戻ら(れ)ない。ところがその結果は、地球全体が激変するようなものではなく周囲の人間の状況が変わるだけだろう。
 はっきり言ってドラエモン並の確信犯にしてセコさじゃないか。どこがバタフリャーエフェクトなんだ?
は: ご主人様、名古屋弁が入っております(ーー;)じゃあどんなのがバタフライ・エフェクトなんですか?
ゆ: 昔どこかで読んだSF小説でこんなのがありましたな、

時代旅行に出かけた主人公が恐竜時代に誤って一個の靴跡を残してしまった。歴史が変わっていないか心配した主人公だが無事現在に戻ってきた。ところが新聞を見るとーーアメリカ大統領の名前が先日敗北した筈の対立候補に変わっていた。

これならばバタフリャー・エフェクトと呼んでもいいと思うぞ。

は: ご主人様そんなにエビフリャーが食べたいんでございますか?でもまあ、なるほど納得いたしました。で、行動の正当性の問題ですが。
ゆ: タイム・パラドックスに抵触するので

過去に返る能力があっても過去を操作してはならない

と言うのが大前提のはず。それを、彼女をはじめとして僅か三家族の平和のために何回も歴史を変えようとする主人公は、悪いけど(映画中でも第三者に指摘されてますが)精神的に問題のある患者としか思えない。何回目かのタイム・トリップの時に友達から「そんなに自分たちのことばかり考えてないで、自分たちが犠牲にした親子のことも考えてやれよ!」と怒鳴られる始末。どう考えても感情移入しにくかったし、どこが

感動的な至高の愛の物語、で
映画史上最も切ないハッピーエンド

なんだよ(-_-メ)、と突っ込みたくなりました。ましてや別バージョンのエンディングのおまけなど、言語道断。もっと別の展開のシビアなエンディングを用意しているのか、と期待してたのに!
は: どんなエンディングなら納得されるのでございます?
ゆ: やっぱり主人公は精神病ですべて彼の妄想だったという、ラスト一本前の世界が真実だった。と言うのなら納得します。ただ、理論的に言うと、主人公はそこへもたどり着けない筈だったんだけど。

は: と、申しますとプロットに欠陥があると?
ゆ: そう、ネタバレになるから言わないけど、一回だけ本人の状況しか設定の変わらないタイム・トリップがあるんだよね、毎回毎回変えといてあれは納得できない。
は: はぁ、相変わらず理屈っぽいご主人様ですが、かなり期待はずれでガックリしておられますのはお気の毒でございました。

ゆ: まあ、あくまでも個人的な感想で、見ようによってははむちぃの言うとおり、良くできた映画です。
 と言っておきながらもひとつ文句言ってもいい?(^_^;)
は: どうぞどうぞ、こうなったらおつき合いしますですよ、何かまだおかしいところがございましたか?
ゆ: 主人公のMR所見なんだけど、見る人が見れば笑っちゃうぞ!

をい、そこのお医者さんよ、難しい御託並べて主人公に突っ込まれてる暇があったら、さっさと手術してやれよ

という所見なんですよー(>_<)、よくもまああんなMR持ってきたなあ、それともCG合成なんだろうか?