ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

COVER 70's / 柴田淳

COVER 70’s
COVER 70’s
 シバジュンこと女性SSW柴田淳の初カバーアルバムです。シバジュンの素直な歌唱と、オーソドックスなアレンジに好感が持てる佳品でした。

1. 異邦人 (久保田早紀
2. みずいろの雨 (八神純子
3. 迷い道 (渡辺真知子
4. あなた (小坂明子
5. 木綿のハンカチーフ (太田裕美
6. 飛んでイスタンブール (庄野真代
7. 青春の影 (チューリップ)
8. 秋桜 (山口百恵
9. 東京 (マイ・ペース)
10. スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット
11. 22才の別れ (風)
12. Mr.サマータイム (サーカス)
(カッコ内;オリジナルアーティスト)

 シバジュンの最近コンサートでは、アンコールで会場からのリクエストを受けるコーナーがあり、自他曲を問わず歌っていましたから、こういうアルバムが出ても不思議ではないと思っていました。近年横溢するあまたのカバーアルバムとどう差別化するのかが興味あるところでしたが、選曲は

柴田淳が幼少の頃より台所で母親が口ずさむメロディーや歌声が自然と聞えてきては一緒に口ずさんでいたという、慣れ親しんできた名曲の数々をセレクト(Victor HPより)」

したとのことで、70年代歌謡曲から選ばれています。ということで私にとっては青春時代、ど真ん中ストライクの嬉しい選曲になっておりますが、シバジュンにとってはお母さん世代の曲なんですねえ。曲名にオリジナル・アーティストを付記しておきましたが、殆どの曲は今の若い方でもご存知だと思います。唯一「東京」を歌っていたマイ・ペースはマニアックですね。確かに「東京」はそこそこヒットしましたが、残念ながらこれ以外ヒットらしいヒットもなく終わってしまったフォーク・グループでした。

 閑話休題、アルバムは、これまた一発屋で終わってしまったもののあまりにも強烈な印象を残した久保田早紀の「異邦人」で始まります。原曲のエスニックなフレーバーを忠実に踏襲したオーソドックスなアレンジで始まり、シバジュンの歌唱も原曲に実に忠実で、ちょっと拍子抜けするほどです。

 以下、同様に原曲に忠実なアレンジで曲が続きますが、唯一「青春の影」の弦のソロは原曲よりも福山雅治の「FUKUYAMA ENGINEERING」でのカバーを思い出してしまいました。
 さて、シバジュンの歌ですが、やはり彼女最大の武器であるファルセットボイスを駆使できる「水色の雨」や「あなた」で彼女らしさが最大限に発揮できているように思います。
 意外に良かったのが「スカイ・レストラン」。山本潤子さん命の私としては、ハイ・ファイ・セットの曲はそれ以外の人が歌っても決して高評価しないのですが、シバジュンのこの美声での歌唱は許せます(笑。あとは原曲の素晴らしさを再認識させてくれる「青春の影」が印象に残りました。

 ということで、お気に入りの曲を探すのも一興かと思います。初回限定盤にはもう一曲「卒業写真」が入っていますが、上述したように山本潤子さん命の私としては(あまりにもフォロワーが多い曲でミミタコということもありますが)二曲はいらないということでパスしました。

 最後に一点気になる点を挙げておきますと、「秋桜」のアウトロが途中唐突に切れてしまいます。私の購入した盤だけのトラブルであればいいのですが。。。とにもかくにも、カバーアルバムとは言え、シバジュンの美声のファンには必聴の作品かと思います。