ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ラグビー2009年度高校、大学選手権感想

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帝京大東海大、帝京森田のトライ)
 ラグビー・シーズンも大詰めとなり、高校では東福岡高校、大学では帝京大学が日本一となりました。おめでとうございます。準決勝以降はほぼ全時間帯を観戦する事ができましたので簡単な感想など書いてみようかと思います。

 先ず大学選手権の決勝は常連の早稲田が早々に姿を消したためにフレッシュな対決となりました。帝京東海

1:FWを中心とした選手の大型化
2:外人選手の補強

と言う共通点があります。近年のトップリーグそのものと言う感じですね。準決勝ではこの2チームが慶応明治と言う従来の早稲田のような、日本人だけで構成された展開型ラグビーに競り勝ちました。早稲田が早々に姿を消した事から考えても時代が動きつつあり、大学レベルでもこういうチーム作りがこれからの主流となっていくのかなと思うとちょっと複雑な心境ではあります。

 こういう大型チームで実力が拮抗していると、どうしてもディフェンス合戦になり、陣地獲得もモール・ラックのボール支配から地道にゲインを切っていく形が多くなります。ラグビートップリーグでも、1、2位対決となった三洋サントリーの試合は16-16で引き分けました。他のチーム相手には怒涛の攻撃で余裕で大勝して来たチームですが、力が拮抗するとこうなるのですね。神鋼はそのサントリーに初戦で引き分けたんですが(苦笑。

 実はこれは世界的な傾向で、前回のラグビー・ワールドカップで超攻撃型のニュージーランドが早々に破れ、南アフリカのような屈強なFWが徹底的にディフェンスするチーム、イングランドウィルキンソンのようなどこからでもキックで点数を稼げる選手を擁するチームが勝ちあがってしまう事で実証されました。
 そのためにELVと言う新ルールが導入されましたが、素人にはやたらキック合戦が増えたという印象しか与えていないような気がします。こういう試合は玄人好みはしますが派手な得点合戦に比べると面白みには欠けるので、2016年に開催される日本でのW杯に向けたファン獲得にはどうなのかなあ、という危惧はありますね。

 さて、前置きが長くなりましたが、そのような2チームの対戦ですから接戦で少数点による僅差の勝負、僅かに帝京が有利と見ていましたが、その通り

14-13

という史上稀に見る僅差で帝京が制しました。手前味噌になりますが、まあ某所で対戦前に書いておいたので、少なくとも後出しじゃんけんではないとご理解ください(笑。まあ、帝京の方が去年決勝で敗れた悔しさを知っている分だけ1点勝ったというところでしょうか。全員にMOMをあげたい所ですが、やはり去年も印象深いプレーをしていたキャプテンNo8野口君でしょうか。公式インタビューで

「お疲れ様でした。今日の試合はありがとうございました。本当に嬉しいです。厳しい80分でした。どちらも力の差を感じない試合でしたが、最後まで自分たちが粘り強く、今までやってきたことを信じてやりました。ここまで導いてくださった監督、コーチングスタッフ、支えてくださった皆様に感謝します」

と語っていたのは立派な態度で感心しました。

 東海は、原巨人軍監督まで応援に駆けつけると言う熱の入れようでしたが、本当に惜しかったですね。準決勝でラインアウトなど、マイボールプレーが不安定だったのを良く修正していましたし、プレーの選択によっては勝っていたと思います。

 例えば敵陣での相手のペナルティで少なくとも二つはPGを狙える位置だったのを敢えて選択しませんでした。キッカーのFB豊島君が当たっていたので、こういう僅差の試合では狙って良かったのではないかと思います(但し2つとも決めなければセーフティリードにはなりませんが)。
 これは結果論ではなく、実際の最近のトップレベルの拮抗した試合では良く選択されるオプションで、弱気と責められるプレーではないと思うのですが、まあここまで辿り着くまでの確立されたプレースタイルを貫きたかったのだと思いますから仕方ないでしょう。

 さて、次は高校です。こちらは「一強」と言われていた東福岡高校が順当に優勝しました。高校でも外人選手は随分昔から参加していますが、それをモノともしない攻守ともに強力なチームには敬意を表したいと思います。接戦になったのが地区大会決勝の筑紫戦だけと言うのは凄いですね。あらためて、九州地区のジュニアのレベルの高さを感じます。私はこのチームの谷崎監督の

「怪我をしている選手は使わない」

というポリシーに100%賛成します。だから素直に優勝おめでとうと申し上げたいです。まあ、それだけタレントが揃っているから言える事だといわれればそれまでなんですが、これは是非他チームも見習っていただきたい。

 決勝で敗れた桐蔭学園も科学的トレーニングをするチームとして知られていますが、予想通り素晴らしいチームでした。東福岡相手にはディフェンスがどれだけ耐えられるかにかかっていると思いましたが、素晴らしいタックルを連発して怒涛の攻撃に耐えていた姿には感動しました。東福岡の谷崎監督が

「決勝の2校は高校生とは思えない」

と語っていたのが印象的でした。確かに準決勝で敗れた京都成章大阪朝鮮の2校が普通の高校生で作りうる最高レベルのチームだったと思います。それを考えると決勝の2校、一体どんな練習をしてるんでしょうか(^_^;)。

 おそらくこのあたりの年代から2016年のW杯の中心選手が出てくると思います。その可能性のありそうな選手を最後に挙げて締めくくりとしたいと思います。

東福岡: 垣永(PR)、水口(LO)、本田(SO)、布巻(CTB)、藤田(FB)
桐蔭学園: 竹下(WTB)、松島(FB)