ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ゴーン・ガール

Gonegirl

 傑作との噂が高い「ゴーン・ガール」をようやく観てきました。いやあ、さすがデヴィッド・フィンチャー、プロットの複雑さと演出の上手さは超一級品、そして後味の悪さも。。。今年最後の映画がこれかと(^_^;)。。。

『 2014年 アメリカ映画 配給:20世紀フォックス映画

原題: Gone Girl

キャスト

監督: デビッド・フィンチャー
原作、脚本: ギリアン・フリン
音楽: トレント・レズナー、アティカス・ロス

キャスト: ベン・アフレックロザムンド・パイクニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キャリー・クーン、キム・ディケンズ、他

「セブン」ソーシャル・ネットワーク」の鬼才デビッド・フィンチャー監督が、ギリアン・フリンの全米ベストセラー小説を映画化。「アルゴ」のベン・アフレックを主演に、ロザムンド・パイクニール・パトリック・ハリスらが共演。幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。音楽を、「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」でもタッグを組んだインダストリアルバンド「ナイン・インチ・ネイルズ」のトレント・レズナーと、同バンドのプロデューサーでもあるアティカス・ロスが共同で担当。 (映画.comより) 』

 冒頭にミズーリ州の片田舎の寂れた風景がさりげなく描かれ、そのあと小奇麗な一軒家から出てきた主人公がバーに向かいます。この男が主人公であるニック・ダン。演じるのはベン・アフレック。彼が向かったは「The Bar」というそのまんまの名前のバー。カウンターの向こうの女性とニックは馴れ馴れしく話を始め、バーボンを二人で飲み、人生ゲームまで始めます。実はこの女性、ニックの双子の妹マーゴです。五回目の結婚記念日だというのにこんなバーでうだうだしているところを見ると、夫婦関係は上手くいっていないようです。

 その妻エイミーは、根っからのNYっ子で、昔Amazing Amy(邦訳完璧なエイミー)という絵本シリーズで一世を風靡した、「完璧な女性」でした。演じるのはロザムンド・パイク。しかし平凡な男ニックと恋をして結婚し、夫の母の末期癌の看病のためにミズーリに引っ越してきていたのでした。そして両親の経営の失敗と夫が始めた「The Bar」の負債で、財産はなくなり、しかも夫のある秘密も知っています。子供がほしいのですができず、夫の精子精子バンクに入れていますが、夫はそれを良しとせずなかなか子供を作ることができずにいます。

 ニックが自宅へ戻るとその妻エイミーがいなくなっていました。家の中には何か不穏な形跡があり、ニックは警察を呼びますが。。。

 有名な絵本作家の失踪でマスコミは色めき立ちます。夫であるニックに疑惑の目が向けられ、挙句は殆ど犯人扱い。ミズーリ州には「死刑」があることまで紹介する始末。このあたり、アメリカ社会のゴシップ報道の個人攻撃の凄さ、とどまるところを知らない暴走を、観る者は思い知ることになります。

 そのような中で、毎年のように結婚記念日に行ってきたクイズ形式のプレゼント探しが鍵になってきますが、妻が残した「Clue 1」「Clue 2」「Clue 3」と進むにしたがって、却って警察のニックへの疑惑が深まっていくというニックにとっては分けのわからない泥沼の展開。浮気をしていたことが足かせとなり、一番信頼できる妹にも不信感を抱かれる始末。

 これが誰が仕組んだものか、想像は容易につきますが、中盤に至るまでにデヴィッド・フィンチャー監督は簡単に種明かしをしてしまいます。しかしそこからの息もつかせぬ展開が凄い。

 あれよあれよという間に終盤に突入しますが、そのどこをとってもネタバレさせてしまうとまだ観ていない方の興味をそぐことになってしまいます。原作者であり脚本を担当したギリアン・フリンのプロットの巧みさに脱帽です。

 そしてエンディング。ここまでぐいぐい引っ張っておいて、ここまで後味の悪い結末を用意するのはさすがデヴィッド・フィンチャー

 そして詳しくは書けませんがロザムンド・パイクの演技の凄いこと。様々な賞を総ナメしているのも首肯せざるを得ません。

 もう一つ印象に残るのは、これも時には神経を逆なでするような電子音を効果的に使った音楽。ナイン・インチ・ネイルズトレント・レズナーが担当しています。

 とにもかくにも傑作ではありますが、夫婦や恋人で見るべき映画ではありませんのでくれぐれもご用心を。

評価: 秀作: B
(A: 傑作、B: 秀作、C: 佳作、D: イマイチ、E: トホホ)