ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

平原綾香@神戸国際会館

Ayakapoi
 2月に始まった平原綾香のツアー「Concert Tour2009 Path Of Independence」がようやく神戸国際会館にやってきました。「風のガーデン」のファンだった家内と二人で見てきました。

平原綾香 Concert Tour 2009
Path Of Independence

Date: Apr 4th, 2009 17:00-
Place: 神戸国際会館

Ayaka Hirahara: Vocal and Sax

「高架下バンド」 are

Dr.kyOn: piano, kbds, and musical producer
Yasuo Sano: ds
Masahiro Inaba: g
Mamoru Furusawa: g
Jiro Okada: b

Setlist:
1. ノクターン
2. 一番星
3. 孤独の向こう
4. 朱音
5. 雨のささやき
6. 今、風の中で
7. 明日
8. 誓い
9. Band Instrumental ~Insturmental Featuring Sax by Ayaka Hirahara
10. Re:PEPPER
11. i'm Beginning To See The Light
12. 今・ここ・私
13. Medley: 空に涙を返した~天使の梯子~さよなら私の夏
14. 虹の予感
15. 星紡むぎの歌
16. Jupiter
17. Path of Independence

EC
1. カンパニュラの恋
2. To be Free

 平原綾香については、「今日の一曲」で「星つむぎの歌」を取り上げた程度で、あまり話題にしたことはありませんでしたが注目はしていました。6年前洗足音大在学時代にホルストの「木星第二楽章」に歌詞をつけてデビューした時は、企画自体にケレン味が勝ちすぎており好きになれませんでした。しかし、「明日」というバラードがとても良くできているのに感心し、カバー集の「from to」は愛聴盤になりました。
 まあ、そんな私の思惑とは全く関係無しにどんどん彼女は売れっ子になっていき、ニューアルバムの「Path Of Independence」はなんと14曲中11曲が何らかのタイアップ曲であるというterifficな構成となっております。

 そんな彼女が大学を卒業し、いろいろと悩みながらも「自立への道(path of independence)」を模索しながら完成させたこのアルバムを今回は全曲歌います!と高らかに宣言したのが今回のコンサートツアーです。さて、どんなステージを見せてくれるのか楽しみに出かけました。
 まず恒例によりパンフレットを買ってみましたが、何と最初の挨拶と最後のクレジット以外全部彼女の写真。。。写真集じゃん(笑。

 で、気になったのがバンドの構成。全く予備知識無しで出かけたのですが、リーダーはDr.kyOnであとはギター2本、ベース、ドラムと言う5人構成で、これは完全にロック由来の方法論(by 渋谷陽一)的構成です。予想していたアコースティックセクションは無し、これは意外で意表をつかれました。

 キョンさんと言えばボ・ガンボスに始まり、佐野元春カルメン・マキ等のステージで度々その長身長髪サングラスの雄姿を目にしており、そのマルチプレーヤーぶりは知ってはいますが、流儀はやはりロック寄りの人です。
 えっ、平原綾香ってロックミュージシャン?と必死で彼女の曲を思いだしてみましたが、どう考えても彼女はビートで勝負するタイプで無く、メロディを朗々と歌い上げる、クラシック寄りの歌手に違いありません。このアンビバレンスをどう折り合いをつけてくれるのか、やや心配しつつステージの幕が上がりました。

 真っ暗な舞台に突然スポットライトが二つ当たり、キョンさんのピアノをバックに平原綾香が「ノクターン」を熱唱して舞台は幕を開けました。その歌唱、声量はさすがに素晴らしく、文句の付けようが無いくらい上手いです。声質に突出した特色が無いのとPAの音量が大きすぎて少し耳が痛かったことを除けば、その後のステージの展開も見事なものでした。結構アップテンポな曲もこなせますし、ジャズのスタンダードも歌わせると結構上手いし、ステージアクションもそれなりに修練しています。

 MCもそつなくこなすし、ステージマナーも良く、更には結構笑いを取るポイントも心得ている。立ち見まで詰め込まれた神戸国際会館の大ホールの老若男女の広いファン層を十分満足させるパフォーマンスだったと思います。

 大学時代学んでいたサックスも一曲披露してくれましたがクラシック色は無く、随分フュージョンの色が強かったですね。バックの軽快な演奏ともあいまって目をつぶって聴いているとSpyro GyraJay Beckensteinが吹いている様な錯覚を覚えました。サックスプレーヤーのお父さんの影響かもしれませんが。

 さて、先ほど危惧したバンドとの相性はどうだったのか?答えは簡単でバンドの力量が並々ならぬもので、スローバラード、クラシック、ジャズ・フュージョン、ロック、スパニッシュ何でもござれで見事に対応してくれていたんですね。そんな中でもやっぱりキョンさんだなあというアレンジが随所にあり、ニヤリともし、苦笑いもしておりました。もちろん5人だけではアルバムに収録されているサウンドイフェクトなどは再現できないので打ち込みです。おそらくキョンさんのシンセにシンクロさせてあるのでしょう。

 そんなバンドの中でも私の目と耳が釘付けになったのがベース岡田治郎さん。全く知らなかったのですが、最初の2,3曲でそのテクニックとセンスに唖然呆然となりました。何者だ、この人は!?とメンバー紹介を楽しみにしておりましたが、なんと平原綾香さんが通っていた洗足音大の講師の先生だとのことでした。帰ってきてバイオグラフィーを調べてみてまたまたビックリしたのですが、なんと懐かしのフュージョングループPRISMのメンバーなんですね。って、PRISMまだやってたんだ(^_^;)。

 さて、平原綾香の曲に戻りますが、まあ何やかや言っても私が感動したのはスローバラードです。「明日」「星つむぎの歌」「Path Of Independence」あたりが最高に良かったですし、彼女の持ち味が最大限に発揮されるのはこういう曲だと思います。
 「明日」ではキョンさんが弾くアコーデオンがとても印象的なアクセントを付けていました。原曲では途中でチェロの独奏が入るのですがそれを岡田治郎さんのエレクトリック・ベースが見事に代替していました。でも欲を言えばやっぱりチェロかコントラバスで弾いてほしかったです。
 「星つむぎの歌」は一旦彼女が退出して舞台が暗転し、バックにスペースシャトルエンデバー号などの映像が映し出され、サウンドイフェクトとともに土井隆宇宙飛行士の「素敵なWAKE UP CALL曲をありがとう」という交信が流れ、その後で真っ白なドレスに着替えた彼女が登場し熱唱するという、タイアップ曲ならではの演出が光りました。パンフレットに「一緒に歌ってください」と書いてあったように途中でサビの部分の歌詞がバックに映し出され会場全体が斉唱するあたりはなかなか感動的でした。そこから「Jupiter」に持っていく怒涛の展開は勝負曲を持っている彼女の強みでしょうね。
 「Path Of Independence」は途中のMCで度々語っていましたが、大学を卒業後迷いも不安もあったけれどもこの世界で生きていく決心を固めたという、決意表明のような曲で、作詞は姉のAIKAさん。姉は私の気持ちを良く分かってくれていると感謝してラスト曲として熱唱し、ステージ中央にしつらえられた「自立への道」を通って退出していきました。

 というわけでなかなかに感動的なステージで、今後の彼女の方向性がある程度見えた気がします。個人的にはアンプラグド・コンサートもしてほしいですね。

I have nothing, nothing left to fear. ( Path Of Independence )

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