ゆうけいの月夜のラプソディ

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第88回高校ラグビー大会決勝

Kunisadatry
常翔啓光学園WTB国定周央選手のトライ)
 第88回高校ラグビー大会決勝で常翔啓光学園が優勝しました。おめでとうございます。

決勝: 常翔啓光学園 24 - 15 御所工・実

 同じAシードではあるものの実力差は歴然としていたので、啓光の圧勝かと思っていましたが、御所も後半シード校の意地を見せ2トライをあげたのは立派だと思います。

 啓光学園は典型的なバックスのチームですが、超高校級のウィング国定君と言う飛び道具を持っているのが強みです。この決勝では杉本監督が初めて国定君に「思うように走り回れ」と言う指示を出したそうです。結果、チームプレーと言う足枷を解かれ華麗なステップと異次元の速さでグラウンドを駆け回りましたので、御所も防御のしようが無かったですね。
 彼のお父さんの国定精豪さんもトヨタで活躍した名WTBでしたし、お祖父さんはかつての名門目黒高校の名監督梅木恒明氏だそうで、まさにサラブレッドですね。将来の日本を代表する選手に育って欲しいものです。

 もちろんウィングまでボールが回らなければ活躍のしようもない訳ですが、その意味でNo.8、ハーフ団、CTB、FBの中心軸がしっかりしている事が啓光の強みだと思いました。特にNo.8の君、CTBの森田君、三原君が印象に残りました。

 私の地元奈良県御所工・実も、暫定的新ルール(ELV)や高校特有のルールの恩恵もあっての事だと思いますが、小型チームでありながらよくここまで頑張ってきたと思います。SH前川君のハイパント、SO吉井君の判断力でチームを自在に動かし大型チームを翻弄して来たのは痛快でさえありました。
 が、似たようなスピード型チームで、一枚上手の相手だと逆にチームの個性を悉く潰されてしまいました。相手のプレッシャーが強くてハイパント攻撃が機能せず、かといって吉井君にボールが回っても孤立していて動きようがない、という状況ではいかんともしがたかったですね。その中で見せた意地の2トライを褒めてあげたいと思います。この校名での出場は最後になりますが、準優勝という結果には胸を張って帰郷して欲しいです。

 常翔啓光学園は校名が変わってから初の優勝ですが、通算では7回目の優勝となり、秋田工、同志社に次いで歴代3位となりました。
 ちなみに常翔と言う学校法人は摂南大学啓光学園、前・大工大付属を包括しており、摂南大は早くも大学選手権で初勝利をあげましたし、常翔学園(前・大阪工大高)は「裏花園」とも言われているサニックスワールドユース予選会でこれも同じく対奈良対決で天理を破って優勝しています。
 となると、今後も啓光を中心にベスト4が大抵大阪、京都、福岡あたり、と言う時代が当分は続きそうですが、それでは高校ラグビー会全体にとっては決して良くないと思います。かつての名選手が育てたチームが初出場した滋賀(光泉高校、薬師寺氏)や高知(高知中央、大八木氏)のような新しい風も吹き始めており、他府県も頑張って欲しいものです。

 地元の毎日放送でさえ、準々決勝までは深夜のハイライト番組でしか放映しませんので、今大会のベストゲームを選ぶのはとても難しいのですが、番組を全て見た中で特に印象深く、、そして今大会の流れを決定付けたと思われるこの試合をあげたいと思います。

1月1日 3回戦: 東京高校 3 - 7 常翔啓光学園