ジム・ジャームッシュ監督の新作「<ブロークン・フラワーズ」を観てきました。実は前回ヴィム・ヴェンダースの「アメリカ・家族の居る風景」を観た時に予告編を見たんです。監督のジム、「ロスト・イン・トランスレーション」でとても良
い味を出していたビル・マーレイ、そして「アメリカー」にも出ていたジェシカ・ラングとくればもう必見だと思ってました。
偶然だとは思うのですが、ヴィムの「アメリカ・家族のいる風景」が「パリ・テキサス」から20年を経たロード・ムービー、ジムの本作は「ストレンジャー・ザン・パラダイス」 から20年を経たロード・ムービー、おまけに「自分の知らない間にできてしまった息子を探しにいく中年男の話」というところまで一緒です。二人ともそのような歳になったということなんでしょう。そう言えばヴィムとジム、名前まで似てますぞ(^_^;)
資料:
上映時間 106 分
製作国 アメリカ
公開情報 キネティック=東京テアトル
初公開年月 2006/04/29
監督: Jim Jarmusch
製作: Jon Kilik
Stacey Smith
脚本: Jim Jarmusch
撮影: Frederick Elmes
出演:
Bill Murray : Don Johnston
Jeffrey Wright : Winston
Sharon Stone : Laura
Frances Conroy : Dora
Jessica Lange : Carmen
Tilda Swinton : Penny
Julie Delpy : Sherry
Chloe Sevigny : Carmen's Assistant
Alexis Dziena : Lolita
Mark Webber : The Kid
『 鬼才ジム・ジャームッシュ監督がビル・マーレイを主演に迎えて贈る哀愁漂うオフビート・コメディ。かつてのプレイボーイが、自分の息子がいるという差出人不明の手紙を手に、昔の恋人たちを訪ねる旅に出る。主人公の元恋人役でシャロン・ストーン、ジェシカ・ラングら豪華女優陣が登場。カンヌ映画祭審査員特別大賞(グランプリ)受賞作。
かつては多くの女性と恋愛を楽しんだ元プレイボーイのドン・ジョンストンは、中年となった現在も勝手気ままな独身生活を送る日々。そんなドンに恋人のシェリーも愛想を尽かして出ていった。そこへ、差出人不明のピンクの手紙が届く。便せんには“あなたと別れて20年、あなたの息子はもうすぐ19歳になります”と書かれていた。それを聞いた親友のウィンストンは、お節介にもドンが当時付き合っていた女性たちを訪ねて回る旅を段取りしてしまう。そして、気乗りのしないドンを強引に息子探しの旅へと送り出すのだった。(allcinema Onlineより)』
いやあ、106分ゆっくりとした時間が流れていきました。今回は家内を誘っていったのですが、終了後開口一番、
「家でDVDで見てたら絶対寝てた」
というくらいジム独特の間延びしたユルユルの展開が私には心地よかったです。それにあわせたかのようなエチオピア音楽も。
俳優陣は、くたびれた中年男役がすっかり板についたビル・マーレイをはじめみんながみんな芸達者!俳優の演技をじっくり楽しむ事のできる映画です。前回紹介した「アメリカ・家族のいる風景」の俳優陣も素晴らしかったですが、あちらを動とすればこちらは静か。
その中でもやっぱり私のお気に入りは両方の映画に出ていたジェシカ・ラング。しゃべる時の口元がコケティッシュなんですよね。シャロン・ストーンは綺麗過ぎてちょっと引いてしまいましたが、彼女の娘ロリータには笑ってしまいました。あんなんでPG12にするなよ、ジム(^_^;)。
ジムの演出でよかったのはビル・マーレイが左目を殴られた瞬間画面が突然ブラックアウトするところ。ドキッ、ニヤリです。また、彼の過去の作品の例に漏れず、本作も
「色々と種を仕込みつつ結局なにも分からないまま終わる」
というあたりで好き嫌いは分かれると思いますが、自分には心地よかったです。
個人的に惜しむらくは、冒頭のシーンをもう少し注意してみておけばよかったということ。DVDが出たらもう一度見てみようと思います。