ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Young Team / Mogwai

Young Team
 先日レビューした映画「ヒロシマナガサキ」のBGMでMOGWAIの曲が何曲か流れていたので、この頃また古いCDを引っ張り出してよく聴いています。彼等のアルバムを全部持ってるわけではないんですが、その中でどの曲が好きかと聞かれたら多分「Rock Action」に入っている「2 Rights Make 1 Wrong」あたりをあげると思うんですが、どのアルバムが好きかと聞かれたらやっぱり最初に手に入れた「Young Team」が一番好きですね。

1. Yes! I Am a Long Way from Home
2. Like Herod
3. Katrien
4. Radar Maker
5. Tracy
6. Summer [Priority Version]
7. With Portofolio
8. R U Still in 2 It?
9. Cheery Wave from Stranded Youngsters
10. Mogwai Fear Satan

Chemikal Underground Records, Glasgow, Scotland, UK, 1997

 彼等の実質上のファーストアルバムで、当時日本盤では権利関係がややこしくて銀行名が消されていたような記憶がありますが、輸入盤が何ぼでも手に入る時代に無意味ですわな。でもってアルバムの通称が「富士銀行」!もう若い人はそんな銀行知らないかもしれませんね、今は確か「みずほファイナンシャルグループ」だっけ。

 でもってこいつ等は恵比寿に住んでるのかとか、富士銀行に口座を持ってるのか、つぶれるぞとか、OとAをミススペルしたら大変な事になるぞとか、FMで好き放題言われてた記憶があります(半嘘。

 もちろん日本には何の関係もないバンドで、イギリスはスコットランドの重工業都市グラスゴーから1990年代後半に忽然として現れました。オーディオファイルにはLinnの故郷として有名ですがおよそミュージックシーンの中心とは言い難い地方です。イギリスと言うところは突然そんな地方都市から新しいムーブメントが始まったりする、音楽に関しては本当にびっくり玉手箱のような不思議な国ですね。

 ギターの美しいアルペジオや単調なリフ、サンプリングされたナレーション、突然現れる轟音ノイズ等のモグワイサウンド、ひいてはポストロックの主な様式がこのアルバムの時点で既に出揃っていて、しかもバラエティに富んでいるので聴いてて飽きないです。家族がいる時にはボリュームを遠慮してしまう事だけが難点でしょうか(^_^;)。

 ということでどの曲にも色々と思い入れがありますが、ポストロックの新しい地平を開拓したと言われる1、ひたすら美しい7、10分以上にも及ぶ大作でその後のライブの定番にもなった10あたりの評価が一般的には高いです。
 個人的には1の「Yes! I Am a Long Way from Home」を聴くと何故かガーネット・クロウの「君の家に着くまでずっと走ってゆく」を連想してしまいます。客観的には何の脈絡もないようですが、一応共通点はあって、デビューアルバムに入っていて、今まで聴いた事のないようなサウンドで、題名が長い(苦笑。いやいや本当にあの頃は21世紀に向けた新しい音楽なんじゃないかなという期待を双方とも抱かせたんですよね。敢えて後者の今は訊かないでください(苦笑。
 一方7の「Summer」や10の「Mogwai Fear Satan」は、手前味噌ですが第二期と三期のキング・クリムゾンを合わせた様な美しさと暴力性を内包した高度な音楽性を感じます。評価が高くても当然でしょうね。

 個人的にはとにかく2の「Like Herod」でびっくりさせられたのをよく覚えています。美しい音楽がフェイドアウトしていきVU計が殆ど振れなくなって終わりかな、と思ったら突然爆音が!見事な騙まし討ち。おまけに後半にもう一度騙まし討ち。轟音にかけては7も負けませんが、卑怯さでは2の圧勝です、藤木君かよ。
 と言うわけでchemikal underground recordsといういかにもアングラな臭いのプンプンするレーベルですが、大変ダイナミックレンジの広い好録音盤です(をい。

 と言うわけで「ポストロック入門に最適の一枚です」。。。と以前シガー・ロスレビューで迂闊にも書いてしまい、MAO.Kさんに思いっきり突っ込まれたトラウマが再び(^_^;)。あれで私がポストロックはシガー・ロスとモグワイくらいしか知らん事が思いっきりばれてしまいましたが、まあポストロックってそんなもんじゃないの?(をいをい。