ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

10の語られなかった人道的危機(前編)

 国境なき医師団Medecins Sans Frontieres, MSF)の2006年4月号のニュースレターに、「10の語られなかった人道的危機(前編)」という特集がありました。昨年国際社会の関心がほとんど向けられることのなかった人道的危機のあった地域を紹介しています。読むのに辛い記事ではありますが、ご紹介する価値のある特集だと思いますので簡単にまとめてご紹介したいと思います。

1: コンゴ民主共和国
 内戦が終結した2003年以降も何百万の人々が極度の貧困と暴力にさらされています。また、10年以上にわたる紛争はもともと脆弱であった医療システムを完全に崩壊させました。貧困と医療の欠如は国全体で非常に高い死亡率を招いており、マラリアHIV/エイズコレラなどが蔓延しています。MSFは昨年東部地区で約8万人の避難民に対して援助を行うなど、最大規模の援助スタッフを充てています。

2: チェチェン共和国
 ロシアとの泥沼の紛争が続くなか、人々は安全な避難場所も見出せず暴力の中に取り残されています。隣国のイングーシに逃れていた避難民の多くもこの数年の間に帰還を強いられ、劣悪な環境の収容施設へ入ることを余儀なくされました。
 この紛争が国際政治の議題から消え去っている昨今、

「最も治療が難しいのは、人びとの絶対的な絶望感です」

とMSFの看護師は述べています。

3: インド北東部
 宗教・民族間の対立や政府と武装勢力間の紛争が続いており、アッサム州では昨年10月に起きた大規模な衝突で90人以上が殺害されました。
 避難民は5年間で15万人以上に達し、政府からの適切な援助もなく保健医療システムも機能しておらず、猛威を振るうマラリアに対して多くの人びとはなすすべがありません。MSFは今年アッサム州だけで5万人のマラリア患者を治療する見込みです。

4: コロンビア
 麻薬売買と天然資源をめぐる内戦が数十年にわたり続いており、依然として暴力が死因の第一位を占めています。300万人以上が避難を強いられ避難の連続に人びとは心理的に衰弱し、政府が提供する支援も恐怖や情報の欠如のためにほとんど届いていません。MSFは農村やスラム街で基礎医療の提供を行っています。

5: コートジボワール
 2002年に始まった内戦により数千人が犠牲になり、数十万人が避難を強いられました。多くの人びとが基礎医療や食糧さえ受けられない状態です。国を南北に分断している境界線付近では一般市民への暴力が横行し、マラリアは全土で猛威を振るっています。多くの女性が性的暴力の脅威にさらされており、MSFは性感染症患者が多く見られる西部で、HIV/エイズの治療を開始しています。

 後半は次のニュースレターで届くでしょう。なにもできない無力感に呆然となる内容です。私自身も微力な寄付しかできないもどかしさにかられます。せめても少しでも多くの方にご協力いただければ、と思い、お小遣いにわずかでも余裕があればこういうことができます、という具体例をHPから抜粋して最後にご紹介します。

10,000円でできることの例:
# 外科手術用麻酔キットを8人分購入できます。(約10,000円)
# およそ250人に予防接種を行うため必要な医療機器を購入できます。(約20,000円=10,000円×2口)

5,000円でできることの例:
# 避難民に毛布を8枚提供できます。(約5,000円)
# 避難民3,000人に清潔な飲料水を10日間供給できます。(約15,000円=5,000円×3口)

2,000円でできることの例:
# 避難民100人に緊急栄養食を提供できます。(約2,000円)
# 呼吸器系疾患に苦しむ子ども1人に抗生物質を用いた治療を行うことができます。(約4,000円=2,000円×2口)