ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

火天の城

Katen
はむちぃ: 本日の映画レビューは織田信長の最後の居城・安土城をつくった職人たちの物語「火天の城」でございます。
ゆうけい: 時代劇と言えば「飯綱落とし」を修行していたはむちぃ君は早く「カムイ外伝」を見たいでしょう(笑。
は: もちろんでございますが、前田有一様から「30点、今週のダメダメ」と烙印を押されてしまいションボリでございます。まあそれはそれといたしまして、この映画は城造りという珍しい題材でございますね。
ゆ: 探偵ナイトスクープ西田敏行局長がなんと嘉田由紀子滋賀県知事を引っ張り出すという力の入れようですからね、家内も是非見たいと言うもので、見てまいりました。

『 2009年日本映画、配給:東映

山本兼一が戦国時代の名工・岡部又右衛を描き、第11回松本清張賞を受賞した同名小説を映画化。天正4年、熱田の宮番匠・岡部又右衛門は、織田信長から安土に五重の城の建設を命じられる。又右衛門は即座にその命を即座に引き受けるが、城造りを指揮する総棟梁の座を名だたる番匠たちと競うことになってしまう。総棟梁の座を掴むため、城の図面作りに没頭する又右衛門だったが……。

監督:田中光敏
脚本:横田与志
原作:山本兼一
キャスト:
西田敏行福田沙紀椎名桔平西岡徳馬渡辺いっけい寺島進山本太郎石田卓也河本準一大竹しのぶ 他』

は: 従来の時代劇と異なり、武士や忍者ではなく、信長が見込んだ熱田の宮大工・岡部又右衛門を中心に描いてなかなかの力作でございました。
ゆ: そしてこちらは史実として、できてからたった三年で消失した幻の巨大城である事を知っていますから、織田信長の天下の儚さをも知っているわけで、なかなか感慨深いものがありましたね。
は: 建築現場の俯瞰や、正確な情報のない安土城を視覚化したその映像には息を呑む思いでございました。
ゆ その辺のVFXは見事なものがありました。建築現場の壮大さと無数の働く人々の描写は「ロード・オブ・ザ・リング」の最終話を思い出させるほどの出来栄えでしたね。そしてラスト・シーンの、3年の歳月を費やして完成し信長がライトアップさせた城のショットにはさすがに感動しました、まああれだけでも映画館の大画面で見る価値があるんじゃないでしょうか。

は: さてストーリーに戻りますが、棟梁の西田敏行様の設計・建築への熱意と艱難辛苦を軸に様々な人間模様が綾なして描かれております。
ゆ: 「この安土の山一つを城にせよ」という椎名拮平の台詞がトレイラーで散々流れておりましたが、たったの三年で建てるように命じられちゃ西田敏行もたまりませんね(笑。それにしてもCADCAMのない時代。墨と和紙、定規、算盤であれだけの城を設計し完成させた日本の木工技術のレベルの高さを再認識いたしました。
は: その3年間の苦労の中でも、親柱となる檜の巨木を敵国である木曾に出向いて探し出す苦労、石工頭が祟りを恐れて動かしたくない三万貫の蛇石を築城奉行の命令で無理矢理運搬させられる事になった際の大事件の二点を中心に描かれてまいります。
ゆ: この二点に絞ったのは構成上正解だったと思いますし、見応えがありましたね。西田敏行の気概に惚れこんで命を賭して大雨の日に巨木を切り出した杣人頭緒形直人の最期には思わず目頭が熱くなりました。が、、、それ以外の泣かせどころが無理矢理であったり、展開の間が悪かったりで正直言って全体を通していえばイマイチつまらなかったですね。
ゆ: 西田敏行を支えた妻大竹しのぶの病死や、敵国の忍びであった水野美紀と彼女に惚れ込んでいた大工の悲惨な最期などでございますか?
は: そうですね、その辺の処理がどうもうまくないですね。もっと感動していいはずの場面がやけに軽いんですよ。これはカット割の間の悪さであるとか、細部の演出の不足であるとか、各シーンのつながりの悪さであるとか、原作を読んでいないと分からない機微の説明不足であるとか、要するに脚本・演出の責任でしょうね。

は: 裏を返せば俳優陣は頑張っていたと言えましょうか。
ゆ: 何しろ主演が西田敏行さんですからねえ(笑。そこまで気張ったらまた心筋梗塞再発しますよ、と言うくらい頑張ってましたね。信長を演じた椎名桔平に関しては家内はあまり良くなかったといってましたが、私は良かったと思いますね。その他も男優は芸達者のおっさんじいさんばかりですからね、見事に濃い演技を見せてくれました(苦笑。

は: 女優陣はいかがでございました?
ゆ: それを言わせますか(爆。。この映画の最大の問題なんですけど。
は: 大竹しのぶ様や水野美紀様は安心して見ていられたと思いますが。。。ということはやっぱり福田沙紀様でございますか。
ゆ: で・す・ね。まるで現代人があの時代にタイムスリップしちゃったような台詞と演技で一人見事に浮いておりましたね。
は: 時代考証をしてはいるんでしょうけど「とうさん」はないんじゃないかと私メも思いました。
ゆ: まあ言っちゃ悪いけど見事なミスキャストでしたね。彼女はやっぱりヤッターマンのような役柄で押していくべきでしょう。
は: 田中光敏監督は「化粧師」では菅野美穂様、池脇千鶴様をうまく使われておられましたのにね。
ゆ: まああれは大正時代の物語で漫画原作という事もあってうまく成立していたんでしょう。やっぱり最近の監督は若手女優に甘すぎますよね、本当に本人が時代劇をやりたかったのならもっと徹底的に演技指導するべきだったと思います。黒澤明監督なら多分10kgくらい痩せさせるくらいの指導をしてますよ、きっと。

は: では最後に一言お願いいたします。
ゆ: こう言う真面目な映画はなかなか貶しにくいのが難点ですな(苦笑。まあ監督・脚本家の力量不足を俳優の演技とVFXで補った映画でしょう。
は: と厳しい意見もございましたが大画面に耐えうる壮大な時代劇ではございます。時代劇ファン・城ファンの方はぜひどうぞ。

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