ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Falling in Love Again / Makoto Ozone

フォーリング・イン・ラヴ・アゲイン
 12月8日には毎年何某かのジョン・レノンに関する思いを書いているのですが、今年はちょっと趣向を変えてこのアルバムを紹介したいと思います。理由は極く単純、一曲目に「(Just Like)Starting Over」が入っているから(笑。

小曽根真さんの、何と13年ぶりになるピアノ・ソロ・アルバムだそうです。帯によりますと

『ジャズそしてクラシック、ジャンルを超えて活躍する小曽根がいまふたたび「自分自身」と「音楽」を見詰め直し、「最愛の人」への思いを込めて奏でる最新作!』

だそうです。まさに「Starting Over」のアルバムなんですね。確かに彼の原点であるピアノの音を今一度見つめなおしている感じがします。選ばれたのはヤマハのフラッグシップ・グランド・ピアノ、YAMAHA CF-IIISです。普段からやれ、スタインウェイだ、ベーゼンドルファーだと気取ったことを書いてますが、このアルバムを聴くとCF-IIIsも相当凄みのある(もちろん弾く人が弾けばですが)ピアノだと思います。実は先日クリスマスコンサートの練習で、ヤマハのスタジオをお借りしたんですが、グランドピアノが置いてあってリーダーが手遊びに弾いてたのを聞いていてやっぱりグラピの生音はいいなあ、と思いましたね。ましてやCF-IIIsをプロが弾く、その現場に居合わせた人は幸せだろうなあと思います。

 そうそう、その録音体制も万全。レコーディング・エンジニアは小曽根ファンにはおなじみで彼が全幅の信頼を寄せるJoe Ferla、マスタリング・エンジニアは「伝説の」とさえ形容され、ジョン・レノンも全幅の信頼を寄せていたGreg Calbiです。
 弱音から最強音まで見事なダイナミック・レンジでヤマハの魅力を、そしてOZONEの魅力を余すことなくとらえています。と、偉そうなことを書きましたが、ピアノ再生が最も難題の我がシステムには少々手ごわいアルバムです。腕とシステムに自信のある方は是非トライしてください。

 さて、オビの「最愛の人」とは誰でしょうか。「このアルバムの全ての曲をmisuzuに捧ぐ」とクレジットされていますから、当然ながら愛妻みすずさんですね、いやあお熱いことで(^_^;)。冗談はさておき、ラスト曲「SHE」は万感の思いをピアノに叩きつけていてなかなか感動的です。もともとはシャルル・アズナブールの曲ですが、映画「ノッティング・ヒルの恋人」でエルビス・コステロが歌って有名になりました。その英語の歌詞が掲載されていますが、思わず先日紹介した「ティファニーで朝食を」のホリー・ゴライトリーを思い浮かべてしまうような一節がありましたので、最後にご紹介しましょう。もちろん小説の方のホリーですが、やっぱりイメージはオードリー・ヘップバーンかな(苦笑。

She
Who always seems so happy in a crowd.
Whose eyes can be so private and so proud
No one's allowed to see them when they cry.
She may be the love that cannot hope to last
May come to me from shadows of the past.
That I'll remember till the day I die.