ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Avanti!/ Giovanni Mirabassi (3)

Imagine
(Imagine/John Lennon 1971 and The pacifist demonstration in front of the Pentagon,1967)

はむちぃ: さて皆様記念企画も大詰め、「AVANTI!」レビュー各論後半に参りましょう。
ゆうけい: こんなレビューおもろないわい!のお声も無く、感謝感激雨あられm(__)m
は: 人生幸郎師匠ですかあんたは、この~泥亀っ!
ゆ: ごめんちゃい!と言うわけで軽い準備運動も終わりましたので(笑、最後までがんばっていきまっしょい

9: A Si M'Bonanga (Johnny Clegg)
  写真:ケープタウンの平和大行進、1989年9月13日

は: ここへ来て初めてゴスペル調のメロディが流れてまいりました。題名はズールー語で「我々はまだ見ていない」と言う意味だそうでございます。まだ自由を、正義を、平和を見ていないという意思が込められておりまして、27年間投獄されていたNelson Mandela氏の釈放を祝う賛歌であり、亡くなったSteve BikoVictoria MxengeNeil Aggettへの挽歌でもあると解説されております。
ゆ: ゴスペル調で反アパルトヘイトとなると当然黒人の曲かと思ってしまいますが、実はこの曲ホワイト・ズールーと呼ばれた白人のロックミュージシャンジョニー・クレッグが作ったものです。南アフリカの音楽シーンでマンデラ氏シンパとしては黒人トランペッターヒュー・マセケラが有名ですが、彼も良い曲を書いているんですね。
は: 同じ白人で英国音楽シーンの大御所ピーター・ガブリエル様もご自身のアルバムで「BIKO」と言う曲を書いておられますね。
ゆ: おおび~こびこびこ~ずび~こ~♪、サード・アルバムに入っていて彼の代表作の一つですな。彼はその後も世界の音楽活動をサポートしていきますが、マンデラ財団の活動などでクレッグとも同じステージに立っていますね。

10: La Butte Rouge (Rene Tybh- Montheus)
  写真:第一次世界大戦シャンパーニュ地方バポームの丘の攻防戦、1915年9月25日

は: ここで少し時代は遡りまして第一次世界大戦反戦歌が流れます。
ゆ: 見開き一杯に展開する兵士の写真は最も激しい攻防を繰り広げた所謂「ソンムの戦い」時のシャンパーニュ地方の映像でしょうか。もやしもんを読んでああノンアルコールワインが飲みたいだなんだ言ってる今からは想像もつかない時代があったということですな。
は: それを知るのも歴史の勉強でございましょう、それにしてもこれもまた反戦歌とは思えないほど美しく穏やかな演奏でございますね。
ゆ: さすがシャンソンの国フランスと言ったところですね、題名は「赤い丘」と言う意味だと思うんですけど、そういう題名の曲をイブ・モンタンか誰かが歌っていたような記憶がありますね。

11: Addio Lugano Bella (Pietro Gori)
  写真:ミハイル・アレクサンドロヴィッチ・バクーニン

は: 更に時代を遡りまして無政府主義者バクーニンが出てまいりました。
ゆ: アラゴンと言いバクーニンと言い通好み(^_^;)というかなんというか、一体どういう人選なんでしょうか(苦笑。と言ってもまあ曲で選んでいるわけなんですが。
 と言うわけでこの曲、同じくアナキストで法律家でもあり詩人作曲家でもあったというPietro Goriと言う人がバクーニンに捧げた曲だそうで、これがまた壮絶に美しいですねえ。思わず聞き惚れてしまいました。「アナーキー・イン・ザ・UK」とは対極にあるような曲です(笑。
は: 題名は「さようなら愛しのルガーノよ」と言う意味で、ルガーノバクーニンが最後に暮らした土地だそうです。そういう哀悼の思いが込められているんでしょうね。

12: Johnny I Hardly Knew Ye (trad.)
  写真:ハンガーストライキに入ったシン・フェイン党員受刑者に祈りを捧げるため刑務所の前に集まった民衆を制止する警察のバリケードライン(1981年、おそらく)

は: ここでアイリッシュ・トラッドが突然出てまいりました。
ゆ: アイリッシュ・トラッドって妙に懐かしいメロディラインを持っているんですがこれもそうですね、どこかで聞いたなあという親近感が持てます。
は: ブックレットによりますと元々はアイルランド反戦歌であったものを、後年アメリカにおいてパトリック・ギルモアが「When Johnny Comes Marching Home」と言う勝利の歌に改変してしまったそうでございます。
ゆ: 困った奴ですな、ギルモア博士(違。南北戦争のときにやたら凱旋歌として歌われてポピュラーになってしまったんですが、見開き一杯の写真はアイルランド独立運動に関するものですね、年代の記載がないんですがボビー・サンズ等のハンガーストライキは1981年ですので恐らくその時の映像ではないかと思います。

13: Bella Ciao (trad.) 
  写真:イタリアのファシストデモ、1930年代

は: またまたパルチザンの歌に戻りまして、これはイタリア版でございます。「恋人よさようなら」と言う題名で有名な曲ですね。
ゆ: 恋人よ~さようなら~季節は巡ってくる~けれど~あの日の二人~宵の流れ星~、、、お~いはむちぃ君、なんで止めてくれんのだ(^_^;)。
は: やるやると思ってたら案の定、、、(ーー;)、それは五輪真弓様でございましょ!
ゆ: スマソ、元々は前回も出てきた「田植え女」の歌だったそうですが、第二次大戦中に反ファシズム運動家が1942年にこの曲に詞をつけてパルチザンの歌となった経緯があるそうです。

14: Imagine (John Lennon)
  写真:ペンタゴン前の平和主義者のベトナム反戦デモ、銃口に花を挿すデモ参加者、1967年

は: ここで突然ジョン・レノン様登場~でございます。
ゆ: 写真もこれまた有名な「銃口に花を挿す青年」ですしね、曲、写真共にこのブックレットの中で最も有名なものだと思いますからちょっとコラージュしてみましたが、やっぱりこの曲を目玉としている解説や感想が多いですね。
は: おや、ジョン様命のご主人様にしては冷めた態度でございますね。
ゆ: イマジンばかり有難がる薄っぺらい風潮にはさすがに疑問を感じますね。このアルバムに関して言えば、これだけ他に優れた曲があればわざわざこの曲を目玉にすることも無いと思いますし、恐らくGMも本意ではないでしょう。
は: 確かにそうですね、他の曲と比べて特別力を入れていると言う雰囲気も無く、全体の流れを考えてさらっと流している印象さえありますし。
ゆ; 感動的なイマジンのピアノ・ソロを聴きたければ、例えばゴンザロ・ルカルカバチャーリー・ヘイデンの尽力でキューバからアメリカへ出てきた時のライブなんかが良いと思いますよ。

15: My Revolution (Giovanni Mirabassi)

は: GM様のオリジナルでございます、決して(以下略)!
ゆ: わ・か・り・は・・・・、機先を制されてしまったorz
は: orzは久しぶりでございますね(シレッ(-_-)
ゆ: はむちぃ君強くなったのう(゜o゜)(遠い目)、さてそれはさておき、この曲にかける彼の熱意が伺える演奏ですね。強い打鍵のワンノートが響き渡る導入部は心臓にドスッと応えました。
は: 全て白黒写真で統一されたデザインの中、この項だけ赤と黒コントラストも鮮やかで目を引きますね。
ゆ: 全くですね、赤に特別な意味を込めているわけではないんでしょうけど見事な意匠だと思います。彼のライナーノートも、前回はむちぃ君が表現したように「ステートメント」と称していい内容で、是非手にとって読んでいただきたいですね。

16: Plaine, Oh Ma Plaine (Knipper - Goussev)
  写真:第二次世界大戦スターリングラード包囲戦でのロシア軍兵士、1942年

は: さてようやく最後の曲にたどりつきました、この曲の題名は「愛する草原よ」と言う意味で、第二次世界大戦中のソ連軍を鼓舞し、その後長く赤軍コーラスの代表的なレパートリーとして親しまれておりました。
ゆ: 早い話が「ポーリュシカポーレ」ですね。スターリングラードの攻防戦と言えばショスタコ交響曲第7番と言う名高いクラシック曲もございますが、人口に膾炙していると言う点ではこの曲のポピュラリティは圧倒的ですね。
は: GM様の演奏も最後を飾るにふさわしい劇的な盛り上がりを見せますね。
ゆ: 本当に鬼気迫る気迫を感じますね、この演奏は本当に凄いです。実は何の興味も無く横で食事をしていた娘が、この曲が流れた途端に目が点になって微動だにせず聴き入ってしまったんですよ、それくらいの吸引力のある演奏と言うことですね。
は: 普段ご主人様のソフトには鬼ちゃん以外何の興味も示されないのに、真剣にジャケットを手にとって見つめておられましたね。
ゆ: 耽美派には1、シャンソン派には2~4の流れもはまるかもしれませんが、これがまず間違いなくこのアルバムのベストテイクだと思いますね。往年の歌声酒場でこんな演奏をしたら凄いことになるんじゃないでしょうか(笑。

は: 最後に思いっきり盛り上がりましたところで、全曲のレビュー終了でございます。最後に一言ご主人様お願いいたします。
ゆ: 皆様の購買意欲をどれほど刺激できたかどうかは分かりませんが、個人的には「映像の世紀」を「音楽」で振り返ることが出来、楽しくレビューできました。k1xv1x様まことにありがとうございました。
は: ありがとうございます。はむちぃメもなんとか大役を果たし終え、思い残すことはございません(ToT)。

ゆ: ちょ~っと待った~!!(古
は: やっぱり(--〆)。で何でございます?
ゆ: 実はブックレットの最初のページは見開きになっているんですが何の説明も無く曲も付随していないんですね。
は: そう言えばそうでございますね、アメリカの1964年の映像で警官隊と黒人がにらみ合っているところを見ると当時盛り上がっていた黒人公民権運動でございましょうか。
ゆ: おそらくそうでしょうね。それにしても、GMはどうしてこの写真を載せてしかも曲をつけなかったんだろうねえ。What's Goin' On? なんてフェイクはともかくとして、マーチン・ルーサー・キング牧師やマルコムXなど、歌の題材には事欠かないと思うんだけどね。
は: I HAVE A DREAM !」 と言うステートメントなんじゃないでしょうか。
ゆ: ゲゲッ、はむちぃ君、何と言うハイブラウな返しを(驚愕

は&ゆ: 私には夢がある、だから前へ!AVANTI!