ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

キースとロンのバッド・チューニング

ロカ
ロカ

 昨日の続きになりますが、中島らもの絶筆「ルカ」からの話題です。この作品もらもさんらしく、麻薬、酒、食べ物、マスコミ、そして音楽等の薀蓄のオン・パレードとなっています。
 麻薬や酒の薀蓄が既に過去の作品で頻出していること、文章に彼の実生活の影響がでているような乱れがあること等、本の帯で

間違いなく彼の代表作である

と謳っているのは明らかにおかしい、とは思いますが、さすがロッカーだっただけのことはあり、こと音楽に関する話題だけはやはり楽しいです。楽譜も2箇所で出てきますし、題名のルカからして、主人公の爺さん愛用のダブルネックギターの愛称なのです。

 そのような多岐にわたる音楽、特にロックの話題の一つにザ・ローリング・ストーンズのギター・チューニングの話題があったのでご紹介したいと思います。
 ストーンズのリード・ギター、キース・リチャーズは知る人ぞ知るヘロイン中毒でしたし、リズム・ギターのロン・ウッドもいかにも不良上がり。そんな二人でも本番前は本当に念入りなチューニングをするそうです。それも、本チャン、スペアの2本のエレキギターの他に、オープンDチューニング一本、オープンGチューニング一本、そしてアコギと最低でも一人5本は行うという大変な作業。
 そしてそれからが凄いのですが、そのあと二人で完全に合わせた後、なんと両手でギターを高々と持ち上げ、それを降り落として尾部を床にゴーンとぶつけてわざとチューニングを狂わせるのだそうです。キースはこう言うそうです。

ロックなんだ。多少狂ったバッド・チューニング。それがロックの音なんだ。

 いやあ、カッコイイですねえ。でも、彼らにはChuch Mageeという素晴らしいギター・テクニシャンがついていたはず。2年前の来日コンサートの直前に急逝されたためメンバーが大変な衝撃を受けた、というのは有名なエピソードでした。コンサートのパンフレットにわざわざ追悼の写真が載っていてこんなコメントがあります。

This man was indeed the salt of the earth

らもさんの話のほうがずっとかっこいいけど、おそらく昔の話なんじゃないかな。

このほかにも「カラミア・チューニング」というユニークなギター・チューニング方法の紹介があったり、音樂(特にロック)ファンには結構楽しめます。らもさんのヨタを笑って許せる方なら、読んでみてください。