ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Madonna Confessions Tour @ 京セラドーム大阪

Madonnastage
 もう30年近くも常に時代の最先端を「プログレ」ッシブに生き続けてきた現在最高のシンガーの一人、マドンナのコンサートに昨日ついに行ってまいりました。いやあ、これほど最初から最後まで興奮しっぱなしだったのは久しぶり、最高のステージでした。彼女のカリスマ性、ダンスの構成の完璧なまでの見事さ、ステージの規模等、Pop/Rockの分野において現在望み得る世界最高のステージの一つではなかったかと思います。

 今回はノンストップのダンスミュージック・アルバム「Confessions On The Dance Floor」にちなんで「Confessions Tour」と名づけられています。セットリストを見ると判りますが、アルバム12曲中から10曲を演奏し、全体に占める割合も5割という多さ。キラ星の如くミリオンヒットを持つ大物のステージとしては異例の構成と言って差し支えありません。この事一つをとってみても如何に彼女がバリバリの現役で「現在」を疾走し続けているかがわかります。
Confessions on a Dance Floor
Confessions on a Dance Floor

 一方、毎回毎回いろいろと物議を醸してきた彼女のステージですが、今回は十字架への磔シーンが世界中で物議を醸しています。今日そのステージを見て、彼女が言わんとするところは理解できました。その意味では非常に社会的なメッセージ色の強いステージでもありました。

 という訳でそろそろレポートへ。昨日は当番であったにもかかわらず午後2時に仕事を終えたら脱兎の如く帰宅し、クビを賭けて一路大阪へ(苦笑。着いたのは開門寸前でとりあえずパンフレットとグッズを買って場内へ。私の席は一塁側スタンド席でした。場内放送を聴くと何とフラッシュ無しなら撮影可との事!ということで冒頭の写真は始まる寸前をパチり。

Madonna " Confessions Tour "
Date: Sep 16th , 2006
Place: Kyou-Cera Dome Osaka, Osaka, Japan

Madonna: Vocals and Guitar
Stuart Price: Musical Director, Kbs and Programming

Setlist

1. Future Lovers / I Feel Love
 定刻より約30分遅れで場内が暗転し、ステージ上にダンサーが登場。そして花道先端の上空から巨大なミラーボールが降りてきて開き、中からマドンナが登場するともういきなり会場のテンションは最高に。一曲目は最新作からの「Future Lovers」にあの懐かしのドナ・サマーの「I Feel Love」を途中にはさむという心憎い選曲で始まりました。マドンナは乗馬服の出で立ちで「S」の雰囲気ぷんぷん。案の定鞭でダンサーの一人をいたぶるパフォーマンスが始まりました。こういうところもいきなりマドンナらしさが全開です。

2. Get Together
 2曲目も最新作からの選曲。ステージやビジュアルが一瞬にして炎のイメージに変わります。アルバム自体がシームレスにつながっていく構成でしたからどうアレンジするのかな、と思っていましたが、見事に前曲からのテンションを保ちつつつながっていきます。マドンナの後ろにいるStuart Priceの手腕が冴え渡っていました。

3. Like A Virgin
 
お決まりのMCで会場を沸かせアジッた後、80年代前半を代表する名曲のあのリズムに乗って彼女はステージ左の巨大なロデオのサドルへ。今回はパンフでもステージの演出でもそうですが、馬が一つのモチーフでした。それにしても年齢を感じさせない躍動する肉体美はさすが。

4. Jump
 
最新作より。題名どおり、ダンサーの面々が素晴らしい跳躍を披露。同日に家内と娘が見に行っていたマッスル・ミュージカルを見ているかのようでした。

5. Live To Tell
 いよいよ今回のツアー最大の話題である磔パフォーマンス。社会に対するプロテストをこめたブレイク・ダンスを二人のダンサーが披露した後、舞台中央にマドンナを磔にした巨大な十字架が立ち上がっていきます。歌は彼女の代表的なバラードの一つ、アルバム「True Blue」に収録されていた「Live To Tell」。

Madonnaoncross2
 この写真ではよく判りませんが、茨の冠をかぶっています。十字架背後の上方で増え続ける数字はアフリカでAIDS禍により死んでいく子供たちの数をカウントしています。ただのお騒がせパフォーマンスではない事が理解できます。

6. Forbidden Love
 
ここからまた11まで最新作からのチューンに戻ります。

7. Isaac
 
曲名の御本人、Isaacが登場。彼女が傾倒しているカバラに関する歌詞を中近東風のメロディの乗せて歌います。

8. Sorry
 
再び激しいダンス・チューンへ、会場のボルテージもすぐにまたレッド・ゾーンへ。

9. Like It Or Not
 「あなたが好きであろうが嫌いであろうがこれが私よ」言い切る自信に溢れたナンバー、周囲の雑音に対する彼女の回答とも思えます。

10. Sorry Remix (Video)
 本人は退場し激しいビートのリミックス・バージョンが流れる中、非常に刺激的なビデオが流れます。ブッシュ、ライス、ブレア、スターリン毛沢東金日成・正日等々の政治家、戦争シーン、飢餓に苦しむアフリカの子供のショット等が次々と流れ、「Don'r Speak!」「Is anyone listening?」といったキャプションがフラッシュのように挿入され、彼女の政治的・社会的スタンスを暗示しています。

11. I Love New York
 
これも最新作から。一転して黒のコスチュームに黒のEl.Gを抱えたマドンナ、ばっちし決ってます。ということで、オリジナルは当然ダンス・チューンですがここではヘヴィなロック・チューンに仕上げられていました。基本的にコード弾きではありますが、ちゃんとギターの音を出しているところは立派。時々スライド奏法も披露してました。やりますね。

12. Ray Of Light
 
過去の代表曲の一つです。彼女がただのセックス・シンボル的扱いからアーチストとしての評価を高めた同名のアルバムからのチューン。名前の通り、ビジュアルイフェクトも眩しい^^;。引き続きギターを弾きつづけるマドンナ。

13. Let It Will Be
 再び最新作から。「名声も得た、富も得た、でもそんなものやがて消え去っていく事は知ってるわ、もう後戻りできない地点に私は立っているの、さあ私が燃えるのを見て!」という歌詞に彼女の強い意思を感じさせる作品。今回のパンフレットにも

I'm at the point of no return
just watch me burn

という歌詞が彼女の自筆で大書されています。

14. Drowned World / Substitute For Love
 
「Ray of Light」より2001年のツアータイトルにもなっていた曲。ステージに座って歌い始めたのですが、どうもベースシンセの調子が悪くガガガガッという逝きそうな音が。マドンナが今回初めて不安そうな表情を見せ、心配そうにスチュワートの方を振り返っていました。とりあえず音をカットしてそのまま続けたようです。

15. Paradise ( Not For Me )
 
再びIsaacがステージ中央へ。桜の花びらが舞い散る美しい情景をバックに、ギターを持ったマドンナとのデゥエットで美しいバラードを聴かせます。この曲をマドンナがステージで歌うのは今回が初めてらしいです。

16. Music ( Disco Inferno Mix )
 
前々作「Music」よりタイトルチューン。リミックスで非常にヘビーなナンバーに仕上がっていました。

17. Erotica
 
パンフレットに書いてあったセットリストではLa Isla Bonitaが先になっていましたが、変更があったのか、Musicの勢いのままEroticaに突入。ダンサーと一緒に13年前に話題となったセンシュアルなステージを展開。

18. La Isla Bonita 
 これも13年振りの披露となる躍動感溢れるラテン・ビートで、会場の盛り上がりは最高潮に。

19. Lucky Star 
20. Hung Up
 
18の最後に倒れ臥したマドンナにバックダンサーがマントをかぶせて抱き起こします。銀色のマントの背部には「Lucky Star」の刺繍が。表側は黒地にスパンコールがきらきらまぶしく光ります。デビュー当初のスマッシュ・ヒット・チューンを軽快に歌うマドンナ。これも19年振りという久々の披露。この曲の途中から「Hung Up」に用いられているABBAの「Gimme Gimme Gimme」のサンプリング音を主体としたメロディがバックに流れており、そのままラスト曲に突入。場内最高潮で

Time Goes By, So Sorry

のフレーズの大合唱、降りしきるバルーン、点滅する照明でクライマックスを迎え劇的にステージは終了。最後にモニターに赤の筆記体

「Are you confused? 」

と言う文字を残して会場が明転。 これだけ完璧で計算されつくしたパフォーマンスを見せられると、アンコールも必要なし。会場全体に余韻が残る中、帰路につきました。

 これだけのものを見せられると、スタンドで140Kも高くない、と思いました。本日もまだ当日券があると言う噂、大枚はたいても見なければ後悔しますよ、是非どうぞ!!

 と、これだけではマドンナの今回のツアーを締めくくるには不十分。最後にグッズについてくる、www.raisingmalawi.orgのパンフレットに書いてあるマドンナ自筆の文章をご紹介しましょう。
 マドンナが磔パフォーマンスを敢行した真意を少しでも汲み取っていただければ、と思います。私も国境無き医師団の記事を時々このブログでも紹介していることもあり、とても共感を覚えました。

アメリカ資本主義の権化のような女が

という批判的な見方もあるようですが、「Let It Will Be」の歌詞をもう一度思い出してください、彼女にだってどうしようもない事もありますよね。。

I would like to tell you about a cause that is very close to my heart. It is called Raising Malawi, and it is a new effort to bring an end to the extreme poverty and degradation endured by Malawi's orphans suffering from famine, drought, poverty, and diseases like hiv1aids, malaria, tuberculosis, and hepatitis.

These children need our help. Please join me in this effort and get involved their lives are depending on it.

madonna