ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

のだめカンタービレ音楽会@西宮

Nodameconsert
 先日のヴァンスカ&ラハティ響に引き続き、25日に兵庫県立芸術文化センターへ出かけてきました。プログラムは「茂木大輔の「生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」 R☆Sコンサート 」です。

 今話題沸騰の漫画「のだめカンタービレ」に出てくる名曲の数々を、二ノ宮先生のアドバイザーでもある茂木大輔さんの司会、指揮で聴こうという企画ものです。結構楽しめたとはいうものの、先日同じホールでラハティ響の鳥肌の立つような素晴らしい演奏を聴いたばかりだったのでその落差は結構大きく、感動と落胆が合い半ばする感じでした。

発行部数1000万部を突破し、今や日本でもっとも注目されているコミック『のだめカンタービレ』。
その中で演奏された名曲の数々を生で聴くコンサートが初めて関西で実現します。マンガを読むだけでは飽き足りない皆様へも朗報です。また、映像も駆使し、あの名場面が名曲と共に再現されます。
ご 案内役は多彩な活動で知られるNHK交響楽団首席オーボエ奏者、“もぎぎ”こと茂木大輔さん。作者 二ノ宮知子さんの取材に協力する茂木さんが自ら企画・立案します。ゲストにピアノの三輪郁さん、そしてオーボエには、PACオケのアソシエイトプレイヤー でもある古部賢一さんを迎えてお贈りする夢の音楽会。(HPより)

出演者
企画・指揮・お話: 茂木大輔
ピアノ: 三輪郁
オーボエ: 古部賢一
管弦楽 : ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団大阪音大OBによるオケ)

プログラム(今回はR☆S編、ちなみに26日はパリ編です)
 場内は超満員、切符は売り切れだそうです。観客層は予想通りヴァンスカの時より相当若い。大阪音大のOBのオケのせいか、音大生っぽい感じの女の子も多かったです。

1.ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調作品55 「英雄」より第1楽章
 
ステージの上に大きなモニターがあり、そこに漫画の場面や曲目の解説を入れたスライドショーが流れます。ちなみにこの曲は、漫画ではS響が始めてチャレンジする曲です。峰君たっての希望でヴァイオリンが全員ボウを直角に立てて弾くところあたりを再現して見せるあたりが見せ場でした。が、演奏は可も無く不可も無く、と言うところ。

 今回はかぶりつきでなく2階席だったからかもしれませんが、弦全体にキレが今ひとつ感じられませんでした。綺麗は綺麗だし、技術的にも優れた演奏ではあるのですが、あまりナポレオンを思い起こさせるような興奮は無く静かに終わりました。家内に言わせると「無難な演奏」でした。

2.モーツァルトオーボエ協奏曲ハ長調K.314より第1楽章
 ここでオーボエ奏者の古部(ふるべ)さんが登場。当然くろきんこと黒木君の役どころです。茂木先生の話によると、黒木君はアンケートで一番人気があるらしいですね。私はTVドラマを見ていないのですがまだ登場してないらしいです。茂木さんは誰がやるか知ってるけど企業秘密だそう(^_^;)。ちなみに黒木君は

やっぱりドイツへ留学するべきだった

と言うのがお二人の意見でした。

 閑話休題オーボエのソロというのはライブで初めて聴いたのですがとても優しくて美しい音色で感動しました。結構高音域までカバーしてるんだなあと言う事も知りました。

3.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」より第2楽章
 さて、次はいよいよのだめのパートであるピアノ、三輪さんの登場です。経歴は省略しますが、ウィーンを拠点に活躍されておられるピアニストだそうです。
 先ずはソロで、有名な「悲愴」の第2楽章を演奏されました。漫画では千秋のだめの出会いとなる因縁の曲です。テクニックは申し分なかったですが、戸惑ったのはグランドピアノの音。低音がモコモコしていて音離れが悪くホール全体への響きも今一つすっきりしません。
 率直な感想を述べると、前回のポホヨネンには(失礼ながら)、

無名のピアニストが演奏してさえライブではこれほど感銘を受けるのか

と激しい衝撃を受けました。正直拙宅のメインスピーカーの買い替えを真剣に検討しなければいけないな、と考え込みました。それに対して今回は、これじゃまだ拙宅のシステムの方がましだと思ってしまいました。

 前回の公演からそう日は経ってないので、季節は関係ないと思います。二階席だったせいなのか、調律なのか、打鍵のタッ チなのか、色々考えていましたが結局分からずじまいでした。家内も同じ思いで聴いていたらしく「ピアノの音が悪すぎる」と休憩時溜め息をついていました。

4.ラフマニノフピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18より第一楽章
 
大変美しい楽曲です。昔映画「旅愁」で聴いた第3楽章の美しさに感動した覚えがあります。その後、ラフマニノフのポートレイトを見て愕然とした覚えも(^_^;)
 それはさておき、今回は第一楽章でした。これもまた美しい旋律のロマンティックな曲ですので、ピアノの高音域はそれなりに聴けたので、この演奏はまずまずでした。家内の評価は厳しくて「無難で面白みのない演奏」でしたが。

Intermisson 20分

5.ブラームス交響曲第1番
 
これが私にとって真のクラファンになれるかどうかの試金石だと思ってました。ブラームスはお好き、、、でないからです。昔高村薫の「リヴィエラを撃て」に感動してピアノ協奏曲第2番のCDを我慢して何回か聴いた事がありましたが、、、耐え難いほど退屈でした(TT)。ちなみにピアノはポリーニでしたが。それ以外にも色々チャレンジした事はあるのですが、アシャナシエフの「後期ピアノ曲集」以外はどれもこれもギブでした。
 自分のクラに対する理解が足りないせいなのでしょうが、今回懇切丁寧にスライドショーで各パートの説明を受けつつ聴いても、、、やっぱりダメでした。な~んだ「運命」をパクったのかよ、とか思うまもなく寝てしまいました。ああ、クラファンへの道のりは遠い(歎息。

アンコール:
ラヴェル: ピアノ協奏曲ト長調より第2楽章
 
再び三輪さんと古部さんの二人のソリストを迎えて演奏されました。のだめには出てこない楽曲なのですが、皮肉な事に今回聴いた中で最もよかったです。
 千秋のだめの故郷大川市へ留学を説得しに向かい、川沿いで後ろから抱きしめる場面を覚えておられる方も多いかと思います。この名場面で茂木さんが「この曲を是非使って欲しかったが、漫画に入れてもらえなかった」ので取り上げたそうです。私は不覚にもラヴェルのこのピアノコンチェルトを知らなかったのですが、さすがラヴェル、フランス流美の極致。クライマックスで千秋のだめを抱きしめる場面がスライドに映し出されるとそれなりに感動的でしたね。そして曲は静かに余韻を残して終わりました。

 やっぱりピアノの音はこもったような音のままでしたが、ラヴェル独特の高音部の流麗なメロディラインは十分に楽しめました。オーボエは先程と同じく素晴らしかったです。

モーツァルト: トルコ行進曲
 茂木さんが「このまましんみりと終わってしまってはいけませんね、最後に三輪さんにもう一曲盛り上げてもらいましょう」と言って始まったのが、ピアノソロの超定番トルコ行進曲でした。はっきり言って

ラヴェルで余韻を残したまま終わって欲しかったぞ(怒

なんかささくれ立った様なピアノの音にげんなりでした。超満員のお客さんから盛大な拍手を受けて終了しましたが、正直そんなに拍手する気にならなかったです。

 ヴァンスカフィンランディアを振り終えた時の全身の血が逆流するような興奮と感動、地鳴りのような喝采、場内のライトが点いたあとも鳴り止まない拍手の渦、あれはやっぱり稀有な経験だったのだなあとあらためて思いました。

おまけ: 「奥様パリ編を語る」
 家内は今日のパリ編も友達と聴きに行き、さっき帰って来ました。ではその感想をどうぞ。

 昨日で免疫が出来てたのでそれなりには楽しんだよ。でもやっぱり「無難だけどどうっちゅうことのない演奏」やったねえ。今日は3階の正面やったけどやっぱりピアノの音はあかんかったわ。でも「ボレロ」だけはよかったよ、まあボレロが悪かったらどうしようもないけどね。音大つながりのお客さんが多いせいか、物凄い拍手でね、一緒に行った友達も「そんな凄い拍手するほどの演奏やった?」って言ってたわ。クラシックファンを増やすための演奏会やったらもうちょっとしっかりと感動できる演奏を聴きたかったわ、ほんま。