ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

HYさん宅オフ会記

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 この週末は少し遅い夏休みを取って、京都北部へ旅行してきました。メインの目的は、HYさんのお宅訪問です。

 HYさんは大変アクティブなオーディオファイルとして有名で、オフ会へも積極的に出かけられ拙宅へも一度来ていただきました。その頃はHYさんがSophia、私がCub 2と同じWilson Audioのスピーカーを使い60‐70年代の英国ロックをガンガン鳴らすという共通点があり、個人的に大変親しみを感じておりました。

 その後、私は直感でディナウディオ・サファイアへ、HYさんは数々のオフ会の経験からタンノイGRF(ゴールドモニター)へと、全くロックには不向きと言われるスピーカーへ変更してしまったのですが、私以上にHYさんはロックへのこだわりを捨てておられませんでした。その噂を伺っていたので是非一度HYサウンドを聴かせていただきたいと思っておりましたが、今回訪問をご快諾いただきました。

 HYさんは鉄筋のご自宅の2階に専用のリスニングルームをお持ちです。広さは約16畳、高さは2200㎜で、横置きでGRFを鳴らすにはぴったりのエアボリュームでした。HYさんはもう少し高さがほしかったとおっしゃっておられましたが。

 システムとしてはソニーHDDプレイヤーからサウンドデザインデジタルプリメインアンプSD-05にデジタル接続というシンプルな構成ですが、GRF自体にはかなり手を入れておられ、同じタンノイのスーパーツイーターもGRFの筐体内から配線されています。GRF自体も筐体の制震、サランネットの張替、バックロードホーンへのエア配分の調整、そしてウェルフロートボードの採用など、徹底的にカスタマイズされています。
 それもひとえにロックをはじめ、あらゆるジャンルの音楽を楽しくリアルに再生したいという強い思いから出たもので、聞かせていただいたサウンドは良い意味でタンノイらしく、良い意味でタンノイとは思えない音でした。

Rodrigo Y Gabriela

 のっけからRodorigo y Gabrielaの「Tamacun」にガツンとパンチを喰らってしまいました。続けてLed Zeppelinの「Good Times Bad Times」でワンツーパンチ。本気でロックを鳴らされているんだな!と感動してしまいました。
 続けてはビートルズの「And I Love Her」。60年代のアビーロード・スタジオはモニターがタンノイだったからいけるはず、と信じたHYさんの勝ち。ポールのボーカル、ジョンのギブソン、ジョージのガット、リンゴのパーカッション、今まで聞いた中で一番バランスが取れて美しい演奏でした。ボーカルやギターのリアルさにはスーパーツイーターの効果も大きいのだと思います。上にSTを載せられる筐体はいいなあと思いました(笑。

 ジャズもブンブンなります。タンノイ独特の音の柔らかさ、しなやかさがありつつ、ウィントン・マルサリスのトランペットのミュートのかけ具合のリアルさ、コンボのバランスの良さ、オスカー・ピーターソン・トリオのオスカー独特のピアノタッチと音色、ウキウキするようなスイング感等が、十二分に出ています。

Superbass 

 また、ウッドベースが通常音量でもブンブン唸るところなどはやはり38口径ゴールドモニターの余裕でしょう。ただ、HYさんがおっしゃるにはあるガレージメーカーの秘密が筐体の中に入っているそうで、これが入ってジャズのウッドベースがちゃんとウッドベースらしく鳴るようになったそうです。その流れで聴かせていただいたOPTのベース奏者レイ・ブラウンSUPERBASSは、左右からレイとジョン・クレイトンのベースが攻めてくる様が圧巻でした。

 もちろん最も本領を発揮するのはクラシック。ハイティンク&ロンドンフィルののショスタコヴィッチ(確か交響曲第4番)や、演者は失念しましたがブルックナーの2番、そして秘蔵録音のショスタコ11番、どれも弦、金管木管ともにとても耳馴染みが良く、ショスタコブルックナーがイマイチ苦手な私も、とてもリラックスしつつ集中して聴くことができました。各楽器のバランスが良く、しかも周波数帯域のバランスが見事に整っていて、オケはかく鳴らすべし、という見本のような演奏であり、とても勉強になりました。といってもマネするのは容易なことではありませんが。

 しばしレクイエムなどを聴かせていただきながらいろいろとお話を伺いました。今後はチェロをはじめとする各楽器の音の質を上げていきたい、50Hz以下の低音が出ないことは分かっているがそれを何とか出したい、そして音像に奥行きがほしいと、貪欲により良い音を求め続ける姿勢には頭が下がる思いでした。それもやはり、数々のオフ会をこなされ、「GRFのある部屋」さんや「Lanciast」さんのタンノイをはじめとする良い音を実感としてご存じだからなのでしょう。

 その後、私の持ち込みのCDでボーカル、ピアノ、ヴァイオリン、ジャズトリオ、ジャズボーカルなどを聴かせていただきました。聴き慣れたソフトを聴かせていただくと、タンノイならではの音色がより分かりやすく、ゴールドモニターの懐の深さや同軸2ウェイの定位の良さ、ボーカルにスーパーツイーターが結構聴いていることなどが良く判りました。

A Face in a Vision

 最後にはコルボ指揮のフォーレのレクイエムから「Sanctus」、そして山口百恵の「夜へ...」。壁に飾ってあったLP「A Face In A Vision」に収められている曲ですが、HYさんが最も大切にされている曲で、心に沁みるプレイバックでした。

 HYさん、本当にありがとうございました。