ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

オッコ・カム&PACO@兵庫県立芸術文化センター

Paco20120219
 昨日午後、家内と二人で西宮の芸術文化センターへ出かけてきました。家内が好きなシベリウスの国、フィンランドの名指揮者オッコ・カムが指揮するオール・シベリウス・プログラムです。カレリア組曲交響曲第2番と定番もしっかり押さえられており、二人で始まる前からわくわくしておりましたが、あたたかく心地よい演奏で概ね満足できるものでした。

『 PACO第49回定期演奏会

日時: 2012年2月19日 15:00開演
場所: 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

指揮: オッコ・カム
演奏: 芸術文化センターオーケストラ(PACO)

プログラム:
1: シベリウス カレリア組曲
2: シベリウス 交響曲第7番
-intermission-
3: シベリウス 交響曲第2番

アンコール: シベリウス 悲しいワルツ

PACの定期演奏会は3度目となるオッコ・カム。2011-12シーズンよりラハティ交響楽団音楽監督を務めるなど巨匠としてのキャリアを積み重ねている彼が、遂に皆さんお待ちかねのオール・シベリウス・プログラムで登場します!フィンランドが生んだ偉大な作曲家=シベリウス。祖国を愛してやまなかったシベリウスの作品からは、フィンランドの民族的な色彩や雰囲気を感じ取ることができます。もとは野外劇の音楽として作曲され、後に演奏会用に組み直され今でも広く親しまれている組曲「カレリア」、シベリウス最後の交響曲で彼がそれまで追求してきた交響曲の集大成として位置する「交響曲第7番」、そしてシベリウスの作品の中でもとりわけ人気が高く演奏機会の多い「交響曲第2番」。第2番は、フィンランドの風土的感覚が強く示されており、シベリウスの個性が凝縮されている作品とも言えます。同郷のオッコ・カムのタクトで、シベリウスの神髄をじっくりとお聴かせいたします!(PAC公式HPより)』

 オッコ・カムさんは1946年生まれとありますから、今年で66歳におなりです。そういう目で見れば少し背中は曲がっているものの、まだまだ矍鑠としておられ、表情もにこやか。そして一旦曲が始まると、タクトさばきも軽やかに自在な身振りで、安定した指揮ぶりを見せておられました。

 一曲目の「カレリア」は独唱のない演奏のみのバージョンですが、第一楽章冒頭の牧歌的な弦の演奏から早くも北欧へ誘ってくれます。そしてそこから最もポピュラーな第三楽章の華やかな打楽器を交えたクライマックスまで、衒いのないオーソドックスな演奏で安心して聞けました。

 二曲目の7番は夫婦とも初めて聞く曲。シベリウス大好き、とか言いながら、まあ私たち夫婦のレベルはこんなもんです(笑。この曲は交響曲としては珍しく単一楽章で、シベリウスが追求してきた交響曲の要素を総てつぎ込んだ「集大成」だと解説に書いてありましたので、緊張して音出しを待ちます。まずティンパニが厳かに開始を告げ、それに弦の重厚なアンサンブルが重なっていきます。
 が、、、テンポにあまり抑揚のない、不協和音も混じる難しい弦の旋律に思わず眠気が。。。途中トロンボーンやフルートも入りはっと我に返りますが、またすぐに。。。
 てな具合で不謹慎ながら半分夢うつつで終わってしまいました。やっぱり素人はこんなもんです。

 休憩で気を取り直して、いよいよ耳に馴染んだ第2番。冒頭の漣のような弦の旋律は統制が取れていて期待十分。その後も破綻のないオーソドックスな演奏が続きます。そのまま第4楽章最後の最強奏部まで安心して聴くことができました。
 とは言え、失礼ながら今回のPACOの演奏は一定のレベルは維持しているものの、あまり高いとは思えませんでした。私のような素人でさえ、何回も聴きこんだこの曲ならば、各所で個々人の演奏力の差が聴き取れてしまいます。3日公演の最終日ですから、十分に仕上がっているはずでのこの演奏では少しさびしいな、と思ってしまいました。
 このオケができてからしばらくは、佐渡裕さんにより鍛えられ徐々にレベルが上がっていくのが楽しみでした。が、基本的には若い人を育てるオケというコンセプトですから、入れ替わりの多いこのオケが円熟に向かうということは残念ながらないのでしょう。となると技量差が聴き取れてしまうのはある程度仕方のないことなのかもしれません。

 ということで、いかにオッコ・カムとは言え、私が同じホールで心が震えるほど感激したヴァンスカ&ラハティ響第2番の演奏を、このオケで再現させることはちょっと無理でした。ちなみにオッコ・カムさんは現在ラハティ響の常任指揮者に就任されているそうで、機会があれば手勢を引き連れて来日していただきたいですね。

 とは言え、第二番全体を通しては概ね満足できる演奏でしたし、クライマックスはそれなりに感動しました。オッコ・カムさんもにこやかコンマスと握手されていました。アンコールは静かで美しい小曲「悲しいワルツ」で締められました。

 次回の私たちのPACOの定期演奏会鑑賞は金聖響指揮の「マーラー第7番」になる予定です。そう、キリ番企画でも取り上げたあの難解な「夜の歌」です。今度は居眠りしないようにしないと(苦笑。