ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Talking With Strangers / Judy Dyble

Talking with Strangers
  前記事で一体何時になったら着くことやらとぼやいていたら、それが天に通じたんでしょうか、突然に配達されてきました。イギリスのベテラン・フォーク・シンガーJudy Dybleの新譜「Talking With Strangers」です。2004年にちょっとだけ紹介した「Enchanted Garden」以来5年振りとなりますね。
 ジュディ・ダイブルと言ってもご存知ない方も多いとは思いますが、イギリスの伝説のフォーク・バンド、フェアポート・コンヴェンションのオリジナル・メンバーであり、更にはイアン・マクドナルドの恋人であった関係でキング・クリムゾンの結成時にも少し関わっていました。第3期KC解散後に出された「Young Person's Guide To King Crimson」には彼女がメイン・ボーカルをとる「Talk To The Wind」が収録されています。
 今回はそのコネクションを活かしてKC人脈からは何と直々にロバート・フリップ翁、元恋人のイアン・マクドナルドパット・マステロット、フェアポート・コンヴェンションからはサイモン・ニコル、ペンタングルからジャッキー・マックシー、更にはオール・アバウト・イヴからジュリアン・リーガンと、見る人が見れば(笑)垂涎の超豪華ゲストが参加しております。

1: Neverknowing
2: Jazzbirds
3: C'set La Vie
4: Talking with Strangers
5: Dreamtime
6: Grey October Day
7: Harpsong  ~Harpsong  Instrumental ~

 まあ豪華ゲストはさておいて、今回のアルバムの中核となるのはNo-ManのTim BownessとCromer MuseumのAlistair Murphyの二人。ジュディのライナーノートによると、二人の子供が手を離れて後インターネットを使うようになり、新たなミュージシャンとのつながりができティムと知り合う事ができ、ティムからアリステアを紹介された、との事です。

 この3人を中心に、期待通り、懐かしくも新しいトラッド・フォークの世界が展開されていきます。クラシカルなFC時代の雰囲気そのままの「Neverknowing」に続き、少しボーカルにイフェクタをかけて夢想的な雰囲気をかけ、更にはイアンのフルートが初期KCを髣髴とさせる「Jazzbirds」、そしてELP時代のグレッグ・レイクの名曲「C'set La Vie」と続くあたりはオールド・ファンにはたまらない構成ですね。

 タイトル曲「Talking with Strangers」は、中核となる3人で完成させたとても美しい曲で、アリステアの流麗なピアノをバックにジュディとティムがデュエットしております。「Dreamtime」ではティムとジャッキーがバックボーカルを取り、イアンが再びフルートを演奏、そしてあのパットが大人しくドラミングしております(笑。デュエットの「Grey October Day」をはさみ、いよいよ最終曲「Harpsong」で大団円を迎えます。

 この「Harpsong」、先ずは19'19"という演奏時間がプログレしております。そして動員人数も凄い。中核の3人に加え、上に挙げたゲストをすべて総動員。そして途中でいきなりそれまでのトラッド・フォークの雰囲気を完全にぶち壊すKCも真っ青なインプロヴィゼーションが展開されます。いやあ、やってくれましたわ(笑。この一曲だけでもKCファンには貴重なコレクト・アイテムと申せましょう。

 というわけでたった7曲しか入っていませんが、ブリティッシュ・トラッド&プログレ・ファンなら買う価値あり、の一枚でございます。