ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

King Crimson Lineup VIII @ 大阪フェスティバルホール

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 久々にロバート・フリップ翁率いるKing Crimsonが来日しました。メンバーの変遷を繰り返してきたKCですが、今回はLineup VIIIとなります。前回大阪でLineup VIを見たのが2003年でしたから実に12年ぶりの来日公演となります。前回はエイドリアン・ブリューがアンコールでデヴィッド・ボウイの「Heroes」を歌ったのが印象に残っていますが、とにもかくにも新作を出し続けて常に変化し前進し続けるKCを見ることができました。

 しかし今回はかっちりとした新作は出しておらず、事前に得た情報では、Lineup I,II,IIIの頃の名曲懐メロナンバーが多いということで、進化を止めた金儲けツアーではないかと若干危惧していました。しかし、それは杞憂でした。フリップ翁の完璧なディシプリン(統率、規律、訓練)の元、新たな布陣が産み出すKCサウンドは過去のKCサウンドからまた一段高い次元に達していました。フリップ翁の言うとおり、KCは常に進化続けていたのです。

 新装なった大阪フェスティバルホールの音響のよさも特筆もので、あれだけの強靭なサウンドなのに耳に痛くない、素晴らしくクリアな音でした。二日目ということで満員状態での調整も十分で着ていたのでしょうけれども。

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(後列向かって左からメル、トニー、ジャッコ、ロバート、前列向かって左からパット、ビル、ギャビン)

注: 写真はトニーがカメラをこちらに向けた時のみ可、多分ジャミングがかかっていてピンボケしてしまいます。

THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR in Japan 2015

Date: Dec. 13th  17:00-19:20
Place: Osaka Festival Hall, Osaka Japan

King Crimson Lineup VIII are;

Robert Fripp: g
Jakko Jakszyk: vo,g
Mel Collins:  saxophones
Tony Levin: Bass, Chapman stick & Vocals
Pat Mastelotto: ds & perc
Gavin Harrison: ds & perc
Bill Rieflin: ds & perc、kbd

『 キング・クリムゾンは1969年10月、ファースト・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』でビートルズの『アビー・ロード』をアルバム・チャートのトップから蹴落とすという衝撃的なデビューを飾る。以来、常にロック・ミュージックの概念を根底からひっくり返しながら、真の意味でのプログレッシヴな音楽によって絶対的存在であり続けるキング・クリムゾン。ギタリスト、ロバート・フリップを中心として幾度かの解散と再結成を繰り返しながら常に革新的な作品を発表し、今も尚、キング・クリムゾンは「キング・クリムゾン」として在り続ける。(CreativeMan Official site  より) 』

Setlist
(一切メモするヒマなかったので曲順は自信無いです、曲はほぼあっていると思う)
(時々Larks' Tonguesっぽいパーカスあるも演奏せず?)

1: Peace - An End
2: Radical Action (To Unseat the Hold of Monkey Mind) I
3: Meltdown
4: Radical Action (To Unseat the Hold of Monkey Mind) II
5: Epitaph
6: Pictures of a City
7: Level Five
8: Easy Money
9: The ConstruKction of Light 
10: Vrooom
11: A Scarcity of Miracles
12: Hell Hounds of Krim
13: The Letters
14: Sailor's Tale
15: Starless

Encore:
16: The Court of the Crimson King
17: 21st Century Schizoid Man

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( Starless終了後のスタンディングオベーションに応えるメンバーたち)

 今回のLineup VIIIには3つの特徴があります。

1: フリップ、トニー、パットの鉄板トリオ
2: 21st Century Schizoid Bandからのジャッコとメルの参加
3: パット、ビル、ギャビンのトリプルドラムをフロントラインに出すこと

1によってKCの音楽は常にハイレベルを維持しています。野球で言うとセンターラインがしっかりしている。King Crimsonを名乗るのにはやはりこれだけ高度な演奏が必要なのだ、ということをこの鉄板の三人が教えてくれます。だから新旧の曲を織り交ぜても、全ての曲がハイテンション。

2: 21st Century Schizoid Bandの演奏を聴いた時に、ジャッコのボーカルが上手いのに感心した覚えがあります。特にLineup IIの頃の曲は抜群でした。メルはもちろんLineup IIのレギュラーメンバーでしたし、IIIのRedにも参加している私の大好きなミュージシャン。キャメルにも在籍してくれました。その予想通りII時代の「Letters」「Sailor's Tale」が抜群に良いパフォーマンスで感動しました。

Lineup Iの曲もグレッグ・レイクほどではないにせよ、透明感とコクの両立するいい歌声で、冒頭の日本語歌詞も微笑ましい「Peace」や超名曲「墓碑銘」「宮殿」「21世紀」も素晴らしかったです。フリップ翁もこの二人を参加させたことにより、King Crimson名義で過去の名曲をやる気になったんじゃないでしょうか。

 ただ、ジョン・ウェットンとは声質が違うのでLineup IIIの曲はどうかな、と思っていましたが、「Easy Money」「Starless」ともに上手くこなしていました。

3: そしてトリプルドラムのフロントライン。本当に意味があるんだろうか、と訝っていましたが、未発表曲「Radical Action」でいきなりガツンときました。素晴らしい統一感、アンサンブル、そしてテクニック。そしてビルは「墓碑銘」や「宮殿」等でのメロトロンのパートも担当する役割を担っていました。ギャビンは「21世紀」でのソロ・インプロが凄かったです。元Porcupine Treeのメンバーですが、凄いテクニシャンですね。

 というわけで、40年の時を経て今なお新鮮な感動を与え続け、常に進化し続けるKC、その統率者ロバート・フリップに(日ごろはお布施の要求が多すぎるなんて茶化してますが)心から尊敬の念を覚えたコンサートでした。

 最後に一言、「Starless」、最高でした!