ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

甲斐よしひろ/アコギなキラーギグ2006@岸和田

Namikiri
 サウンド・クリエイターさんのモニター応募にラッキーにも当選したので、昨日は遠路はるばる岸和田まで甲斐よしひろさんの「アコギなキラーギグ」に行ってきました。
 生の甲斐さんの声を聴くのは1986年の甲斐バンドFinal Consert Tour "Party"」を大阪城ホールで聴いて以来実に20年振りでした。かつて新宿西口広場、国技館花園ラグビー場等のビッグ・ギグに於いて、埋め尽くした観衆を魅了してやまなかったKILLER VOICEを久しぶりに堪能してきました。

KAI YOSHIHIRO: ako-gi na KILLER GIG 2006

日時:平成18年10月7日(土)
場所:岸和田市立浪切ホール(冒頭写真)

甲斐よしひろ Vo、G、Bluesharp
松藤英男   Vo、G
ラッシャー木村 Violin、Kb、Backing Vocal

Setlist:
1.スウィート・スムース・ステイトメン
2.裏切りの街角
3.ビューティフル・エナジー
4.かりそめのスウィング
5.きんぽうげ
6.甘いkissをしようぜ(再結成時シングル)
7.安奈
8.LADY
9.BLUE LETTER
10.NIGHT WAVE
11.アウトロー(漂泊者)
12.風の中の火のように
13.破れたハートを売り物に

EC.1
14.冷血 (甲斐、木村の二人)
15.HERO
16.最後の夜汽車

EC.2
17.ハート(ウクレレで演奏)
18.バス通り

 ツアー名のごとくシンプルなアコースティックを主体としたコンサートで、メンバーは甲斐さん、松藤さんに、妙齢の女性ヴァイオリニストの3名。

 甲斐よしひろさんはもちろん説明不要ですね。甲斐バンドを率いて70-80年代を駆け抜けたわれわれの時代の「HERO」です。
 今回も白のジャケットにストライプのパンツでばっちり決めておられました。ただ顔は20年前と比べるとずいぶん丸くなりました。髪の毛もチラッと松藤さんにからかわれてましたが、「ズラ疑惑」があるような気がしましたが、さて真実の程は?
 多くのファンを魅了し続けた「KILLER VOICE」も少しキーが下がりました。少しハスキーな中にもヴェルベットのように艶があったのが彼の声質の特徴でしたが、少しその艶も翳りを見せてました。もう解散から20年だもんなあ。それでも往年の名曲を歌う甲斐さんの声はやっぱり良いなあ、と思いましたけれどね。

 松藤英男さんは、甲斐さんの紹介によると

「昔甲斐バンドというちょっとは名前の知れたバンドでちょこっとお稽古事みたいにドラムを叩いていた」

そうです(爆。今回はもっぱらギターに専念しておられましたが、3ではボーカルも披露し、MCでは絶妙に甲斐さんに絡んで終始ニコニコしておられたのが印象的でした。

 甲斐さんが紹介する女性ヴァイオリニストの名前をどうしても聞き取れなかった、と言うか信じられなかったのですが、ネットで調べてみたらやっぱり

ラッシャー木村

ええっ、どうして?と言うくらい美しい方で、ヴァイオリンの旋律の美しさも特筆もの。哀愁を帯びたメロディで胸を熱くさせていただいたことも度々でした。昔の甲斐バンドで言うと大森さんのソロギターに匹敵するくらいの重要なパートをこなしておられたと思います。

 さて、定刻を少し過ぎて3人が登場。シンプルな舞台セットは左から木村、甲斐、松藤の順で、後方には2本トーチに火が燃えていました。男性二人の横のテーブルにはミネラル・ウォーターとともに水割りのグラスが。ザ・ベストテンで物議を醸したのも遠い過去のことですが、あの当時の騒動をちょっと思い出してしまいました。
 さて甲斐さんがギターを弾き始めて思い出したのですが彼左利きだったんですね。松藤さんとギターの向きが逆でピックガードが上になってました。そう言えば彼はブルースハープもなかなかの腕前なんです。今回も数曲で見事な吹きっぷりを披露してくれました。
 あの頃のシンガーの例に漏れずMCも快調。第一声が

「今晩は、グレープです(笑)。ほんとは青い三角定規にしようかと思ったんですが今はこれは言っちゃいけないんだよね」

でした。その後も岸和田の話題、故郷博多の話題等々、まことに楽しいものでした。

 曲目については殆ど説明不要のキラーチューン・オン・パレード。甲斐バンドの曲以外ではソロ時代の名曲「風の中の火のように」をやってくれたのが嬉しかったです。

 さてさて、甲斐バンド。解散して20年も経てばもうどうでもいいことなのでしょうけれども私の世代だと、

HERO」以前からのファンこそが真の甲斐バンドファンだ

というまことに依怙地な思い入れがありました。「HERO」が大ヒットした時、マスコミがそれまでのキャリアを「下積み」だの「苦節何年」だのと全く無知な表現をしたのですが、それを未だに根に持ってるファンは多いですね、私もそうですが(^_^;)。一応言っとくと、甲斐さん自身もそうだったと思います、HEROに対しては複雑な思いがあると度々話しておられましたから。
 
 そう、本当はそれまでの甲斐バンドもライブでは当時屈指の観客動員力を誇る実力派バンドだったんです。真の音楽ファンの中での高い評価は、本人が昔ラジオで語ってましたが

アンコールの拍手が聞こえ続ける限り、もう体が動かないほど消耗していても這ってステージに戻っていった

という凄まじいライブを重ねていた賜物だったと思います。

 だからその頃の甲斐バンドのライブを知っている者としては、やっぱりPRE-「HERO」 eraの名曲、「きんぽうげ」「LADY」「最後の夜汽車」あたりジ~ンと来ました。特に「LADY」のサビを甲斐さんが歌い上げた時には熱いものがこみ上げてきましたよ。

 とは言え、観客が大合唱できるのはやっぱり「安奈」「NIGHT WAVE」「破れたー」であり、観客が総立ちになって熱狂できるのは「アウトロー」だったりするわけですね。この辺のバリエーションの豊かさはやっぱり「HERO」あってこそだったのでしょう。とにもかくにも人気実力ともに偉大なバンドであったと思います。

 コンサートはまだまだ続きますし、今まで行ったことのない町へも行くそうです。皆さんも近くの町へ来たら是非どうぞ。