ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Evidence / Re-Trick

Evidence
 今日のCDレビューは東京を中心に活躍する若手ジャズトリオ「Re-Trick」の最新アルバム「Evidence」です。こういうオーソドックスなピアノトリオで若手というのは珍しく、私は最近まで知らなかったのですが巷では結構話題になっているとか。

Re-Trick
井上 亮 (b)
渡辺 雅之 (ds)
菅原 敏 (p)

1. From J to Z 
2. Strings 
3. Stream of Pieces 
4. Evidence 
5. Ambivalent 
6. Archaic (Acoustic) 
7. Inner Flame 
8. Summertime 
9. So Far Away ~ You've Got A Friend 
10. Sebastian 
11. Good Fellow 
12. Lullaby 
13. Blue Motion 

『さらなる境地を切り拓き、刺激的に輝きを増す若きピアノトリオ『レトリック』、待望の新作フルアルバム!

より奥深く、刺激的に輝きを増す若きピアノトリオの3rdアルバム!スリリングかつ瞬発力あふれる演奏、美しいイマジネーションに満ちた楽曲・・・あらゆる面でさらなる進化を遂げたレトリックの姿がここに。収録13曲全て1発録音、そして完全アナログ・レコーディングによるリアルなサウンド。リスナーに感動と興奮をもたらす、次世代ジャズの新たなるページを開く1枚。』

 次世代ジャズかどうかはともかく、最近の若手の常でピアノのBINのテクニックは抜群です。冒頭の「From J to Z]でいきなり流麗・高速なパッセージが展開され、前半はそのままの勢いで突っ走る感じ。もちろん他の二人の演奏も上手く、タイトル曲「Evidence」でのマーシーのドラミングは印象的。この13曲を一発テイク、録り直し無しで録音としたとは大したものだと思います。

 とは言え、全体の印象はBINのワンマン・バンドという感じで彼のピアノがあくまで主役。時に変則的なリズムや不協和的な分散和音も顔を出しますが、モダンジャズ独特のブルース・フィーリングやモーダルな展開、ブロックコードなどは余り無く、どちらかというとヨーロピアン・ジャズ的なメロディラインを強調したジャズのように感じます。

 ジャズのお約束でスタンダードも後半に聴かせてくれます。8の「Summertime」は前半は全くサマータイムとは分からないインプロが延々続き、後半になってやっと主旋律が顔を出します。普通とは逆の展開が「Re-Trick」のトリックか?(^_^;)
 それに比べるとキャロル・キングのメドレー「So Far Away ~ You've Got A Friend」は比較的安心して聴いていられます。

 そしてバラード的な静かな2曲(11,12)を挟んで最後の「Blue Motion」でかっちりと決めて終わるところなど構成力もなかなかのものでした。

 伝統的なモダン・ジャズを期待すると「まだまだだな、コワッパめ」という事になってしまいますが、これがジャパニーズ・ジャズの新たな展開なのかもしれません。運転しながら聴いているととても気分が高揚してきますので、ドライブのお供にもいいんじゃないでしょうか。

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