「世界で最も美しい音楽を奏でる」アイスランドのポストロックバンドシガー・ロスが現在アジア・ツアーで日本に来ておりまして、明後日はいよいよ待望の神戸公演です。6月に発売の新作「Kveikur (クウェイカー)」を引っさげての来日で、アルバムからも数曲セットリストに入ってくると思います。まだ未発表の曲を聴けるというのはとても楽しみです。
その前に、今のところの最新作「Valtari」のご紹介を。ちなみにこのアルバムをもとにした「世にも奇妙な映像実験」という実験的映像作品集がでており、コンサートでもこれを視覚効果として利用するのではないかと楽しみにしております。
1. Eg anda
2. Ekki mukk
3. Varuo
4. Rembihnutur
5. Dauoalogn
6. Varoeldur
7. Valtari
8. Fjogur piano
( AMAZONの英語表記のまま記します)
前作「Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust(邦名「残響」)」は彼等にしてはポップで明るい曲が多く、オーケストレーションや合唱なども導入した意欲的な作品でした。このままメジャー路線に乗っていくのかな、と思いきや、本作では再びアンビエントの要素の強い音楽へと回帰しております。
ヨンシー独特のファルセット・ボイス、ボウイングによるディストーションのかかったギターサウンド、そしてゲオルグ、オーりーの二人が加わって作り出される曲は、どれも美しくて儚く、そして暗くて深く、時に暴力的に上り詰めてはまた静寂へと回帰していきます。どんなにフォロワーが現れようと決して作り出せない、唯一無二のシガー・ロスの世界。私も雑食性にいろんなジャンルの音楽を聴き続けていますが、このシガー・ロス世界に浸りきる快感は格別のものがあります。
ベストトラックは3「Varuo」でしょう。ヨンシーの執拗なVaruoのリフレインに後半ドラムが重なって徐々に盛り上がりクライマックスを迎える構成は、あのアルバム名も曲名も無い傑作「()」の終曲「Untitled #8」を思い起こします。
前回のアルバム発売時のツアーを聞き逃したのは痛恨であったのは間違いありませんが、今回のコンサートは本作からもかなりの選曲がなされると思います。シガー・ロス本来の彼等にしか作れない音楽世界を堪能できるという意味で絶対に聞き逃すわけには行きません。明後日の神戸ワールド記念ホール、本当に楽しみです。