ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

千住真理子とイタリアの名手たち@兵庫芸術文化センター

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 先日のライブレポートで、「夜のガスパール」を一度生で聴きたかったと書きましたが、弦楽器ではベタですがヴィヴァルディの室内楽を聴きたいと思っていました。そんな折り、千住真理子さんがヴィヴァルディの国、ヴァイオリンの故郷イタリアから呼び寄せた熟練の名手とともに兵庫県立芸術文化センターでコンサートを開催されたので出かけてきました。

Date: July 25th. 2009
Place: 兵庫県立芸術文化センター 大ホール

演奏:

千住真理子  (vn)
ピエロ・トーゾ (vn)
ピエルパオロ・トーゾ (cel) 
エルネスト・メルリーニ (cen) 

プログラム :

ヴィヴァルディ: トリオ・ソナタ ニ長調 Op.1-6 
ヴィオッティ: 2つのヴァイオリンのためのセレナード 第3番 ト長調 
ヴィヴァルディ: 協奏曲集「調和の霊感」より 第8番 イ短調 Op.3-8
ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集「四季」Op.8より “春”
-intermission-
ヴィヴァルディ:  協奏曲集「調和の霊感」より 第6番 イ短調 Op.3-6
ヴィターリ:  シャコンヌ ト短調 
ヴィヴァルディ: ソナタ イ長調 Op.2-2 (without Mariko)
ヴィヴァルディ: 協奏曲集「調和の霊感」より 第11番 ニ短調 Op.3-11

Encore
ヴィヴァルディ: 「四季」より 冬 第2楽章
ヴィヴァルディ: 「四季」より 夏 第3楽章

『マンジャーレ(食べて)、カンターレ(歌って)、アモーレ(愛して)の国。そんな陽気で愛に満ちあふれたイタリアから音楽の名手たちがやってきます。共演するのは、人気ヴァイオリニスト、千住真理子。千住さんは、芸術文化センターの開館以来、「オペラハウスでオペラ・アリアを」をテーマに、オペラのアリア集を演奏、楽団との共演、無伴奏リサイタルなど、様々な顔を見せてくれました。そして、2009年夏、太陽の輝く季節、イタリアの名手たちとのバロック共演が4度目の登場となります。
イタリアを代表する作曲家、バロックの巨匠、といえば、まず、その一人はヴィヴァルディ。私たちが大好きな「四季」を作曲。今回の“サロン風”コンサートでは、抜粋して「春」をお聴きいただきます。ヴィヴァルディのいくつかの作品のほか、ヴィターリ、ヴィオッティの二人のイタリアの作曲家の作品をお楽しみいただくコンサート。4人の名手たちが、優雅なヨーロッパのサロンの世界へと誘います。(HPより抜粋) 』

 構成はヴァイオリンx2チェロチェンバロの3種4器です。ホールの規模としては中ホール程度が最適なのだろうと思うですが、千住さんの集客力を考えると大ホールも止むを得ません。実際、地味目のプログラムにもかかわらず2000席余ある大ホールが超満員でした。

 グリーンのロングドレスが映える千住真理子さんの持つ淡色系のストラディヴァリウスデュランティの響きは明朗ながらも陰影のある深みのある音で、あれだけの大きさの会場の空気をある時はたおやかに、ある時は激しく動かしていました。ピエロ・トーゾ氏のヴァイオリンは渋い、の一言でマエストロという言葉がぴったりでした。前半の2、3作品などではまさに「ツイン・リード」ヴァイオリンで見事でした。ウィッシュボーン・アッシュみたい、と言うのは冗談ですが、先日紹介したカルミニョーラムローヴァの絡みを思いだしました。

 チェロとチェンバロはサポートに徹しておられましたが、視覚的にはオレンジ色に彩色された美しいチェンバロの存在感は抜群でした。それに比して音が小さいのには少々驚きました。ピアノよりは音も残響も控えめなのは十分理解していましたが、聴覚的にはヴァイオリンよりもずっと控え目な音量です。弾いておられるのは古楽音楽学者でもある方なのでこれが真に正しい弾き方なのだと思います。やはり中ホールくらいが最適なのでしょうね。

 さて、プログラムは、千住さんが以前から大好きなヴァイオリンの故郷であるイタリアの古楽集です。当然ヴィヴァルディ、特に四季の「」がメインになるのは当然ですが、個人的には「調和の霊感」の第8番がよかったです。特に第二楽章は意外なほどパセティックで、二人のヴァイオリンが濃厚に絡みあいながら奏でる美しい旋律が所謂「ヴィヴァルディ調」から一歩抜け出したロマンを感じさせました。また、ヴィオッティもヴィターリもいいアクセントになって眠くならずに済みました(笑。

 でも最後の2曲まで至るとさすがにヴィヴァルディ調に少々飽きてきて、やっぱり四季からどれかをやってほしかったな、と思いました。
 その辺は千住さんも分かっておられたのでしょう、アンコールで冬2夏3を演奏すると言う大サービスをしていただきました。最後のスリリングな夏3ではまさにエンジン全開、雷鳴や雹を表現した激しく速いパッセージを千住さんとトーゾさんが競い合い、終了後は大ホールを揺るがすようなスタンディング・オベーションに包まれました。
 というわけで千住さんが満を持して催したプログラムだけの事はある、充実した演奏会でした。また一つ勉強できた事に感謝しつつ帰路につきました。

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