ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

マリー・ローランサンとその時代-巴里に魅せられた画家たち@小磯記念美術館

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(帽子をかぶった自画像、絵葉書)
 4/14-7/8の間、神戸市立小磯記念美術館で開催されている「マリー・ローランサンとその時代 - 巴里に魅せられた画家たち」展を観てきました。

『華やかさの陰に憂いを込めた女性像が広く知られ人気を博している、女流画家マリー・ローランサン(1883~1956)を中心に、芸術の都・パリに魅せられたフランスおよび日本の画家たちの作品や資料、計116点を紹介します。

世界最大のローランサンのコレクションを持つことで知られていたマリー・ローランサン美術館(平成23年9月閉館)の油彩、版画、資料などの計49点を軸に、ローランサンと同じくパリに生まれたルオーやユトリロ、ドラン、ヴラマンク、各国から集まりパリの画家となったキスリングやドンゲン、藤田嗣治荻須高徳、さらにパリに客死した佐伯祐三やパリに憧れて留学した児島虎次郎、小磯良平らの作品群、そして当時のパリを席巻していたバレエ・リュス(ロシア舞踊)資料などが展覧されます。(オフィシャルHPより抜粋)』

 マリー・ローランサンといえばすぐに黒一色の瞳と白い肌を基調とした柔らかい色彩の女性像を思い浮かべますが、まとまった数の作品を観た事はありませんでした。小磯記念美術館はそれほど大きな展示スペースを持っているわけではありませんが、今回は閉館したマリー・ローランサン館の作品群を中心に彼女の作品が30点以上展示されており、十分堪能する事ができました。
 挿絵本などの展示を除くとその全てがOil On Canvasであるにもかかわらず、水彩或いはパステルを連想させる淡い色調の独特の女性像は彼女ならでは。
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(ニルス・フォン・ダルデル、絵葉書)
 それに加えて、後年滅多に描かなくなった男性像、たとえば「パブロ・ピカソ」や「ニルス・フォン・ダルデル」などが展示されていました。これらも描けそうで描けないローランサン独特のタッチで特にニルスには惹き付けられました。

 他の同時代のパリ在住の画家の作品も併せて展示されていました。その中でも今回強く惹かれたのは児島虎次郎でした。倉敷の大原美術館のための絵画蒐集に尽力された方というイメージが強いのですが、もちろん画家としての力量も素晴らしい方であることは知っていました。が、その大原美術館でもそれほどの展示数があった記憶が無く、今回八点もの展示を観る事ができたのは収穫でした。同室の展示の中でもひときわ目を惹く精緻な筆致と深みのある明瞭な色彩は素晴らしかったです。

 それ以外の日本人画家の作品群は殆どが知った人ばかりでしたが、一人だけ、三岸節子という女流画家は初めてでした。フォービズムを髣髴とさせる大胆な筆致と色使いのセンスが印象的でした。

 7月まで開催されていますし、GWの今日もそれほどの混雑も無くゆったりと見られましたので、機会があれば是非どうぞ。それにしてもマリー・ローランサン美術館が閉館したあと、これらの作品群が散逸してしまわないか心配です。どこか、公共の機関がまとめて買い取ってくれればいいのですが、今の日本にそれだけの資力のあるところがあるかどうか。。。