ちょっとショックなニュースが飛び込んできましたので、ゲド戦記のまとめをお休みさせていただきます。作家、小川国夫氏が4月8日肺炎の為死去されました。謹んで哀悼の意を捧げます。
若い時代にパリに留学、ヴェスパで地中海地方を放浪された影響で、欧州やキリスト教をテーマにした小説が多かったのが、当時の日本人作家の中では異色でした。洗礼を受けクリスチャンにもなっておられます。しかし決して欧州かぶれの文章ではなく、独特の鋭い日本語感覚が素晴らしいと感じた小説が多々ありました。
どの作品だったかは忘れてしまったのですが、故郷の静岡の海、駿河湾をその文字からの連想で「駿き馬の流れ」と表現されたことが特に印象に残っています。
初めて読まれる方にはまずは「アポロンの島」をお勧めします。素晴らしい作家がまた一人逝ってしまった哀しみと喪失感を感じとる事ができると思います。