ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

第三回 寿限無亭 @新神戸オリエンタル劇場

Jugemutei3
 昨日は久しぶりに落語を聴きに家内と出かけてきました。新神戸オリエンタル劇場で定期的に催される「寿限無」の第三回目です。あっと驚くような大ネタこそありませんでしたが、上方落語の中堅落語家六人が一人一席ずつ持ちネタを披露されたので各人の個性の違いも楽しめ、それぞれ楽しく笑えました。個人的には関西のラジオで最近活躍目覚しい笑福亭銀瓶さんを初めて生で観ることができて嬉しかったです。

Time: 2013年6月2日(日) 14:00 - 16:30

Place: 新神戸オリエンタル劇場

演目:

一: 桂 阿か枝 「延陽伯」

二: 笑福亭銀瓶 「宿題」(桂三枝(現文枝)作)

三: 桂 坊枝 「火焔太鼓」

中トリ: 笑福亭仁智 「トクさんトメさん」

中入

五: 笑福亭鶴笑 「義経千本桜」(パペット落語)

トリ: 桂 雀々 「手水廻し」

 一席目は地元明石出身で芸名も阿か枝さん。故枝雀師匠も得意だった「延陽伯」で手堅く笑いを取ります。一席目の若手にしては良い出来で上方の層の厚さと笑いを取る能力の高さを感じます。

 二席目に期待の銀瓶ちゃんが登場。ラジオの声から想像するより端正な顔立ちで、高座での喋り方もラジオほどくだけていませんでした。その辺はさすがプロ、といったところでしょうか。とは言え、笑いを取るコツは心得たもので、マクラで阿か枝は明石、私は神戸出身、学校は明石工専と、ラジオリスナーなら良くご存知の経歴を笑いを交えて披露、その後自分の家族をいじったかと思うと、その流れで自然に本ネタ「宿題」に入っていきます。これは三枝(現文枝)師匠の新作落語なので、「銀瓶人語」を髣髴とさせる笑いで会場を沸かせていました。

銀瓶人語VOL.1

 三席目は桂坊枝さん。この方もMBSラジオのパーソナリティやレポーターなどでお馴染みの方ですが、マクラもそこそこに、アホの道具屋が一文で買ってきた汚い太鼓を嫁に責められるも、思わぬどんでん返しが、という定番の「火焔太鼓」を豪快に演じられました。身振り手振りも派手に語りもメリハリがあり、今回聞いた中で一番良い出来だったと思います。ちなみに上方落語は見台と膝隠を用いますが、坊枝さんは無しで演じられました。個人の好みがあるんでしょうか、それとも火焔太鼓がもともと江戸ネタだからかな?

 中トリは笑福亭仁智さん。私の記憶の中では若手でマスコミに台頭してきた頃のイメージしかありませんでしたが、彼ももう還暦だそうです。それでも変に老け込まず、飄々と取りとめの無い漫談で爆笑を取るところはさすが。ネタも古典ではなくおそらく自作の老人ホームネタでした。

 休憩の後笑福亭鶴笑さんが登場。シンガポールに移住したり、海外で大道芸を磨いたりと異色の経歴の持ち主ですが、昔から変わらない独特の喋り口は健在でした。プログラムに「パペット落語」と注釈がついていて楽しみにしていましたが、文楽を落語に導入した楽しいものでした。「義経千本桜」の川連法眼館の段を、右足で静御前、左足で忠信を演じたり、狐忠信の自作人形を披露したり、挙句は釣竿を取り出したりと汗だくの大熱演でした。
 ちなみに当然見台膝隠はなし(笑。

 そしてトリは雀々さん。5人の中では最もマスコミの露出度の高い方で、さすがの風格を感じます。とはいえマクラではやんちゃだった若い頃を髣髴とさせるエピソードを披露。台湾人ばかりのバスツアーに京都から山中湖まで約10時間同乗して、言葉の通じない相手にひたすら扇子と手ぬぐいだけで笑わせ続けた苦労を面白おかしく語ってくれました。本ネタは上方落語の定番「手水廻し」。ちょっと表現に誇張が過ぎるかな、というところが気になりましたが、家内はそれが良かったと言ってました。個人的にはこのネタは鶴光さんのが好きです。

 というわけで2時間半笑わせていただきました。家から近い会場ですし、定期的に開催されるのでまた観にいきたいと思います。