ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

私の孤独~ベスト・オブ・ジョルジュ・ムスタキ

私の孤独~ベスト・オブ・ジョルジュ・ムスタキ
 先日映画「エディット・ピアフ」のレビュージョルジュ・ムスタキの名前を出しました。彼は1957年に約一年間ピアフの愛人として過ごし、「ミロール」というピアフのヒット曲を作詞した事が世に認められるきっかけとなったから名前を出したのですが、残念ながら映画では取り上げられていませんでした。そこで久しぶりに彼の歌を聴いてみました。私の持っているのはアナログLPでのベストですが、リンク先はCDベストです。

1. 私の孤独
2. 生きる時代
3. ジョルジュの友達
4. 幼年時代
5. 傷心
6. おじいさん
7. 17歳
8. もう遅すぎる
9. 悲しみの庭
10. 異国の人
11. 若い郵便屋
12. サラ
13. ヒロシマ
14. 僕の自由
15. ポルトガル
16. 内海にて
17. 希望

 彼は両親がエジプトへ亡命中に生まれたギリシャ人ですが、いろんな経緯があり自らを「地中海人」と名乗っていました。代表作の10にはそういう思いが切々と綴られています。

 多くの曲で聴く事のできる切々とした甘く切ないメロディはシャンソンそのもので、吟遊詩人という言葉が彼ほど似合う人も少ないでしょう。
 一方で詩の方は愛を歌い上げる甘いものばかりかというとそうではなく、政治的なメッセージも多く含まれています。例えば彼の代表作中の代表作「生きる時代」は1968年に起こったパリ五月革命を謳っています。15、16も政治色の濃い曲です。また何度も来日し13のような歌も作っています。

 では何故その様な代表曲を差し置いて「私の孤独」が副題となり一曲目に入っているのか?日本での唯一の大ヒット曲だからなんですが、何故ヒットしたかというと、これもピアフの代表曲である「バラ色の人生」という名前のドラマの主題歌だったんですね。
 確か木下恵介シリーズの一つで、「年上の女」願望を絵に描いたような切ない愛のドラマでした。貧乏美学生の寺尾聰の下宿に訳ありの年上美人香山美子が転がり込んできて同居を始め、ほのかな恋心を抱きつつも結ばれず、結局幼馴染の仁科明子と結ばれるというような筋でした。森本レオが悪い奴で、確か仁科明子をいてこますんですね(^_^;)。あの優しい声の人がねえと思っていましたが、実は私生活でも悪いことをしてたみたいですねえ(苦笑。私生活と言えば、清楚な役柄を演じていた仁科明子さんですが、それから程なくして松方弘樹さんの元へ押しかけ結局妻を押しのけて結婚してしまい、当時大変なスキャンダルとなりました。そのお二人も既に離婚されており、時代の流れを感じます。みなさん「バラ色の人生」ばかりではなかったようですね。

 まあそんなぐちゃぐちゃな裏面はさておき、この透明感溢れる切ないドラマを盛り上げていたのが香山美子さんの美貌であり、ムスタキの「私の孤独」の旋律と歌声でした。今でも「マ~イ、ソリチューダ♪」というフレーズを聴くとあの頃の記憶とともに香山美子さんの切なげな表情が鮮明に蘇えってきます。本当に綺麗だったんですよ、これも有名なトリビアですがリカちゃん人形のモデルが香山美子さんだったんです。だからリカちゃんの名前は香山リカになっています。
 
 ムスタキのレビューだか、香山美子さんの紹介だか分からなくなってしまいましたが(笑、たまにはシャンソンも聴いてみようという時には是非聴いてみてください。