ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ザ・リアル・グループ@三木市文化会館

Therealgroup

  スウェーデンの誇るアカペラ・コーラスグループ「ザ・リアル・グループ」のコンサートが三木市という神戸のお隣であったので家内と行ってきました。いやあ、素晴らしいハーモニーと完璧なテクニックを堪能しました。

 フレンドリーで楽しい5人のMCも楽しく、途中で「小さい秋みつけた」を観客である我々に歌わせてくださったり、アコーディオンのメロディに「ハイッ!」と合いの手を求めたりと、サービス精神も旺盛でした。
 それにしてもみんな日本語がお上手。何回も来日して覚えておられるんでしょうね。そして英語の発音がとてもクリアで聞き取りやすい。日本語MCが要らないくらいです。アンネ・ソフィー・フォン=オッターもそうですが、ボイトレしているスウェーデン人の方の英語はなべてとても綺麗ですね。

公演名 ザ・リアル・グループ コンサート

日時:  2014年9月28日(日)  2:00-4:00p.m
会場:  三木市文化会館大ホール 

ザ・リアル・グループ: 

ソプラノ/エマ・ニルスドッター
アルト/カタリーナ・ヘンリソン
テノール、ヴォイス・パーカッション/アンダーシュ・エーデンロート
バリトンモーテン・ヴィンサー
バス、アコーディオンアンダーシュ・ヤルケーウス

Setlist: プログラムを解説したパンフレットを入り口で渡されますので、アンコール2曲を除いて公開します。

第一部:

1: Pass Me The Jazz
2: I'll Never Fall In Love Again
3: Words
4: Julfemman
5: Bad
6: Nature Boy
7: Tichet To Ride
8: Hellosong
9: Freedom'90

Intermission

第二部

10: Scandinavian Shuffle
11: Uti var hage
12: Good Times
13: Friendship
14: Thingamabob
15: Count Basie Medley
16: Love's Forever
17: Gee! Mine Or Mozart

EC: 2 Tunes

『 世界中で絶賛を浴びる、北欧スウェーデンの“奇跡のアカペラ”! 透きとおる美しい歌声、感動のハーモニーを。

1984年、ストックホルム王立音楽アカデミー在学中だった女性2人、男性3人が出会い、珠玉のグループを結成しました。その美しい歌声と優れたハーモニーで、95年にアメリカの権威あるアカペラ団体CASAより、「The World’s Best Vocal Group」を受賞。過去、シンガーズ・アンリミテッド、マンハッタン・トランスファー、テイク・シックスらに贈られたこの受賞を機に、「世界最高のヴォーカルグループ」という称号を手にします。

約30年にわたりアカペラ・ヴォーカルグループのトップに君臨し、世界各地で有名アーティストや交響楽団、ビッグバンドや聖歌隊と競演。クラシックやジャズのスタンダード・ナンバー、スウェーデン民謡からポップスの名曲の数々と、多彩なレパートリーを誇ります。
特にオリジナル・ポップス作品では、2000年発表のアルバム『コモンリー・ユニーク』が、スウェーデングラミー賞を受賞。

“奇跡のアカペラ”とも形容される、その素晴らしい歌声と絶品のハーモニーを、心ゆくまでご堪能ください。』

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三木市文化会館

 会場は三木市文化会館まあ神戸のお隣とはいえ山間の小都市なんですが、箱物行政のおかげか会場はとても綺麗な建物でした。
 そこに会場時間前になると、ぞろぞろと老若男女の何組もの団体さんぽい方々が集まって来られました。どう見ても「ザ・リアル・グループ」なんて知らないだろうと思えるご老人の方々も多かったですが、まあそれもそのはず、民音主催なんですね。とにもかくにも観客は多いほうが盛り上がるわけで、その動員力の凄さはさすがだな、と思いました。

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( ロビーの播磨三木合戦図 )

 さて、幕が上がると大きなモニターにメンバーが順番に登場して自己紹介と、母国であるスウェーデンの紹介を各人各様にする映像が流れます。

 それが終わると、盛大な拍手の中五人のメンバーが登場、軽快なジャズナンバー「Pass Me Jazz」で始まりました。もうそのコーラスの美しさ、各人のテクニックの完璧さに最初から圧倒されます。
 特にベース担当のアンダーシュ・ヤルケーウスさんのベースラインの発生は凄い!ずしんと腹に堪えるような、本当のコントラバスも真っ青の低音が出ています。自宅でオーディオで聞いてその凄さは分かっているつもりでしたが、やっぱり実際のライブでの実感は凄かったです。

 五人が順番に日本語と英語で挨拶しながら曲紹介をしていきます。バカラック・ナンバーの「恋よ、さようなら」、彼らの声の芸術とも言える「Words」、スウェーデンのヴァイオリン奏者の書いたフォークソングユールフェルマ」とヴァラエティに富んだ選曲で彼らの音楽性はさすが30年のキャリアの賜物か。
 というわけで、第一部前半は挨拶状代わりの実力披露という感じでした。

 次いで耳馴染みのあるマイケル・ジャクソンの「BAD」の凝ったアレンジ、憂愁を帯びたナット・キング・コールの「Nature Boy」と続きます。「Nature Boy」の紹介では、この歌がホームレスの男の書いた歌であることも紹介し、そのような不幸な方々が幸せをつかめるようにと歌います、とMCされたのが印象的でした。

 この後で、アンダーシュ・エーデンロートさんが、ビートボックス&ヴォイパ用のマイクと、そのテクニックを披露して会場を沸かせます。その後彼らの十八番でもある「涙の乗車券」ではエア・ギターの見事なテクも見せてもらいました。

 そしてカタリーナさん作の美しい「ハローソング」。ソプラノ、アルト、テノールバリトン、ベースのアカペラコーラスの真髄を追求した感動的なハーモニーを堪能しました。最後にジョージ・マイケルの「Freedom '90」で〆て第一部終了。

 第二部はザ・リアル・グループの持つ実力全開、もてる全てのテクニックを駆使し、観客を魅了してくれました。

 まずは「スカンジナビアン・シャッフル」で軽快にスタート、観客の手拍子とともに軽快にスウィングします。この曲は1962年にスウィー・デンズというスウェーデンデンマークの混合合唱トリオがヒットさせた曲だそうです。この曲が終わってアンダーシュ・ヤルケーウスさんがアコーディオンを持ち出し、観客を上手く乗せて「ハイッ」という掛け声を引き出して会場を沸かせます。

 その後モニターが降りてきて「小さい秋見つけた」を会場の皆さんで歌ってください、とアコーディオンで伴奏、会場に歌声がこだまします。日本の歌の次はゴットランド島の民謡「Uti var hage」を披露。

 ディスコブームの頃を髣髴とさせるシックの「グッドタイムズ」では、順番にループマシンに声を入れてバックで流すアレンジが印象的。エマさんとカタリーナさんをフィーチャーしつつ、間にはクイーンの「another one bites the dust」をはさんだりして全員ノリノリ。その中でもアンダーシュ・ヤルケーウスさんのベースラインはやっぱり凄いです。

 一転してテノールアンダーシュ・エーデンロートさんが二人の息子さんに捧げた美しいバラード曲「フレンドシップ」をしっとりと歌いこみます。かと思えば直後の「シンガマバブ」ではそのエーデンロートさんをロボットに見立て、ヤルケーウスさんがマッドサイエンティストに扮して今までに出したことのないコミカルな声で、それぞれヴォイパと歌を担当して楽しい寸劇を披露。

 クライマックスはお得意の「カウント・ベイシー・メドレー」、北欧で大ヒットしたバラード「ラヴズ・フォーエヴァ」、そしてラストはモーツァルトの超有名曲交響曲第40番をリアル・グループらしくアレンジした「ジー!マイン・オア・モーツァルト」と怒涛の三連続で見事に彼らの魅力を見せきってくれました。

 会場は動員観客が多いとは思えないほどの拍手の嵐からアンコールを求める手拍子へ。笑顔で再登場した五人も満面の笑顔でアンコールを二曲歌ってくれました。当然歌うだろうと思っていた曲もちゃんと入っていますよ。

 唯一残念だったのは超名盤の「コモンリー・ユニーク」からは一曲も選曲されなかったこと。でもそれ以上に満足させてくれた五人に感謝して大満足で会場を後にしました。