ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

はむちぃの夏休みお勧め洋画2本

Eisenheim
( The Illusionist )
 皆様こん**は、はむちぃでございます。本日は主人のゆうけいが高村薫女史のご著書により前頭連合野オーバーロード状態でございまして、

「何も考える気がせん、はむちぃ、よろしく頼む」

との一言を残して呆けております故、久々に私メがレビューを担当させていただきます。
 今年は洋画のレビューが少のうございますが、結構観てはおります。その中から、もう新作時期を過ぎて借りやすくなったDVDなどを2本、前田有一様のレビューも参考にしながら紹介させていただきます。よろしくお付き合いくださいませm(__)m。

1:ワールド・オブ・ライズ( Body of Lies )

前田有一採点:70点
はむちぃ採点: 75点
ゆうけい一言: リドリー版アラビアのロレンス

ワールド・オブ・ライズ 特別版 [DVD]

『2008年/アメリカ/カラー/128分/配給:ワーナー・ブラザース映画
監督・製作:リドリー・スコット 
脚本:ウィリアム・モナハン 
原作:デイヴィッド・イグネイシアス 
出演:レオナルド・ディカプリオラッセル・クロウマーク・ストロング、ゴルシフテ・ファラハニ

アラビア語を駆使し、イラク社会に溶け込んでいる若きCIA局員フェリス(レオナルド・ディカプリオ)。現地の風習を理解・尊重する彼に対し、直属の上司ホフマン(ラッセル・クロウ)は「中東は人の住むところではない」とうそぶくような男。安全な本国から電話一本で部下をこき使うくせに、献身的な現地協力者でさえ必要とあれば平気で切る冷酷さを持っていた。 長年追うテロ組織のリーダーをなかなか探り当てられない彼らだったが、ある手がかりからホフマンはフェリスにヨルダン行きを命令。そこでヨルダン総合情報部(GID)の局長ハニ・サラーム(マーク・ストロング)の協力を得よという。(前田有一の超映画批評より)』

 これぞ良くも悪くもハリウッド、典型的なCIA対アルカイダのアクション・ムーヴィーでございます。主人のゆうけいはこういう「金はかけたぞ、食らえこの野郎」的な映画には辟易しておりまして、普段は敬遠しがちなのでございますが、それでも観てしまったのは一重に監督が「ブレードランナー」「ブラック・レイン」「グラディエーター」「ブラックホーク・ダウン」のリドリー・スコット様故でございましょう。

 リドリー・スコット映画といえば何と申しましても独特な映像美が最大の魅力でございますね。今回も北アフリカのロケにおいて8台のカメラを常時同時に作動させて撮影された映像美には目を奪われるものがございます。途中でラッセル・クロウアラビアのロレンスを揶揄するシーンがございますが、あの映画を髣髴とさせるものがございました。

 内容も元ワシントン・ポスト中央アジア派遣記者デイヴィッド・イグネイシアスと綿密に練り挙げた原作を「デパーテッド」のウィリアム・モナハンが脚本に書き下ろしただけの事はあり、実によく考え抜かれております。CIAの諜報部員が場末の看護士にころりと参ってしまう如何にもハリウッド的な安直な設定はいかがなものかとは思いますが(笑。

 アラビアのロレンスではオマー・シャリフが主演のピーター・オトゥールに負けない存在感を示しておられましたが、今回はハニ・サラーム役のマーク・ストロングが美味しいところをさらった感がございます。ラッセル・クロウの老練な演技、すっかり演技派俳優となられたレオナルド・ディカプリオの体を張った素晴らしい演技もさすがと思わせはいたしましたが、マーク・ストロングは「嘘」を絶対に許さないエリート・アラブ人の情報部局長という役どころを圧倒的な存在感で演じておりました。ディカプリオに「Don't tell me a lie!」と釘をさすところなどはゾクゾクいたしましたね。

 という訳でございまして、前田有一様の「映画自体の思想が古い」という厳しい指摘は甘受すべきとは存じますが、それでもリドリー・スコットの隅々まで配慮の行き届いた映像美と役者を活かす監督手腕により観るに値する映画となっている点を評価し、75点をつけさせていただきました。

2:幻影師アイゼンハイム(The Illusionist)

前田有一採点: 60点
はむちぃ採点: 78点
ゆうけいの一言: この監督はフェリーニ・フォロワーか?

幻影師 アイゼンハイム [DVD]

『2006年/アメリカ・チェコ/109分
監督: ニール・バーガー
撮影:  ディック・ポープ
音楽: フィリップ・グラス

長きにわたり隆盛を誇ったハプスブルグ家も斜陽にさしかかった19世紀末のオーストリア、ウイーン。天才イリュージョニストのアイゼンハイム(エドワード・ノートン)のショーを観に、皇太子レオポルド(ルーファス・シーウェル)が許婚のソフィ(ジェシカ・ビール)とやってくる。出し物に参加させるためソフィを舞台にあげたアイゼンハイムは、彼女がかつて自分とかけおちを誓った幼馴染だと気づく。

さて、アイゼンハイムは身分の差により引き裂かれた彼女との恋をずっと忘れられずに生きてきた男。一方ソフィも、傲慢なDV男のレオポルドとの政略結婚などイヤイヤ。今でもアイゼンハイムだけを愛している。キツい監視下で再び互いを求めあう二人だが、その先には過酷な運命が……。』

 舞台は10世紀末のウィーン、華麗なる幻影師と貴族の女性の恋物語といえばヨーロッパ映画かと思いきや、みんな英語を話しているというのが最大の驚きだったとゆうけいが申しておりました(笑。

 冗談はさておき、本筋は貴族と賎民の恋物語というべたなネタでございます故、映画の成功の如何は映像の素晴らしさにかかっているといっても過言ではございません。その一点においてこの映画は素晴らしい出来であり、観る者を引き込んで止みません。耽溺できる、と申し上げてもよいくらいでございましょう。
 プラハで撮影されたという19世紀末のウィーンの情景や、衰退しかかっているとはいえ欧州一の貴族であったハプスブルグ家の皇太子の宮廷のさすがの絢爛豪華さ、そしてまだ電気の無い時代の炎による劇場の照明などがとても印象的で、ちょっとフェリーニ映画を思い起こさせるほどでございました。

 主人公アイゼンハイムのイリュージョンのVFXも見所でございます。しかし中にはあまりにも見事すぎて現実感が無いものもございました。また、彼の仕掛けるヤマ場のトリックがあの時代ではとても無理だろうと思うほど荒唐無稽なのが難点ではございますが、まあそんな事をいうのも野暮だろうというくらい素晴らしいイリュージョンを堪能できる事は間違いございません。

 さて、キャストで一番のキーとなる俳優は主演女優のジェシカ・ビールでしょう。彼女の役柄に求められるのはハリウッド的美貌でもなく、闊達な演技力でも無く、全ての所作に高貴な雰囲気を醸し出せる点であると思いますが、それを十分にこなしておられました。主人のゆうけいが「あの女優がこんな高貴な演技が出来るとは」と驚いておりましたが、この映画をきっかけに演技派として広く認められたそうでございます。これからの活躍が楽しみな女優さんですね。
 そう言えば警部役のポール・ジアマッティ髭男爵に見えて笑えてくるとゆうけいが申しておりました。

 以上、前田有一様は冷静に評価して60点という辛い点数をつけておられますが、雰囲気を楽しむ映画としては素晴らしい出来である事、それにフィリップ・グラスのミニマルでモノトナスな弦の響きが意外に映像にフィットしている事を加点して、78点をつけさせていただきました。

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