ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

正月点描(2)ダイアナ

Bonfire
 ダイアナと言っても去年の有馬記念のことでは有馬ありません。その節は皆様お気の毒でした(^_^;)。と言うわけでダイアナ・ロスの話です。

 年末年始は幾つかDVDをレンタルして観ていました。その一つに「ドリームガールズ」がありました。元スプリームス(昔はシュープリームスと言ってましたが今はスプリームスと表記するようです)のメアリー・ウィルソンの自伝を元にしたブロードウェイ・ミュージカルをどういうわけか今頃映画化したものです。ダイアナ・ロス役のビヨンセフローレンス・バラード役のジェニファー・ハドソンと役者が揃ったので満を持して、と言うところなのかもしれません。実際ジェニファーは圧倒的な歌唱力でアカデミー助演女優賞まで獲ってしまいましたしね。

 まあ、映画レビューはそのうちに書くとして、ジェイミー・フォックス演じる夫兼プロデューサーが言った言葉が気になりました。当然モータウン・レコードベリー・ゴーディー・ジュニアを下敷きにしているのですが、彼から独立したがる主人公に対して

「君の声は平板で声量も無いから、僕がミキシングの段階で色々と手を加えていたんだ」

と説得するのです。ありえない話でもないなあと思って、唯一持っているLP「Diana」を聴いてみました。このアルバムは1980年発表で、シックのバーナード・エドワーズ&ナイル・ロジャーズがプロデュースしていて折からのディスコブームに乗ってかなり売れたと記憶しています。しかし内容はディスコ・サウンド、シック・サウンドから予想されるようなゴージャスなものではなく、題名と同様にかなりシンプルです。シックの二人もあまりにも大物過ぎて遠慮しているのでしょうか?というわけでダイアナの素の歌唱力を知るには絶好でした。

 でその印象ですが、映画でずばり指摘されているとおりですね。うまいのですが黒人独特のコクとか節回しとかがあまり見られず、びっくりするような声量もありません。録音もあの頃のディスコサウンドっぽく低音域をスパッとカットしてあるような感じで軽いです。まあ、オーディオ的にはスカみたいな作品かなと(^_^;)。
 もちろんそれでダイアナ・ロスの偉大な業績が価値の無いものになるわけではなく、むしろそのハンデを克服して独立後も歌手・俳優として立派な業績を残したことに敬意を表したいと思います。

 続いて比較するのに絶好なティナ・ターナーの「Private Dancer」を聴いてみました。ジャケットはまあダイアナの圧勝ですが、歌唱力ではティナの圧勝ですね。ティナはダイアナとは対照的に、先日亡くなったアイク・ターナーから独立してから鳴かず飛ばずだったのですが、このアルバムは復活の狼煙を上げる大ヒットとなりました。
 どういうわけかジェフ・ベックまで参加した「Private Dancer」、カバー曲を得意とする彼女の本領が発揮された「Let's Stick Together」「Help!」なんかも聴かせてくれますが、やっぱりシングルで大ヒットした「What's Love Got To Do With It」が一番のキラー・チューンでしょう。この曲「愛の魔力」というワケワカメの邦題がついてましたが、直訳するとどういう意味になるのかいまだに分かりません。歌詞全体から推測するに「愛がどうしたって言うのよ」くらいの意味だとは思うのですが。

 と言うわけで珍しいことにブラック・ミュージックから今年のオーディオは明けたのでした。