ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

From The New World / Kertesz & VPO

Newworld
 新年初のレビューに相応しいアルバムは何かなあと考えていたのですが、やっぱりドボルザークの「新世界より」がいいかなと思いチョイスしてみました。ステレオサウンドにも大きく取り上げられている、エソテリック大間知知彰社長肝いりでhybrid SACD化されたアルバムです。

 昔三宮上新の試聴会に大間知さんが直接プレゼンに来られた事があり、自分が如何にタンノイを愛しているか熱弁をふるわれていたことを思いだします。きっとそのタンノイで浴びるように聴いておられたんでしょうね。

Antonin Dvorak: Symphony No.9 in E minor, Op95 "From The New World"

1st mvt.  Adagio-Allegro molto 9'54"
2nd mvt. Largo  11'53"
3rd mvt. Scherzo-Molto vivace 7'40"
4th mvt. Allegro con fuoco  11'09"

Condcted by Istvan Kertesz
Vienna Philharmonic Orchestra

Original Rrecording Data (Decca)
Recording producer: Ray Minshull
Engineer: James Brrown
Location: Sofiensaal, Vienn  Date: March 22-24, 1961

Producer: Motoaki Ohmachi (Esoteric Company)
Mastering Engineer: Kazuie Sugimoto (JVC Mastering Center)

 ケルテスは1929年生まれで当時若干32歳。ハンガリー人の若造がという軋轢がVPO内にはあったような事が諸石幸生氏のライナーノートに書かれていますが、そんなことを微塵も感じさせないような胸のすくような演奏です。
 新世界はセルカラヤンバーンスタイン等主だった巨匠のアルバムを聴いてきましたが、それに比しても全く遜色ないというか、切れのある一直線で爽快な演奏という点では随一ではないかと思いました。
 変な喩えかもしれませんが、150k/h超の速球を投げる新人投手が出てきたような感じで、例えばダルビッシュがあの若さで巨人をぴしゃりと完封するような爽快感、でしょうか。このケルテス氏、1973年に海で溺れて他界してしまわれたそうで、本当に惜しいですね。
 どの楽章も聴いていて楽しいですが、特に専門家には評判の良くない書法で書かれているという第四楽章がとてもスリリングです。そのダイナミックレンジにいつ家族からクレームが来るかというスリリングさもありますが(笑。

 さて、音質ですが、エソテリの最高機器を使用し、あの贅沢極まりないMexelケーブルがこれでもかというほど使われている写真を見ると期待感万点です(笑。杉本一家さんはJVCのXRCD録音の第一人者ですが、ステサンでは前園さんと一緒にZonotoneのケーブルを抱えていたような(^_^;)。
 冗談はともかく、1961年の演奏とは到底思えない、ヒスノイズの殆ど聞こえない鮮烈な音です。SACDにしては硬質な印象を受けますが、これがDeccaの名手ジェームス・ブラウンの音なのか、それとも今回のマスタリングの結果なのか、不勉強な私には分かりませんが、とにかく厳格な録音だなあと思います。若者が有無を言わせず突っ走っているのだから、録音・マスタリングする側はもう少し手綱を緩めてあげてもよかったんじゃないかな、などと贅沢な事を考えながら聴いていました。

 第一楽章のティンパニの強打を聴けとか、金管の咆哮が生気を漲らせるとか、宣伝では煽ってますが、やっぱりVPOはですかね。特にチェロ、コントラバスといった低音弦の深い響きが素晴らしいと思います。

 これはアナログのオリジナルを聴きたいなあ、と思ってヤフオクで探してみたら、一枚135000円の値がついてました。。。やっぱりクラシックの世界は奥が深い(爆。ということで、SACD3300円はお買い得なんだろうと思います。年頭レビュー、最後はせこい話になってしまいましたが、ご容赦の程を。