ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Jazz In The Garden / The Stanley Clarke Trio

ジャズ・イン・ザ・ガーデン
 スタンリー・クラークの新作は、驚いたことに彼の長いキャリアの中で初めてのフル・アコースティック・アルバムだそうです。と紹介するよりも、日本のファンにはHIROMIこと上原ひろみの新譜だよ、と紹介した方がそそられるかもしれませんね。

The Stanley Clarke Trio
Stanley Clarke - Acoustic Bass
Hiromi - Piano (Yamaha)
Lenny White (Drums)

1. Paradigm Shift (Election Day 2008) 
2. Sakura Sakura 
3. Sicilian Blue 
4. Take the Coltrane 
5. 3 Wrong Notes 
6. Someday My Prince Will Come 
7. Isotope 
8. Bass Folk Song, No. 5&6 
9. Global Tweak 
10. Solar 
11. Brain Training 
12. Under the Bridge 
13. L's Bop (Japanese bonus track)

 桜(?)の花の前で3人が和やかに微笑んでいるように、演奏も終始3人の息がぴったり合っています。特に年長の二人のリズム・セクションは長い付き合いでもあり、完璧そのもの。それに30歳ほどの年の差のあるHIROMIがうまく入り込んでいるという印象。さすがの才媛です。

 個人的にはこの面子を見た時には当然ながらRTF(リターン・トゥ・フォーエヴァー)のような音楽を期待したのですが、今回は完全にアコースティックのみで、商品説明曰く「ストレート・アヘッド・ジャズ」です。もちろんどの曲の演奏もクオリティは高く凡曲は無いのですが正直なところ

随分エンジンのかかりが遅いアルバム

だなあ、という第一印象でした。あくまでも素人の意見ですが、ベストテイクと思えるのが10~12あたりで、それまでが少々退屈なんですね。

 1でオバマ大統領を祝し、2で日本に敬意を表する、なんて事をこのアルバムを聴く人が本当に期待しているんでしょうか?3でようやくHIROMIのオリジナルが出てきますが、随分地味でオーソドックスなトリオ演奏です。わざわざHIROMIが書かなくても?と言う感じもしますが、今後へのステップと捉えているんでしょうか。

 そんなややかったるい感じをひきずりつつスタンダード演奏が続き、HIROMIは7あたりから、スタンは得意の8あたりからようやくエンジンがかかりはじめ、9,10で二人が熱くなり、HIROMIのオリジナル曲11「Brain Training」でとうとうクライマックスを向かえます。12はレッチリのカバーでHIROMIの個性が全開、ライブで言うとアンコール曲という感じです。なお、12は日本盤のボーナス曲でレニーのドラムをサービスと言ったところです。

 はっきり言ってスタンのリーダーアルバムという形を取ってはいますがHIROMIのファン層を購買のターゲットにしているはずです。そういう意味ではこんな堅苦しい構成にせずに最初からHIROMIのはじけっぷりを見せたほうが良かったんじゃないかと思いますね。或いはこれが最初の挨拶代わりで、次はRTFをアヴァンギャルドにしたようなアルバムを作ってくれるのならば嬉しいですが。

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