ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

UENO邸オフ

Systemx
Ferrari Red - coloured Sytem X in Il Mare )
 久々のオフ会記、それも遠征編です。昨日UENOさんのお部屋を訪問させていただきました。以前拙宅に来ていただいた事がありますので、ステサンの菅原先生風に言うとやっと「裏を返す」事が出来ました。

 UENOさんはオーディオ関係のHPの魁として有名なモアの巣箱(現元・モアの巣箱)を主宰され、自前のオーディオルームを建てられ、更には最近自作スピーカーSystem Xを完成された、大変アクティブなオーディオファイルでいらっしゃいます。System Xは関西のオーディオファイル、更にはウィルソン使いの間で大変話題になっておりましたので、一度聴かせていただきたいと切望していました。

Uenoaudioroom 久々の再会のご挨拶もそこそこに早速リスニングルームへ招き入れていただきました。お部屋は側面全面木張りという贅沢な作りで、心地良い木の香りがドライブ疲れした体を癒してくれます。暗めに照度は落としてあり、部屋のほぼ中央の二つのスポットライトがSystem Xを浮かび上がらせ、フェラーリに使われているRosso Corsa色の美しさを際立たせています。UENOさんの美学が一瞬にして理解できる、素晴らしいセンスです。

 見事な仕上げのスピーカーをひとしきり眺めてから、いよいよ音を聴かせていただきました。システムは下記のとおりです。

CD Player: Esoteric X-01
Integrated Amplifier: Mark Levinson No.383L
Loudspeaker: System X ( Self-made )

Esoandml 部屋を機器類で煩雑にしたくないと言う潔さが際立つシンプルなシステムは部屋の左隅にコンパクトにまとめられています。ケーブル類は殆どが銀単線で自作されておられますが、とても美しい仕上げです。スピーカーは壁から十分離してやや内振りにセッティングされ、御影石のボードに載せられています。ですから部屋は十分広いのですが、私の感覚で言うとかなりのニアフィールド・リスニングとなります。

 先ずは勝手知ったるFourplayの「101Eastbound」をかけていただきました。一聴して驚くほどしなやかで柔らかく清澄な音です。エソテリックのCDPとレヴィンソンのアンプは徒にそのブランド色を主張せずただ正確な情報を送り込むことに専念し、フォステクスのユニットと自作銀線が音を決めている印象を受けました。

Systemxupper ベルテックの弩級SPグランドベルに使われているのと同じユニットとのことですが、ツイーター、ミッド、ウーファーのどの帯域もハイスピードで、UENOさんが追求されている「トランジェントの良い音」にぴったりですね。

 もう一つ驚いたのが音場の深さです。それ程内振りが強くないにもかかわらずバッフル面よりかなり奥に定位しています。フリー・スタンディングにセッティングした場合音場は深くなると言いますがまさしくそうなっていました。勿論ウィルソン・オーディオを参考にした形状の堅牢なエンクロージャが、清潔で揺ぎ無い音像定位に貢献しているのは言うまでもありません。例えば三村奈々恵さんの曲では、実際大阪ブルーノート(現ビルボード大阪)で私たち夫婦が座っていたステージ前のテーブルとマリンバ・ヴィヴラフォンの距離をそっくり再現したような位置関係に音像が定位しており、あの時の感激が見事に蘇りました。

Systemxlower もちろんフリー・スタンディングのセッティングで犠牲にしている部分もあると思います。それは例えば低音の量感であったり音場の広さであったりするでしょう。また私にとってのニアフィールドリスニングは、ある種の直接音のみ前に飛んでくるという違和感もありました。
 しかし殆どのソースでその様な点はあまり気にならず、ひたすら音楽の気持ち良さを堪能させていただきました。特にオーケストラの再現は鳥肌ものでした。ツィメルマン&小澤ラフマニノフは圧巻で、下手するとピアノばかり目立ってしまう演奏が絶妙なバランスでオケと融合しており、最後は泣きそうになりました。家内はクレーメルバーンスタインブラームスが余りに気持ちよくて寝てしまいそうになったそうです。

 UENOさんが

「自分はオーディオマニアではなく、音楽愛好者である」

と日頃から主張されているのはこういう割り切りの良さなのではないかと思います。でも、これだけの音はやっぱりオーマニにしか出せませんよ(笑。UENOさん、素敵な時間をどうもありがとうございました。

 最後に持参したソフトのセットリストを記しておきます。
CD
1: 101 Eastbound: Fourplay ( Fourplay )
 不動のリファレンス曲。UENOさんもFourplayで音決めされているそう。
2: シンシア: 原田知世 ( Music & Me )
 冗談抜きで素晴らしいボーカルソフトです、一度お聴きあれ!System Xでも心地よく歌っていただきました。
3: Glosori: Sigur Ros ( Takk )
 UENOさんがヘヴィメタをリファレンスとされていると聴いていたのでこちらからはシガー・ロスを持参しました。ちょっとアンビエントぽい音作りなのでもう少し音場が広がってくれた方が良かったかも。ちなみにUENOさん、ヘヴィメタは主にヘッドフォンで聴いてるそうです。
4: ラ・カリファ: 三村奈々恵 ( Prana )
 先述したようにOBNでの感激が蘇りました。トランジェントの良い音はマリンバのような楽器ではっきり確認できますね。一点だけ、右Chのギターの音だけ前へ出るのが少し違和感がありました。
5: Spain: 寺井尚子 ( Live )
 では実際ライブ盤はどう再現されるのか?非常に優等生的再現でした、もう少し暴れてくれてもいいんですが。
6: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第二番第三楽章: ツィメルマン、小澤&ボストン響
 最高でした。この曲のためにセッティングしていただいたかのように感じられました。
7: ブラームス・ヴァイオリン協奏曲第二楽章: クレーメルバーンスタイン&VPO
 ステサンでヴァイオリニスト樫本大進氏が「オーボエに続いて入ってくるクレーメルのAの音が天上の音のようにたなびく」と表現されたソフト。まさにその通り。その後のオケの展開も極上の一言。
8: Feilds of Gold: Eva Cassidy ( Live at Blues Alley )
 ここでもう一度ライブ盤に挑戦。これはかなり良かったですが、これももう少し音場が広くてもいいのかもしれません。
9: First We Take Manhattan: Jeniffer Warnes ( Famous Blue Raincoat 20th Ann Ed )
 UENOさんにサンプリング音を主体としたテクノをかけていただいたので、こちらもSEの入ったジェニファーのソフトをかけていただきました。バーニー・グラントマンのリミックスで音の鮮度が上がっているのが良く分かります。故スティーヴィ・レイ・ボーンのギター・ソロがややお上品か?
10: El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido: Giovanni Miravassi ( Avanti! )
 ツィメルマンもそうですが、ピアノには抜群に相性の良いシステムですね、羨ましいです。

DVD
1: Future Lovers/I Feel Love: Madonna ( The Confession Tour )
 折角の機会なのでDVDも見せていただきました。画像が入ると音場がそれ程広がらなくても満足できます。このあたりがオーディオにこだわらないUENOさんの見識でしょうか。やはり良い音で聴くマドンナのライブは最高です!
2: Popplagid: Sigur Ros ( Heima )
 一言、快感でした。他の二人はどうだったか分かりませんが(苦笑。この後UENOさんのボルダリングのDVDも見せていただきました。DVD作成のものすごい凝りようにも唖然としましたが、あんな岩を登っているのかと言う方が驚きでした(笑。