ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

原田知世 LIVE TOUR 2014 “noon moon” @岡山市立オリエンタル美術館

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( オリエント美術館玄関、コンサート終了後 )

 昨日の6月15日、岡山市立オリエント美術館原田知世さんのコンサートが催されました。神戸のグッゲンハイム邸でのコンサートのチケットが取れずがっくりきておりましたが、幸いこちらは取れたので頑張って遠征してきました。

 残念ながら、午前中サッカーW杯日本はコートジボワールに負けてしまいましたが気を取り直して出かけました。幸いお天気も良く、日中後楽園周囲の観光と美術館巡りを楽しむことができましたし、夜は古代オリエントの石版画に囲まれた異世界のような空間で通常のコンサートでは味わえない濃密な原田知世的音楽世界を堪能でき、大満足の一日でした。

『 原田知世 LIVE TOUR 2014 “noon moon” 岡山公演

日時: 2014年6月15日 19:30-21:00

場所: 岡山市立オリエント美術館中央ホール

原田知世: Vo

伊藤ゴロー: Gt
澤渡栄一: Pf
小川慶太: Perc

セットリスト: 最終公演が終わりましたので公開します。

1. 青空の月
2.  ロマンス
3.  ダンデライオン 〜遅咲きのたんぽぽ
4.  My Dear
5.  Vivo Sonhando ( Getz/Gilberto +50より)
6. A Moment Of Clarity
7. くちなしの丘
8. ノスタルジア
9. うたかたの恋
10. 走る人
11. 名前が知りたい

EC-1
12. Brand New Day
13. Double Rainbow
EC-2
14. 時をかける少女   』

 オリエント美術館のリンク先を見ていただけるとわかりますが、中央ホールといってもキャパ200人程度の空間です。吸音するものがなく音が響きすぎるのではないのかな、と心配していましたが、満員のお客さんが適度な吸音材となったようで思ったよりは音響は良かったです。

 ホールの一番奥にステージがあり、向かって左手にピアノ澤渡さん、中央奥にパーカッション小川さん、そして右手にバンマスでギターの伊藤ゴローさん、もちろん中央前方に原田知世さん。知世さんはノースリーブのオフホワイトのワンピースというシンプルな衣装なのですが、ますますお美しい。古代オリエントの美術に囲まれて古の女王のようなオーラを発散しておられました。

 以下「続きを読む」に続きますが、もろネタバレですので、了承してお読みください。

 一曲目は予想通り新譜「noon moon」から「青空の月」。レビューでベストトラックと書いたように昼間の月のようにとても淡くて儚げで美しい曲です。
 この曲でまずは知世さんの透明感あふれる美しい声に驚きました。知世さんといえばちょっと鼻にかかったやや甘ったるい感じの歌声がこれまでの特徴だったのですが、柴田淳とまではいかないまでも、透明感あふれるはっきりとした発音に変化してきていました。前作から5年間の間に朗読会や映画・ドラマ出演等でよいボイトレができたのではないかと勝手に思いました。
 バックも伊藤ゴローさんの安定したボサノバギター、ホールの大きさを考えた適度な小川さんのバッキング、そしてアルバムでは坂本龍一さんが担当していたピアノも澤渡さんがきっちりとこなしておられました。

 一曲目が終わると知世さんの挨拶が入ります。岡山は27年ぶりだそうです。それだけ長くやってるんだ~、と苦笑いされた表情が素敵でした。

 事前情報ではここから「レモン」「LOVE」と続いたそうですが、時間やメンバーの関係か、二曲目はいきなりヒットチューンの「ロマンス」でした。もちろん大好きな曲なので大歓迎です。

 続いては懐かしの「ダンデライオン」。この曲の後のMCで、これをユーミンさんに作っていただいたのは16歳の頃でした、とおっしゃってましたからもう30年経つんですねえ。

 続いて新譜「noon moon」の話になりました。とても気に入っていて、これからもこのアルバムから歌い続ける曲がたくさんできました、とおっしゃってました。確かにライブで聴くととても良い曲ばかりで、ちょっと辛めのレビューを書いてしまった私としては恥ずかしい限りでした。

 というわけで続いての曲は新譜から「My Dear」。いかにも知世さんらしい、しっとりとしたバラードです。続いて演奏されたのがボサノバの「ヴィヴォ・ソニャンド」。以前拙ブログでも紹介した伊藤ゴローさん企画・制作の「Getz/Gibert+50」からのナンバーでアルバムでも知世さんが歌っておられた曲。

 予想通り、曲の後のMCでそのアルバムの話になりました。伊藤ゴローさんは人前で話すのが苦手なのか、照れくさそうに紹介しておられました。

 続いてはこれも新譜から「A Moment Of Clarity」、名前通りさわやかな曲です。この後またMCとなり、映画、ドラマ(紙の月のことでしょうね)、舞台に出演したり、on-docという朗読会を伊藤さんとやっていたりして結構多忙な日々を送っていたことを話されました。朗読会は小さな会場主体で、旅館の畳の部屋でやったこともあった、という話に会場から笑いがおこります。「おいしいもの食べてお風呂入って楽しかったよね」とゴローさんに振る知世さんも笑顔でした。

 そのあとはコンサートではもうお馴染みのナンバーとなった「くちなしの丘」「ノスタルジア」の二曲。ゴローさんが関わった「Musin & Me」からの選曲だけにバックとの息もぴったりです。こういう小さい会場で聴くと、曲がより親密な感じがしてよかったです。

 ところが、知世さん、ノスタルジアの歌詞が一瞬飛んでしまいました!曲が終わってからのMCで

「ごめんなさい、間違っちゃいました~。これだけ歌ってて間違うこともあるんだ~」

とちょっと照れくさそうでした。そのあと先日のNHKのTV番組「SONGS」の長崎ロケやインタビューの話になりました。小学校への道が懐かしかったこと、二日間ロケしてあれだけしか映らなかったこと、1時間インタビューでしゃべり続けてあんな少ししか放送されなくてがっくりきたことなど。会場を笑いで包むMCでした。

 その「SONGS」で歌っておられた「うたかたの恋」をしっとりと歌い上げた知世さん。一息ついてのMCで「サッカー残念でした」の話題に会場も苦笑。甥っ子がガリガリ君の抽選で当てたサッカー日本代表のユニフォームの名前が「GARIGARI」になっていてナンバーが60(一本60円)になっているという話に会場爆笑。

 そしてコンサートも終盤へ。伊藤ゴローさんがモデルではないかという噂の「走る人」を歌った後でメンバー紹介。そしてon-docで最初に取り上げてとても感銘した池澤夏樹さんにお願いして歌詞を書いてもらった、と紹介して歌い始められた「名前が知りたい」でラストとなり、メンバー全員一旦退場されました。

 もちろんアンコールの拍手が鳴りやまず、再登場。アンコール一曲目は新譜のラスト曲「Brand New Day」。そのあと、新譜のジャケットを担当したクリスティーナ・リーさんの話になり、グッズも彼女と二人で考えて作りましたのでよろしくお願いします、という流れに。私は開演前にポーチを買ったのですが「洗えば洗うほど味わいが出てくる」そうですのでせっせと洗うことにします(笑。

 アンコール二曲目は私も大好きな「Double Rainbow」、この曲を聴けてよかったです。

 ここで一旦また退場されますが、これはもう予定通り、最後の最後に待っているのは伊藤ゴローさんのボサノバ・ギターをバックに歌い上げる「時をかける少女」。こんな濃密な空間でこの曲。もう息をのんで一音たりと聞き漏らすまいと耳を傾けつつ、知世さんの目を閉じて歌い上げる表情にも釘づけになっていました。

 以上でコンサートは無事終了。終わってみると自分のいるところは、普通の美術館のホールに戻っていて、まるで魔法が解けたような感じでした。

 大満足の一日が終わり、帰路につきましたが、やはりiPodで聴いているのは「noon moon」なのでした。