ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

PLACE TO BE / 上原ひろみ

プレイス・トゥ・ビー(初回限定盤)(DVD付)
 今日最も脂の乗り切っている(体じゃないですよ^_^;)日本人女性ジャズピアニストの一人、HIROMIこと上原ひろみの新譜です。前作「Jazz In The Garden」はスタンリー・クラーク・トリオ名義のトリオ作でしたが、今回は初めてのソロ・アルバムとなっています。

上原ひろみの才能は無限だ。と,思わせるほどパーフェクトな出来ばえのソロ・ピアノ・アルバム。正確無比な高速のタッチ,クラシックの香り漂う演奏,悲哀のこもった音楽世界。聴きどころを挙げればきりがないが,いずれにしても上原が唯一無二のアーティストであるゆえんが詰まっている。今年の《東京 JAZZ》で共演予定の矢野顕子がボーカルをつとめたデュオ曲も必聴。(AMAZON解説より)

1. BQE
2. Choux a la creme
3. Sicilian Blue
4. Berne Baby Berne
5. Somewhere
6. Capecod chips
7. Islands Azores
8. Pachelbel's Canon

Viva! Vegas
9. Show City, Show Girl
10. Daytime in Las Vegas
11. The Gambler

12. Place to be
13. Green Tea Farm (Japanese Bonus Track) feat. 矢野顕子

 彼女は10年に一回はソロアルバムを作りたい、と思っていたそうで、機が熟した時期を迎え満を持して録音したようです。ピアノはYAMAHA CF-IIISです。以前紹介した小曽根真さんのソロアルバムと同じヤマハの最高機種のグランドですが、小曽根さんの音とHIROMIの音は随分違います。
 小曽根さんの方は長いキャリアを経てクラシックに軸足を移しつつあるため、打鍵やペダリング倍音や反響の余韻を味わいつつ来し方を慈しむ様に弾いていておられました。かたや、HIROMIは初挑戦と言う事で自由闊達に今の自分の思いのたけをピアノにぶつけている感じがします。必ずしもジャズの音ばかりではありませんが、その若さと意気込みがどの曲にも感じ取れて、聞いていて気持ち良いですね。

 ライナーや解説によりますと、題名は「今居るべき場所」という事になりましょうか。曲名からも分かるように、彼女が暮らした町、ライブで回った町の音によるスケッチブックとなっています。1はBrooklyn Queens Expresswayの略で目くるめく様な疾走感溢れるご機嫌なオープニングとなっています。その後
2: フランス、
3: シシリア島(前作にも収録、聞き比べると面白い)、
4: ベルン、
5: NY(オスカー・ピーターソンへのオマージュらしいです)、
6: ボストン(Capecod chipsは5年間暮らしたボストンの名物料理)、
7: アゾレス諸島
8: ドイツ、
と巡って行き、9~11は憧れの地、いつかはここで弾きたいとの強い思いを持ってラス・ヴェガスを組曲としています。このアルバムのクライマックスと言えましょう。

 そしてアルバムの題名にもなっている「Place To Be」に関してはHIROMIは

"Everyone is looking for the place to be.Where is mine?Where is yours?I believe life is like a big journey to find the place to be."

と記しています。聴く人各々が自分の居るべき、或いは思い出のある場所を思い浮かべながら聴くと心に響いてくると思います。私の場合はこの曲が映画「オリオン座からの招待状」の主題曲だった事もあり、小さい頃親がやっていた映画館を思い出していました。

 日本盤ボーナス・トラックの13はずばり茶畑、彼女の故郷静岡ですね。念願だった矢野顕子との共演を果たし、あっこさんのボーカルも入っております。好きな人にはたまらないサービスですが、どうも私はあっこさんのボーカルは(大汗(^_^;)。

 と言うわけで、素敵なソロ・アルバムを作ってくれました。神館和典氏のライナーによると、

「2日間のレコーディングは朝から深夜まで行われた。わずか2日で13曲!想像を超える体力と集中力でひろみは何度も鍵盤と向き合った。2日間の休憩は食事を5分ずつ2度だけ。おそるべし、上原ひろみ!」

だそうです。1950-60年代の天才肌のミュージシャン並の入魂振りですね。上原ひろみの20代の集大成、多くの方に聴いていただきたいアルバムだと思います。

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