ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

英語は関西弁に通ず

 ある方から英語青年2006年8月号を譲り受けました。教師向けの硬い雑誌だろうと思っていたら結構面白い。本の宣伝ページなんか食指そそられまくり。今月は月始めにしてもう金欠状態なのに(涙。
Eigoseinen

 てなわけで(どういうわけや)、さる筋でさる方から

「何でケビンが関西弁やねん?」

と言うツッコミを頂きましたので、ここで講釈いたしましょう。どういうツッコミかはこの際訊かないでくださいm(__)m
 この英語青年pp295-297に南山大学教授村杉恵子先生と言う方が

「方言から言語理論へ(上)」

と言う大変難しい論文を書いておられます。ただ、意味のわかるところだけ拾い読みすると(B型!)結構面白い。なんと英語は関西弁に通じるのです。「補文標識の脱落」と言うテーマなのですが、わかるところだけ引用すると(をい、

1-a: John thinks (that) Mary is smart.
1-b. John knows (that) the teacher was lying.
2:   [That] the teacher was lying, John already knew.

このthatが補文標識なんですが、英語の場合、1-a,bのように通常の位置に補文があるばあい、thatはあってもなくてもよいわけです。これを随意的と言います。ところが、2のように補文が文頭に位置すると無くす事ができません。これを義務的と言います。

 翻って日本の標準語である東京方言を見てみましょう。この場合補文標識は(と)です。

3-a: 太郎が[神戸にいく(と)]言った。→省略不可
3-b: [神戸にいく(と)]太郎が言った。→省略不可

このように補文がどの位置にあっても(と)は必須で省略する事ができません。ところが、関西方言はどうか?ということで神戸方言が例として載っています。この場合補文標識は(て)に変わります。

4-a: ジョンが神戸に行く(て)言うた。→省略可
4-b: [神戸にいく(て)]ジョンが言うた。→省略不可

なんと!英語と同じく補文が通常の位置なら(て)は随意的で文頭に来ると義務的なのです。この際、なんで太郎がいきなりジョンになるねん?などと言う野暮なことはききっこなしです(自爆。また、4-aにおいては(に)も省略できるやん、関西弁はルーズなだけや、などという非学術的な突っ込みも入れないでおきましょう(自爆x2。

というわけで、英語と日本語は全く構造が違いますが、英語と関西弁には脅威の共通点がありました。どうりで外人さんは関西弁がうまいわけだ(納得。

次号ではもっと面白いことになるとの前振りが(^_^;)、買おうかな。