ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ヨーヨー・マ・プレイズ・モリコーネ

ヨーヨー・マ プレイズ・モリコーネ
ヨーヨー・マ プレイズ・モリコーネ

 年明けのおめでたい時期にご紹介するのは、世界的チェロ奏者ヨーヨー・マのアルバムで、SACD/CDハイブリッド盤です。傅先生がIASなどでデモされておられるらしいので、オーディオファイルの方にはもう耳馴染みかと思います。

ヨーヨー・マ(チェロ)
エンニオ・モリコーネ(指揮)ローマ・シンフォニエッタ
ジルダ・ブッタ(ピアノ)

録音:2003年6月、ローマ

『ミッション』メドレー
01「ガブリエルのオーボエ
02「ザ・フォールズ」
ジュゼッペ・トルナトーレ・メドレー
03『海の上のピアニスト』~「愛を奏でて」
04『ニューシネマ・パラダイス』~「ノスタルジア
05『ニューシネマ・パラダイス』~「愛のテーマ」
06『記憶の扉』~「リメンバリング」
07『マレーナ』~「メイン・テーマ」
セルジオ・レオーネ・メドレー
08『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』~「デボラのテーマ」
09『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』~「コックアイズ・テーマ」
10『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』~「メイン・テーマ」
11『ウエスタン』~「テーマ」
12『続・夕陽のガンマン / 地獄の決斗』~「ゴールドのエクスタシー」
ブライアン・デ・パルマ・メドレー
13『カジュアリティーズ』~「テーマ」
14『アンタッチャブル』~「テーマ」
『モーゼ』と『マルコ・ポーロ組曲
15「ジャーニー・フロム・モーゼ」
16「テーマ・フロム・モーゼ」
17「テーマ・フロム・マルコ・ポーロ
『レディ・カリフ』
18「ノクターン
19「ディナー」

  チェロの名手、ヨーヨー・マが、映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネの作品を演奏した注目盤。
 モリコーネといえば、そのオリジナリティあふれる美しく豊かな旋律の数々と、多彩をきわめたスタイルによって稀に見る独創的な世界を築き上げた天才として知られています。
 NHKルーブル美術館』の美しい音楽により、映画音楽ファン以外にも一躍その名を知られるようになったモリコーネは、マカロニ・ウエスタンから前衛的な現代音楽まで手がける幅広い芸風の持ち主。天国的な美しさから悪魔的な不気味さまで雄弁に描ききるその才能は比類がなく、すでに40年に渡って世界中から賞賛を浴びています。
 当アルバムには、モリコーネならではのノスタルジックな旋律美を持つ作品が数多く収められており、作曲者自身の指揮するオーケストラをバックに、ヨーヨー・マが極上のカンタービレを聞かせてくれています。ピアノは先日のモリコーネ来日公演にも同行した名女流、ジルダ・ブッタが担当。『海の上のピアニスト』やモリコーネ作品集でもおなじみの彼女のピアノには、モリコーネ作品を知り尽くした語り口のうまさが備わっています。(HMV解説より)

 クラシック以外にもピアソラはじめ様々な音楽ジャンルに挑戦し続けているヨーヨー・マが今回選んだ音楽は何と嬉しい事にエンニオ・モリコーネでした。「ニュー・シネマ・パラダイス」が大好きで、モリコーネのファンである私には願っても無い組み合わせと申せましょう。

 一曲目「ミッション」のための音楽からその美しさに圧倒されます。映画は南米を舞台とした、真摯な布教を志す神父の、植民地化を目論む国家的意思との葛藤を描いた壮大な映画でした。この映画音楽がまるでバロック音楽のような崇高な様式美に編曲され、ヨーヨー・マ独特の濃厚で滑らかで振幅の長いボウイングから紡ぎ出される弦の音には、本当に息を呑みます。モリコーネの手兵であるローマ・シンフォニエッタとのアンサンブルもとても初顔合わせとは思えないほど自然で、極上の室内楽のライブを鑑賞している気分を味わえました。

 ジュゼッペ・トルナトーレ組曲には私の大好きなトルナトーレ映画独特の郷愁を感じさせるアレンジが施されており、有名な「ニュー・シネマ・パラダイス」のテーマを初めとしてゆったりと安心して聴く事ができます。モリコーネ音楽を知り尽くしたジルダ・ブッタのピアノもマのチェロにうまく絡み合っています。

 セルジオ・レオーネ組曲は、マカロニ・ウェスタンと呼ばれていた二流時代からの付き合いであるレオーネに対するシンパシーの溢れる大作です。レオーネが自分の映画人生の総決算として撮った「Once Upon A Time In America」の音楽も素晴らしいですが、「Once Upon A Time In The West」(ウェスタンのテーマ)での合唱の美しさも特筆もの。

 その他にも、最後の「レディ・カリフ」の音楽はNHKのドキュメンタリー「ルーブル美術館」のテーマ曲となって有名になりましたし、聴き所は満載です。

 SACDの音質も弦の醸し出す弦の擦れ、胴鳴りを良く捉えていると思います。ヨーヨー・マSACDと言えば鳴り物入りで登場したSACD最初期のコダーイ無伴奏チェロ・ソナタを思い出しますが、あの演奏に見られた鬼気迫るような息苦しさは今回は見られず、自然体での演奏で心地よく演奏に身を任せていられました。こういうアルバムこそ、アキュフェーズの話題の新作SACD/CDトランスポート&DACDP-800DP-801で是非聴いてみたいところです、実は近々某氏が自宅へ導入されると言う嬉しいニュースがありますので、これを聴かせていただくのが大変楽しみです(^○^)。