前回の学生時代編に引き続き、83-89年の社会人編です。3年で14枚、後の7年で11枚という不均衡は、CD時代に突入したという要素もありますが、概ね聴いていた情報量と一致していたんだろうと思います。まあ一言で言うと音楽なんて聴く暇も無かった、というところですが、それなりに辛い時期を支えてくれたアルバムも多々あり、懐かしく選びました。
1983年
中島みゆき 「予感」
えっ、みゆきさんと言えば「寒水魚」だろう、と言う声が聞こえて来そうですが、私にはこれ、社会人になったばかりのハードな時期の折れそうな心を何度も慰めてくれました。一曲目の「この世に二人だけ」が私にとっての中島みゆきベスト1ですが、もちろんアルバム構成的にも寒水魚に負けない完成度があり、後に高い評価を得た「ファイト!」で締めくくられています。「臨月」「寒水魚」「予感」の漢字三部作が彼女のピークで、その後明らかに失速していく彼女をフォローしていくのはちょっと辛かったです。
1984年
VOW WOW 「BEAT OF METAL MOTION」
バウワウ(B)からメンバーチェンジしバウワウ(V)になった最初の作品。驚異のボーカリスト人見元基とシンセの達人厚見玲衣の二人が加わった事により、本当に世界レベルで勝負できるバンドになった、と思いました。
1985年
萩原健一 「Andree Marlou Live」
アンドレマルロ‐LIVE
類稀なる表現者であるショーケンはやはりライブで本領を発揮するシンガーであったと思います。79年の「熱狂雷舞」、83年の「Shanti Shanti Live」ときて、総決算的なアルバムがこれ。楽譜などあって無きが如しのフェイク入れまくりの彼の歌唱にはバックのメンバーは散々泣かされた事と思いますが(爆。まあ、とにかくこの時代のショーケンは輝いてました。
原田知世 「PAVANE」
知世様18歳記念アルバム。えっ、何かご質問でも?(笑
1986年
甲斐バンド 「Repeat & Fade」
REPEAT&FADE
解散を前提に甲斐よしひろ、松藤英男、大森信和、田中一郎の4人のメンバーがソロ・プロジェクトとして4曲ずつを担当し、長年の甲斐バンドとしてのメンバー活動に落とし前をつけた傑作四枚組アルバム。ここに来てもなお、甲斐よしひろをはじめとするメンバーの熱いロック魂は聴くものの心を熱い感動で包んでくれます。
佐野元春 「Cafe Bohemia」
Cafe Bohemia
モトのマニアックなファンはどちらかというと前作の「Visitors」あるいは次作の「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」あたりを推すんですけど、私はベタを承知、スタイル・カウンシルの「Cafe Bleu」のパクりを承知でこのアルバムを推します。「Individualist」「99 Blues」が入ってますからね~、やっぱり。
浜田省吾 「J.Boy」
80年代の乙女の感涙を絞りまくった浜省、彼の極めつけの傑作。他にも「愛の世代の前に」とか「約束の地」とか素晴らしい作品は多々あるのですが、この二枚組に込められた彼の鬼気迫るような情熱は別格でした。よく和製スプリングスティーンと呼ばれていましたが、そういう意味では彼にとっての「ザ・リバー」だったと思える大作です。A-D面全てに溢れる郷愁と自らのルーツ探しの情熱には思わず目頭が熱くなる事請け合い。
1987年
小比類巻かおる 「I'm Here」
I’m Here
三沢基地で鍛えていたと言う話を聞いた事がありますが、彼女のケレン味のないスケールの大きな歌唱は聴いていて気持ち良かったです。タイトルになっている「I'm Here」が大作で一番のキラー・チューンですが、TV主題歌として大ヒットした「Hold On Me」も好きでした。ちなみにまだお嬢さん女優だった(笑)沢口靖子さんが新井素子役をやってたと思います。
1988年
Barbee Boys 「Black List」
バービーと言えば「おれたちひょうきん族」をつい思い出してしまいますが(苦笑、本家バービーのコンタと杏子のツインボーカル、いまみちのギター、コンタのサックスは本当にクールでした。このアルバムは正確に言うとオリジナルではなくセレクションアルバムなんですが、単なるベストモノではなく彼らがこだわって選んだ選曲となっているので、オリジナルと同格と考えてチョイスしました。やっぱり「チャンス到来」は最高です。
1989年
COMPLEX 「COMPLEX」
COMPLEX
当時人気絶頂だった吉川晃司とBOOWYの布袋寅泰が組んだ黄金ユニット。この当時、私は新世代のBOOWYやTM Networkの音にはついていけず、もう自分がロックを聴く時代ではなくなったなあと言う思いを強くしていたのですが、このユニットが一気にそんな気分を吹っ飛ばしてくれたのを思い出します。大ヒットした「Be My Baby」をはじめ、最初から最後まで捨て曲無しで乗せまくってくれる、ご機嫌なロックンロール・アルバムでした。
The Timers 「Timers」
大麻とザ・タイガースをかけた意味深なバンド名にニヤリ。リーダーの名はタイガースのジュリーに引っ掛けたゼリー。でもヘルメットとサングラスと手ぬぐいで正体は不明。忌野清志郎に似ていると言う噂もありましたが、偶然にも彼の知り合いだったそうです(^_^;)。ヒットしたカバー曲「デイ・ドリーム・ビリーバー」なんぞでこのアルバムの真髄は分かりません。テレビ史上に名を残す「FM東京おまんこ野郎事件」に見られるような徹底的な批判精神、反骨精神こそ、この国でもかの国でも長い間忘れられていたロックの原点でした。
という訳で図らずも(^^ゞ、RCではじまりTimersで終わった80年代邦楽ベスト25でしたが、如何でしたでしょうか?えっ、王道や超売れっ子が全然出てない?そんな事ないと思うけどなあ(爆。リクエストいただいたまことさん、どうもありがとうございました。