もう終わるだろう、もう終わるだろうと思いつつ読み続けてきた浦沢直樹の「Billy Bat」、ついに第20巻を持って完結しました。とりあえず浦沢直樹、長崎尚志両氏お疲れ様でした。
「 さらばビリーバット!! さらば人類!!
下山事件、月面着陸、十字架の救世主、伊賀の乱、ケネディ暗殺、フランシスコ・ザビエル、東京オリンピック、アインシュタイン、ヒトラー、関東大震災、9・11同時多発テロ……そして相次ぐ戦争……崩壊する文明!!
砂塵と砂嵐と戦争と。地球は終焉へ一直線に向かっていた。 (コミックス帯より)」
前巻で役者は全て揃い、あとはケヴィン・グッドマンがバスク地方の洞窟で見えなくなっていたビリー・バットに再会するだけ、と思っていました。。。
が、いきなりケヴィンの学生時代の恋人で現在は弁護士のモニカ・マウラという「この期に及んでまさか」の新キャラが登場。もう地球上の殆どの利権やエネルギー、資源を握っているカルキン・エンタープライズ総帥ティミーと真っ向から対決します。
一方のケヴィンは洞窟の中でエクストラスーパームーンの月光の光とともに降臨した、ビリー・バット(バッツ?)とついに再会。ここがこの巻の肝ですので詳細は伏せますが、とにもかくにもこれをきっかけに再びケヴィンは執筆を再開、紙媒体を手に入れるのも大変な中、師匠のケヴィン・ヤマガタと同じ100歳で天寿を全うするまでビリー・バットを描き続け、あの「ファラオの呪い」を完結させます。
その後の地球は「砂塵と砂嵐と戦争」の荒廃した世界へと突き進み、「ファラオの呪い」解決編の一冊を巡る2063年のあるエピソードに収斂していきます。
「もう俺がどうこうできもんじゃねえ」
「結末はおまえらが決めるんだ」
ここまで引っ張りに引っ張っといてビリーバットの決め台詞がこれかよ、と思わないでもないですが、とにかく数あるパラレルワールドの中で地球が残っているのはこの世界のみなのですから、2064年の少年の
「僕・・・・・・世界を救うよ」
は、20巻の掉尾を飾るに相応しい言葉だったと思います。
それにしても約50年とは、まあ物凄く端折ったもんです。浦沢直樹がまた大風呂敷を広げすぎて失敗した、なんて批判は出るでしょう。事実、最初と最後の落差が激しすぎるという批判も既にアマゾンレビューにも出ています。しかしまあ、個人的にはとにかくここしか落としどころがなかったんだろう、ということで一応納得できる終わり方だったと思います。
いや、思い込もうとしています、かな。