ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ABA B-50

Abab50
 久々にオーディオアクセサリーを買いました。超薄型オーディオ用ボードABA B-50です。超薄型と言うくらいで厚さ1.4mmですが、これでも3層構造になっています。

Aba2『鉄をベースに亜鉛、アルミを混ぜた金属で樹脂系の制振材をサンドしてあります。鋳鉄の10倍以上の振動吸収性があり、弊社が得意としているマグネシウム単板より振動吸収性が高くなります。』(上記リンク先サンシャインHPより)

 実は先日虫の知らせか、突然オーディオアクセサリー誌が買いたくなり本屋で表紙を見たところ、「ラックで使える!超薄型ボード徹底比較」特集という見出しが目 に入ったのです。呼んだのはこいつだな(^^ゞ、と直感して久々に買ってしまいました。クリーン電源PS-510の下が「MDF+ブチルゴム+別珍」の自作ボードなのでそのうち替えようと思っていたのが、その上に敷くだけでいいなら便利、ということで一気に現実味を帯びてしまいました。

 さて、その記事を読んでみますと、話半分に聞いても(林先生失礼)、薄型で安いものでも相当音は変わることだけは想像がつきました。数日悩んだ末、本命としてカーボンボードbeginS CB-0.5(18000円)、比較対照用にメタル系のABA B-50(9500円)を選択してルーツサウンドさんに注文しました。一週間後にメールがあり、

「カーボンボードはなかなか入荷しないんですが、ABAは来ました。実は面白そうなのでついでに店舗試聴用に一枚頼んだのも同時に着いたので試してみたらこれが意外にいけますよ」

とのことでした。早速取りに行き、布施Jrさんにお聞きした所、プリでもパワーでも何でも効くけど、StellavoxのDACだけは軽すぎるのか効かなかったとのこと。そりゃ楽しみだ、と言うことでそそくさと帰宅し、それから丸二日ほど楽しんでおります。

Abaps510 またまた長い前置きで済みません、ここ2日間色々と試してみた結論を申し上げますと、音は確実に変わります。そして自分にとっては概ね良い方向でした。

1: ノイズフロアが下がり、聴感上のS/N比が下がります。これは大なり小なり試した機器全てに共通していました。これは確かに見事なものです。
2: 付帯音が減るせいか、音が整理されすっきりします。楽器数が多い場合概ね見通しが良くなります。ただ、これは逆に言うと音色がやや減る、と言うこともできそうです。例えばPCモニターの階調で1280万色で色彩豊富な画面が好みか、960万色くらいに落としてでも画面がすっきりくっきりする方がいいか、と言う選択に似ている気がします。
3: 低音の音量が上がります。それも芯が太くなり、がしっとした感じになります。何故なのか不思議ですね~。
4: 音像が両横と前方向に広がりますが不思議と上には伸びないです。カーボンがふわっと全体に球状に広がるのとは対照的ですね。
5: 金属的な響きがとても綺麗です。パーカッションやヴィブラフォンなどで顕著ですね。これはメタル系ボードなので分からないこともありません。

まあざっとこんなところでしょうか。では色々試してみた機器別に簡単に感想を。機器の詳細はプロフィール欄をご参照ください。ラックは山本音工のウッド系で、スパイク受けは黒檀ベースです。

Aba31:サブシステムのCDP: ○
 一番軽い機器なのであまり期待してなかったが意外に効く。例えば平原綾香の「明日」が透明感を増して綺麗な音になり、後半のチェロのソロは芯ができて音量が上がる。その分胴鳴りの響きなどは若干減退する。
 ただ、ボーカルの高音域が相対的に減衰するのか、やや頭打ちのように詰まった声になるのが気になる。

2:サブシステムの真空管プリメインアンプ:◎
 これは良い。音がほぐれて音像が広がり、なおかつS/N比が上がる。ボーカルもこちらは大丈夫。今回の拙宅でのテストで2番目に好印象だった。やはり重くて振動に弱い機器には効くのだろう。
 ただ、不思議なことにサブシステムだけは音量が上がらない。音の整理のされ方の方が低音増強より大きいのかもしれない。

3:なんちゃってホームシアターのDVDプレーヤー:△
 これは普通のキャスターつきのベッドサイド・ラックにポン置きしてるだけなので非常に期待したがあにはからんや、あんまり変わらず。マドンナのコンフェッションズ・ツアー・ライブを観てみたが僅かに低音がしっかりしたか、と言う程度。画像は全く変化無しだった。

4:なんちゃってホームシアターのボーズのサブウーファー:○
 これは少し効いた。低音の音量がやや上がり、しかもがっしりする。ただ、だからといって是非敷いておきたいと言うほどでもない。DVDでは視覚のほうがはるかに比重が高いことを考えると、この程度の変化では必須というところまではいかない。

Abaanalog5:メインシステムのアナログ・プレーヤー:◎
 いよいよメインシステム。以前後ろ髪を引かれる思いでBDRのFor The Sourceを外したことを思い出す。その時のふわっと軽やかに音場が広がったあの感覚とは随分違うが確実に変化している。まずはいきなり音量が上がってビックリ。サブシステムで上がらなかったので林先生のコメントは眉唾かと思ってたが、大間違い。全体に硬質の輝きが出て低音の押し出しが凄くよい。音場が先ほど述べた様に横方向と前(特にボーカル)に広がる。上には少し膨らむ程度だがサブシステムのような頭打ちになってる感じはなく自然。
 具体的に言うとイーグルスの「ホテル・カルフォルニア」での12弦ギター、ジョニ・ミッチェルの「シャドウズ&ライツ」でのコーラスとジャコのエレベ、佐野元春の「Visitors」でのパーカッションなどは過去聴いた中で最高だと思った。一方でやはりナイロン弦の柔らかな響きなどはやや硬くてスティール弦の雰囲気に近くなったりもする。

6:信濃のパワーコンディショナーGPC-1500:△
 アキュのクリーン電源の前にこれも試しておこうとやってみたが目に見える変化は無し。

7:アキュフェーズのクリーン電源PS-510:○
 一聴して分かるほど低音が蛇口全開で出てきた。一方で音質や音像は殆ど変化無い。手前味噌だがS/N比は限界に近いところまで詰めてきていたので、僅かに良くなった気がする程度。まあ低音が持ち上がった分だけは上がっていると言えるか。
 問題はこの低音。自分はあまり出過ぎると耳が痛くなるのだ。エヴァ・キャシディのライブでさえもベースの音が耳につく。こういう時の個人的限界を知る定番ソフトとしてジェニファー・ウォーンズの「The Hunter」の一曲目「Rock You Gently」の出だしを聴いてみる。やはり凄い低音の奔流。半日置いておいて再聴したりPS-510の位置を調節してみたりしたが、やはり自分の限界を超えている気がする。

 と、こんな具合でした。結局今回のボードはアナログ・ターンテーブルの下に収まりました。なお、メインシステムのCDPは試しませんでした。DP-85はアキュの中でもとりわけ柔らかい音が身上ですので、わざわざ硬くする事も無いだろうと思ったからです。カーボンの薄型ボードの到着を待ってまたいろいろ比較してみたいと思います。
 今回のボードは黒で無骨なのが少々難点ですが、他のカラーもあるようですし、お値段もまずまずリーズナブルなので、興味ある方はぜひお試してください。ちなみにルーツさん、早速30枚仕入れられたそうです(^_^;)。