ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

のだめカンタービレ #17

のだめカンタービレ #17 (17)
 ちょっと遅くなりましたが、のだめの最新刊です。今回はいやにシリアスで、あまり笑えるところが無いのが残念。

『音楽に没頭するあまり、すれ違うのだめと千秋は!?
大成功で幕を閉じた千秋の常任指揮者デビュー公演。その演奏を聴いたのだめは、音楽に真剣に向き合う。次回公演に向け、音楽に集中できる環境を求めた千秋は、アパルトマンから姿を消した。そして真価が問われる第2回公演で、千秋は……!?』

今回のキーパーソンは千秋真一の父親千秋雅之。帯の紹介文では

「千秋が12歳の時に離婚した放蕩親父。世界中を飛び回る有名音楽家だが、マネージャーの女との浮気現場を息子に目撃されたことがある。」

とあります。シュトレーゼマンもスケベ親父でしたがあんな陽性の人物と違い、雅之はどちらかと言うと陰の印象を受けます。しかし、というか人物設定上当然と言うか、ピアノの実力は相当のもののようです。今回初めて独演会のシーンが登場しますが、選曲とその順番がただものではない(^_^;)です。なんとBBBと3人の頭文字Bの巨匠の(難)曲を取り上げており凄い自信家ぶりを見せつけています。

1:バッハ: パルティータ第2番 ハ短調BWV.826
2:ブラームス: ピアノ小曲集 op118
3:ベートーベン: ピアノソナタ32番 ハ短調 op111

1のバッハはひょっとしたら真一がマルレオケで弾き振りをやったバッハのピアノコンチェルトにあてつけているのかもしれません。まあそれにしてもグールドと言うとんでもない比較対象のいる曲を堂々と一曲目に持ってくるところが凄い。

2はブラームス晩年の、諦観を感じさせる小品集です。私はアシャナシエフの演奏をよく寝る前に聴いて鎮静剤代わりにしていますが、これをコンサートのど真ん中にもってくるとは、、、

コノセンキョクノイガイサニドギモヌカレタヤロ(byヨギータ)

まあ静寂と寂寥を感じさせるこの曲目では、お客さんが高揚するとはとても思えません。しかし、終わった後のintermissionでは、どういうわけかみなさん「とっても情感豊か」「昔はもっと切迫感に溢れていた」との高評価。ほんとか?

どうせなら3の通称「熱情」を真ん中に持ってきたほうが良いのではないか?と思いますが。そしてどういうわけか、この3が一番さらっと描かれています。のだめはいたく感動したようですが。

まあ、真一が越えなければいけない壁の高さを見せつけた、と言うところなのでしょう。肝心の真一は聴いてませんが。そしてのだめの目標は「むっきゃー、打倒千明雅之!」と決まったようですが、はてさてそんな無茶な目標大丈夫でしょうか?