ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

シガー・ロス @ 神戸ワールド記念ホール

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(場内はプロ用機材禁止、動画撮影禁止のため、家庭用デジカメで発光禁止、シャッター音消音で撮影しております。)
 
 長い間の念願だったアイスランドの孤高のポストロックバンド、シガー・ロスのコンサートをついに体験する事ができました。最初ヨンシーの声が枯れているようで心配しましたが幸いファルセットボイスは健在で、「世界一美しいロック音楽」と形容されるだけの事はある素晴らしい楽曲のオンパレード、アンコールの「Glosoli」「Untitled #8」では感極まりました。

 これだけの感動を与えてくれたロック・コンサートは本当に久しぶりです。思い出してみるに、デビッド・ボウイの2002年のリアリティ・ツアー以来かな、という事になるとこのブログを始めてからは最高のロック・コンサートだった、という事になりますね。

 

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Sigur Ros :  Japan Tour 2013

Place: ワールド記念ホール、神戸

Date: May 17th, 2013  19:30-

Sigur Ros:

Jón Þór "Jónsi" Birgisson – lead vocal, guitar, bowed guitar, keyboards etc

Georg "Goggi" Hólm – bass guitar, glockenspiel, keyboards, backing vocal etc

Orri Páll Dýrason – drums, percussion, samples, keyboards

and other 8 support members

Setlist
01 Yfirborð
02 Ný batterí
03 Untitled #1 aka Vaka
04 Hrafntinna
05 Sæglópur
06 Svefn-g-englar
07 Varúð
08 Hoppípolla
09 Með Blóðnasir
10 Olsen Olsen
11 Kveikur
12 Festival
13 Brennisteinn
EC
01 Glósóli
02 Untitled #8 aka Popplagið

 02,06,10: Ágætis byrjun (1999)
 03、EC-02:  () (2002)
 05,08,09, EC-01: Takk... (2005)
 12: Með suð í eyrum við spilum endalaust (2008)
 07: Valtari (2012)
  01,04,11,13: Kveikur (2013) 

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 さてこの日がJapan Tour 2013の最終日、仕事を終え三宮からポートライナーに乗ります。夕陽に黄金色に染まる神戸港を眺めながらポートアイランドに入り、市民広場前駅に着きました。会場はワールド記念ホールです。約8000人を収容できる神戸では最大級のアリーナ形式の会場で、そう言えば前回ここで見たのはコールドプレイでした。

 丁度開場が始まった時間で人の列が動き始めていましたが、とりあえず場外のグッズ売り場へ直行。Tシャツとパンフが目当てでしたが、呼び込みのお兄さんが

シガーロス・メンバーの直筆サイン入り、実際に使用したドラムヘッドで~す。売り上げは全額UNICEFへ寄付されます、限定12枚、後残り一枚です、お急ぎくださ~い」

の声が。。。限定モノに弱い私、飛びついてしまいました。上の写真がそれですが、このドラムヘッド、包装も袋もなく、裸のままで帰宅までずっと持っている羽目に(汗。

 まあそれも良しとして、会場へ。一階はアリーナでオールスタンディング、二階はスタンドで指定席。おじさんとしては2時間スタンディングは辛いのでスタンド席を取っておりました。ステージに向かって右側中央あたり、全体を良く見渡せるまずまず良い席でした。
 入りは一二階とも6~7割といったところ、それでも概算で5000人くらいは入っており、熱気はムンムン。
 静かなアンビエント音楽が流れる中、定刻の午後7時半を少し過ぎた頃に会場が暗転、シガー・ロスのコンサートの特徴であるステージ前の薄いスクリーンにメンバーのシルエットが浮かび上がる演出で一曲目の「Yfirborð」が始まりました。いきなり6月発売の新作「Kveikur」からの選曲ですが、一応予習はしてあったので戸惑う事はありませんでした。

 が、戸惑ったのはヨンシーのボーカル。東京、福岡、名古屋と強硬日程だったせいなのか、かなり枯れている印象を受けました。これで最後までいけるんだろうか?と心配になりましたが、幸いあの超絶ファルセットは健在で、最後まで見事に歌いきってくれました。

P1010029 二曲目「Ny Batteri」の演奏の後半のクライマックスで突然スクリーンが落とされ、ステージが露わになり大歓声に包まれます。ステージ前列中央に向かって左にオルグ、中央にヨンシー、そして右よりのドラムセットにオッリ。サポートメンバーはギター、ベース、キーボード、パーカス等々をこなす等の二人と、後列にブラスが3人、ストリングスとバックコーラスの3人。計11人だったと思います。そしてステージ後上方にはPVを映すスクリーンがあり、Heima等々でおなじみの様々な映像が流れます。ステージ上のライティングにも様々なアイデアが凝らされておりました。蛍のように明滅するライティングはとりわけ美しかったです。

 ヨンシーの声のことばかり書いてきましたが、勿論演奏も素晴らしい。ヨンシーディストーションのかかったギターのボウイングオルグのベース、ギター、オッリのドラミング、どれ一つとってもシガー・ロスの唯一無二のサウンドに欠かせない要素です。キャータンの脱退は痛かったと思いますが、それもサポートメンバーが良く補っていました。
 どの曲も聴き応えがありましたが、とりわけ「Svefn-g-englar」の最後のファルセットのロングトーンから「Varúð」への流れが素晴らしかったと思います。「Varúð」は前記事で紹介した「Valtari」からの唯一の選曲でしたが、オリジナルを凌駕する出来栄えだったと思います。静かで美しい前半からドラムのクレッシェンドによる後半の盛り上がり、ヨンシーのファルセットと女性バックコーラスの「Varúð」のリフレインの壮絶に美しい響き、全てが完璧でひたすら聞き惚れていました。

 会場がひときわ沸いたのは、その後の聴き馴染みのあるイントロから始まる彼等の代表曲「Hoppípolla」でした。やはり、代表作三作「 Ágætis byrjun 」「 () 」「 takk... 」からの曲には人気がありますね。
 6月発売の新作「Kveikur(クウェイカー)」からは4曲を演奏してくれましたが、本チャン最後にこれも素晴らしかった「Festival」を挟んで演奏した「Kveikur」「Brennisteinn」の二曲が新作の傾向を顕著に表していると思いました。一言で言えば静の「Valtari」に対して動の「Kveikur」というところでしょうか、アンビエント主体の「Valtari」と対照的にかなりロックサウンド寄りの音作りがなされていました。

P1010034 「Brennisteinn」の終了を待たずにヨンシーをはじめ3人は退場、アンコールの拍手の鳴り止まぬ中、再度メンバーが登場。アンコールの一曲目は「takk...」収録の名曲「Glosoli」です。曲の中盤に「Heima」でも流れていた子供たちが次々と崖から跳躍するPVが流れるあたりで、胸が熱いものがこみ上げてきて知らず知らずに涙腺が緩んでおりました。この一曲だけでも十分満足でしたが、トドメはやはり彼等の定番中の定番であるアンコールの締め曲「Untitled #8 aka Popplagið」。静かな前半からドラムに誘われる様に暴力的に盛り上がっていく後半、最後には轟音が開場全体を包み、オルグの激しいギターソロが絡むあたりで会場の興奮は頂点に。。。本当に鳥肌が立ち、胸苦しくなるほどの感動に包まれました。音の鳴り止まぬ中全員退場、曲が終了後万雷の拍手に包まれてメンバー全員が再登場。ステージ最前列に並び、カーテンコールに応えてついにコンサートは終了しました。

 半ば陶然として、そして半ば茫然として帰路に着きました。帰ったのは日付が変わる頃でしたが、風呂に入った後もう一度「Valtari」を聴いて心を静めてから床につきました。素晴らしいコンサートをありがとう、シガー・ロス、直筆サインは大事にします。