ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Omega / Asia

オメガ

 再結成おじさんプログレの雄Asiaの再結成アルバム「フェニックス」に続く第二弾が出ました。ちなみにAsiaはエイジアと読みましょう、日本語で書くと詠時感(w。さて第二弾はその名も「オメガ(Ω)」、タイトル通りこれで最後かと思いきや、ジョン・ウェットン曰く

「アルファ(α)がファーストアルバムでなかったように、オメガ(Ω)が我々のラストアルバムではない」

なんやねんその理屈は、と突っ込みたくなりますが、まあ内容は良かったのでよしとしましょう。

1. Finger On The Trigger
2. Through My Veins
3. Holy War
4. Ever Yours
5. Listen Children
6. End Of The World
7. Light The Way
8. I’m Still The Same
9. There Was A Time
10. Drop A Stone (日本盤ボーナストラック)
11. I Believe
12. I Don’t Wanna Lose You Now

John Wetton (B,Vo)
Steve Howe (G)
Carl Palmer (Ds)
Geoffrey Downes (Key)

『オリジナル・メンバーが再び結集し、ロック界に金字塔を打ち出した復活アルバム「フェニックス」から約2年、伝説の4人が更なる飛躍を求め完成させたエイジア待望のニュー・アルバム。このポップなメロディ、ドラマティックな展開はエイジア以外の何ものでもない。(AMAZON解説より)』

 解説どおり、デビューアルバム「Asia」から一貫したポップなメロディ、ドラマティックな展開がエイジア・サウンドの特徴で、その個性はロジャー・ディーンの印象的な意匠同様に数多く出たあの時期のスーパーグループの中でも際立っていました。実は私、このエイジア・サウンドの傾向は決して好きではない(苦笑。
 「嫌いじゃない」の間違いじゃないの?と言われそうですが実際それほど好きじゃないんです。4名個々のテクニックは凄いと思うんですが、サウンド・イメージを決定付けているのはジェフリー・ダウンズの豪華絢爛仰々しいキーボード・サウンドに他なりません。そういう意味では私の頭の中ではAsiaというのは

ダウンズのバンドである
UKまでがプログレでAsiaからは産業ロックである

と言う固定観念が出来てしまっておりました。だから個人的には初代UKの再結成の方が嬉しいけど、ビルブラが引退してしまいましたからもう仕方ないですねえ。それでもまあベースを抱いた渡り鳥ジョン・ウェットンが頑張ってるバンドですから応援はしてましたし、ウェットン&ダウンズもAisaの再結成も嬉しかったです。

 さて、今回のアルバム、どの楽曲も短時間でカチッとまとまっており、しかもバラエティに富んでいて楽しめます。ウェットン君の咽喉の調子も抜群ですし、何よりダウンズ君がそれほどでしゃばっていないところが良い(笑。それにあれほど仲が悪いと言われていたウェットン&ハウの共作がたった一曲とはいえ入っています(#2)、これには驚き。それにしてもハウさん、一番老けましたね。

 というわけで個人的にはデビューアルバム「Asia」以来久々に楽しめるアルバムでした。小難しい詞を仰仰しく歌っても全然陰影や深みが感じられないのはどうよ、とかいろいろ突っ込む事も可能ではありますが、野暮はよしましょう。素直に楽しめる明るいプログレです、是非どうぞ。