ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

AEDで救える命がある

 日本ラグビー界に多大な貢献をされた宿沢広朗氏が急死されました。享年55歳、あまりにも早い死を悼む声がラグビー関係者、ファンの間に満ちています。謹んでご冥福をお祈りします。
 登山からの帰り道に急性心筋梗塞を起こされたとの新聞記事に真っ先に思い浮かんだのは、AED:自動体外式除細動器の事でした。登山の帰り道のどの辺であったのか、まだ山中であったのならどうしようもなかったと思いますが、もう麓まで下りられていたのなら近くにAEDは無かったのだろうかと思ったのは決して私だけではないでしょう。
AED(自動体外式除細動器)を、使ってください
AED(自動体外式除細動器)を、使ってください

 宿沢氏や三笠宮殿下のような、働き盛りで社会でも要職についておられる世代の方を突然に喪ってしまうことは本当に痛恨としか言いようがありません。私事で恐縮ですが、私の所属している医局の前教授も心臓発作で倒れなお闘病中でいらっしゃいます。
 このような心臓発作の救命率を上げる方法は直後の対処以外ありえないのです。救命率は一分毎に7-10%落ちていきますので、10分何もしなければ先ず助かりません。病院の中で倒れでもしない限り、そのような短時間の間に専門医師の治療を受けるのは不可能であることは誰の目にも明らかです。だから倒れたその場で治療を始める以外にないわけです。
 ところがAEDを5分以内に行えば50%の確率で歩いて病院を退院できるのです。更に直後より心肺蘇生術を行っていれば8分に50%退院率が伸びます。

 心臓発作の蘇生、というとまだまだ素人には無理、と考えておられる方も多いかもしれませんが、実は昨年7月から法改正により一般市民でもこのAEDという機械を使えるようになりました。詳しくはAED普及協会HPをご覧いただけると幸いです。最近は各地で活発に普及のための講習会が行われています。私も兵庫県では大変有名な河村先生 の講習会に参加した事があるのですが、我々医療関係者が肩身が狭くなるほど、一般市民の方の熱気は凄かったです。

 宿沢氏が倒れた場所にAEDが無かった、というのは不運としか言いようがありませんが、将来的には日本中あらゆる場所であらゆる人がAEDを使える国になってほしいと願っています。ご自身はもとより、この人だけは突然に喪いたくない、という人があなたの周りにも必ずいらっしゃる筈です。是非AEDの事をよく知ってください!とお願いします。