ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Dolon邸オフ会ふたたびFinal  Part 5 セットリスト・持ち込み編

シェーンベルク&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

   長々と書き綴ってまいりましたミリオンヒット記念企画Dolon邸再訪記も最終回となりました。今回は、楽しい楽しいティータイムを挟んで時間が許す限り聴かせていただいた私のソースを紹介します。

 Dolonさんは大抵の高音質盤はお持ちでしょうし、名だたる凄腕のオーディオファイルが持ち込まれる凄い演奏録音を聴かれているでしょう。実際Dolonさんご自身が常々

「 私より圧倒的に凄耳、凄腕のオーディオの達人の方々との交流があってこそ今の音になっている 」

とおっしゃっておられましたから、正直持ち込みソフトの選択には悩みました。下手に背伸びして自分が高音質盤と思っているソフトばかり持ち込んでもDolonさんには簡単に見透かされてしまうでしょうし、かといってベタなソフトはダイアモンドに申し訳ない。。。

 という事で、とにかく最近ヘビロテで聴いているソフトで拙宅の音とどれほど違うか感じてくればいい、と割り切って持ち込んだ中から下記を聴かせていただきました。いやあどれもこれも「もう降参です」としか言いようがなかったですね。

Beautiful Seed
7:Corrine May: Beatiful Seed 
#1: Love Song for #1

 まずはやっぱりスピーカーの特徴が一番わかりやすいボーカルから。Dolonさんに日本語ボーカルをかけていただいたので私はコリン・メイをチョイス。彼女はシンガポール出身アメリ西海岸在住のSSWで、透明感溢れる美声、素直で折り目正しく聞き取りやすい英語で歌われるのでリファレンスやオーディオ調整としてぴったりの一枚です。

 特に一曲目。タイトルがずばり「一曲目のためのラブソング」。本当に素っ気ない題名ですが、内容は素晴らしいです。ピアノの弾き語りで歌いこまれる歌詞は安直なラブソングとは一線を画した深くて幻想的な内容で、神がかっているとさえ思います。

 前置きが長くなりましたが、軽いブレスの音とともに流れてくる

In the twikle stars that dance like fireflies

という歌声におおっと驚きを隠せませんでした。クリスタルボイスには違いないのですがサファイアから流れてくる歌声よりも柔らかで暖かみのある慈母のような声です。実際に生で聴いたことはないのでどちらが本当の声に近いかは分からないのですが、シンガポール産まれでアメリカ西海岸に在住するコリン・メイのこと、暖色系のこの柔らかい声のほうが近いのかもしれません。それに比べるとデンマーク産まれのサファイアではお国柄そのままにきりっと引き締まった透明な寒色系の声になっています。それはそれで魅力的ではあるのですが。

 なんて書きましたが、これはもうダイアモンドツイーターサファイアソフトドームツイーターEsotar2の個性の差でしょう。ソフトドームの方が硬質でハードドームの方が軟質というのも不思議な気がしますが、聴感上はまさにそうでした。

 という驚きが過ぎれば、平行法でいつもより半歩前に踏み出したコリン・メイが私に語りかけてくるような錯覚を覚える素晴らしい再生に深い感慨を覚えました。サビの一部

Calling to me in the hungry and homeless Calling me to water yuor thirst

で一旦ブレスするあたりでは分かっていてもウルッときてしまいました。

 Dolonさんにも気に入っていただいたようでよかったです。

Chopin: Preludes
8:Ingrid Fliter: Frederic Chopin Preludes
#15: In D flat major 'raindrop'

 次はやはり一番好きなソースであるピアノ。最近ブログ記事にしたお気に入りの一枚。Linn Recordsから出ているSACDで高音質盤として期待の一枚でした。前奏曲集の中からあまねく知られている「雨だれ」をチョイスしました。ダイナミックレンジが広い演奏でダイアモンドの実力が遺憾なく発揮されると踏んでの選曲でしたが。。。

 アップサンプリングされたCDの音と比べるとSACDの音は柔らかで縁取りのない自然な感じですが、逆に言えばオフ会レベルの音量の場合やや音がにじんでいるようにも聴こえました。演奏とそのプレイバックには文句のつけようはないのですが、DolonサウンドのCD再生が素晴らしすぎるための軽い誤算ではありました。

9:Hilary Hahn; Salonen and Swedish Radio Sym Orch:
Schoenberg/Sibelius: Violin Concertos
#6: Siberius: Concerto for Violin and orchestra. 3rd mvt

 個人的には今回持ち込んだ中で一番感動した演奏。ムローヴァと並んで私の大好きなヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンシベリウス・ヴァイオリン協奏曲から適当な長さ(7分ちょっと)でシベリウス音楽の粋が詰まった第三楽章をかけていただきました。

 彼女のシベリウス・ヴァイコンは兵庫県立芸術文化センターで2年前にで聴いていますので、どこまでその記憶の音にダイアモンドが迫れるか、とにかく絶対かけたいアルバムではあったのですが、ここまで凄いとは思いませんでした。

 ヒラリーの愛器ヴィヨームから紡ぎだされるヴァイオリンの音は正確無比にしてダイナミック。生で聴いた音と限りなく近く、これぞヒラリーの音だ!という再生音にもう身じろぎも出来なかったです。

 サロネンが指揮するスウェーデンラジオ交響楽団も背後で大迫力の演奏を繰り広げます。実はここで聴かせていただくまではヴァイオリンに比べてオケが弱いな、なんて思っていたのですが、それはただ単に再生音量が足りなかったんですね。それと平行法の良さが一番出るのはオーケストラであることも良く分かりました。

 リビングでは限界でないかという大音量でも全く破綻せずに再生されるこの第三楽章は本当に凄くて腰が抜けそうになりました。
 Dolonさんにも「ヒラリー・ハーンはうまいですねえ、それにオケが元気だし、この演奏は良い」と絶賛していただきました。嬉しかったです。

Quartette Humaine
10:Bob James and David Sanborn: Quartette Humaine
9: Deep In The Weeds

 今度は一転して元気のいいアコースティック・ジャズを。これもヘビロテのアルバム「Quartette Humaine」です。良く歌うデヴィッド・サンボーンのサックス、流麗で勘所を押さえたボブ・ジェームスのピアノ、スティーブ・ガッドジェームス・ジナスの強靭なリズムセクション、みんないいお年ですが元気です(笑。

 そんな彼らのアルバムの中でもとりわけ楽しい「Deep In The Weeds」をかけていただきました。平たく言えば「どツボにはまる」といった意味の熟語ですが、どをとってまさに「ツボにはまった」楽しい演奏を聴くことができました。ダイアモンドのポリシー、音楽をリアルに楽しく再生するを体現した演奏に身体が無意識に動いていました。
 しかもダイアモンドですと拙宅よりもよりピラミッドバランスのどっしりとした音になり、特にジナスのベースがブンブン唸る様は圧巻でした。
 Dolonさんからも「相当深いところまで低音が入っていますね」とお言葉を頂きました。

Kin
11:Pat Metheny Unity Group: KIN
6: Born

 電気楽器も聴いておきたいと持参した一枚です。先日新神戸オリエンタル劇場でのライブで聴いたばかりのパット・メセニー・ユニティ・グループの新譜から、ライブでとりわけ感動したバラード・ナンバー、「Born」をかけていただきました。パットが東京ヒルトンからの夜景を見ながら着想を練ったという美しい曲です。

 この曲の妙は、クリス・ポッター(sax)、アントニオ・サンチェス(ds)、ベン・ウィリアムス(b)のアコースティック陣と、パット・メセニー+オーケストリオニクスジュリオ・カルマッシ(kbd)のエレクトリック勢との絶妙の対比と融和にあります。

 そのどちらもダイアモンドはハイレベルで再生してくれました。パットの様々なディバイスを駆使した、ともすればこもりがちなギターサウンドや、一部コーラスに聞こえてしまうオーケストリオニクスの複雑なバッキング、ソロで十分活躍しているクリスの味わいのあるサックス、アカデミー賞映画「バードマン」で音楽担当までやってのけたアントニオの実にセンスの良いドラミング等々、ライブの感動を追体験できることができたような心地で、ひたすらうっとりと聴き入ってしまいました。

フェザーズ
12:Thomas Enhco: Feathers
6: Letting you go

 時間もなくなってきたのでクールダウン曲として最後にフランスジャズ界の貴公子、トーマス・エンコのピアノ・ソロ・アルバム「Feathers」から、「Letting you go」をかけていただきました。

 「僕はピアノを弦をハンマーで叩くことで発音する鍵盤楽器として捉える考えを長年やめようとして」いるという、独創的なピアノという楽器に対する解釈は確かに演奏にも表れていて、キース・ジャレットのソロ・ワークとドビュッシーを始めとする印象主義音楽の間をたゆたうようなメロディラインと独特のピアノタッチが摩訶不思議な世界を構築しているアルバムですが、この曲はその中でも比較的親しみやすいメロディラインを持っています。

 ただ、安易なバラード演奏に堕するのではなく、各所に聴く者を刺激するような不協和音的メロディラインを挟んだり、後半にがんがんサステインを効かせたりと、結構面白いソースです。その詰め込まれた情報量のすべてをDolonさんのシステムは再現してくれました。

 このソースは安易に過ぎるかなあと思わないでもなかったのでクールダウンに最終曲として用意したのですが、思いのほか真剣に聴きいってしまいました。Dolonさんレベルのシステムをお持ちの方で、その真価を時代の最先端のピアノで知りたい、という方にはこのソースは結構いけるんじゃないかと感じました。私もこのソースがより良くなるように努力しなければ、と思いました。

 というわけで、楽しい時間はあっという間に過ぎ、お開きの時間となりました。歓待していただいたDolonさんご一家に感謝し、後ろ髪も曳かれつつ、お別れしました。

 そしてその後もDolonサウンドは着々と進化し続けています。Mixiの日記を拝見すると、Part2で導入予定と書いた2台の2kVAトランスが到着し早速Model12を駆動し始めたようです。Dolonサウンドの益々のご発展を祈ります。いつでも「現在が最高の音」でありますように!

 そして5回にわたって長々と書いてきた記事に付き合っていただいた読者のみなさんに感謝しつつ、このミリオンヒット記念企画を終了させていただきます。ありがとうございました。