ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Billy Bat 2 / 浦沢直樹

BILLY BAT 2 (モーニングKC)
 ちょっと紹介が遅くなってしまいましたが、浦沢直樹Billy Batの第二巻が出ています。「20世紀少年」「21世紀少年」を描き終えた浦沢氏が次に取り上げたのは「戦後日本の黒い霧」と言われた下山事件である、と前回第一巻の時に説明しましたが、第二巻に入ってとんでもない展開になってきました。

『六十年前、戦後最大の闇の中を跋扈し、二千年前、救世主と信じられた男の運命を紡ぐ......。そして五十年前のニューヨークでは、恋人たちに光をもたらす......。
 果たして謎の漫画、ビリーバットの正体は!?人類にとってその存在の理由は!?(帯より)』

 出だしは前回の続きから始まり、日本に来た「Billy Bat」の作者ケヴィン・ヤマガタが引き続き三鷹事件にも遭遇するあたりまでは何の違和感もなく読めましたが、その後いきなり話は2000年跳んでユダの裏切りによるキリスト処刑の場面となり、続いて人種差別の激しかった50年前のニューヨークでの白人金持ち男性と黒人労働者女性のラブ・ストーリー、それでほろりとしたと思ったら、息つく暇もなく次は日本の戦国時代織田信長による伊賀攻め間際に密書を託されて逃走する忍者。。。。。

 もうめまぐるしい展開で、先の予想が全くつきません。20世紀少年の次は堅実な歴史ドラマかと思いきや、それ以上の破天荒なストーリー設定です。まるで20世紀少年で謎解きゲームに熱中した一部ネット・マニア層に挑戦状を叩きつけているかのよう(笑。

 とにかく全てのシーンに登場するのは謎のアニメキャラクター、ビリーバット。最初は単なるこうもりを擬人化したアニメキャラの真の作者探しと日本の黒い霧を絡ませるだけかとだと思っていたら、何とかも知れないとはねえ。闇の中から人類の歴史のあらゆる場面を見続けてきたこのアイコンは一体何物なのか、とにもかくにもぐだぐだにはならないできっちり落とし前をつけてくださいね、浦沢&長崎先生!