ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

北壮夫氏を悼む

楡家の人びと (上巻) (新潮文庫)
 我々の世代には馴染みの深い、どくとるマンボウこと北壮夫氏が24日に亡くなられました。享年84歳とのことです。

 斉藤茂吉の息子にして、同じく精神科医、更には自身も躁うつ病。どくとるマンボウシリーズはその躁鬱の気が随所に見られるユニークなシリーズでした。一方で繊細で美しい処女作「幽霊」や、トーマス・マンの影響を受けたと思われる、自らの家族をモチーフにした大河小説「楡家の人びと」のような純文学の傑作を著されたり、非常にレパートリーの広い著作で我々の世代は楽しませていただきました。

 最近はあまり彼の著作を読むこともなくなっておりましたが、もう84歳になっておられたのですね。謹んでご冥福をお祈りします。