ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Higher Ground

 ようやく今年初めての音楽レビューです(滝汗。何しろ年末から怒涛の忙しさで、満足に聴きこむ機会がなかったもので未聴CDが山積状態(>_<)、ぼちぼち紹介していきたいと思っています。まずは昨年の超巨大ハリケーンカトリーナにより壊滅的被害をこうむったニューオーリンズのミュージシャンを救済する目的で行われたHigher GroundのCD化から。アメリカ在住でいらっしゃるjazzaudiofanさんのブログで出たのを知って買い込んでおりました。
Higher Ground Hurricane Benefit Relief Concert
Higher Ground Hurricane Benefit Relief Concert

1: This Joy / Shirley Caesar
2: Over There / Terence Blanchard
3: Go To The Mardi Gras /  Art & Aaron Neville
4:  Basin Street Blues / Diana Krall
5: Never Die Young / James Taylor
6: The House I Live In / Dianne Reeves
7: New Orleans Blues / Marcus Roberts Trio
8: I Think It's Going To Rain Today / Norah Jones
9: Dippermouth Blues / Wynton Marsalis Hot Seven
10: I'm Gonna Love You Anyway / Buckwheat Zydeco
11: Is That All There Is / Bette Midler & LCJO
12: Just A Closer Walk With Thee / Irvin Mayfield Jr.
13: Here's To Life / The Jordan Family
14: Blackwell's Message / Joe Lovano
15: Come Sunday / Cassandra Wilson & LCJO
(LCJO: Lincoln Center Jazz Orchestra)

 概要については、jazzaudiofanさんがAMAZONのレビューコーナーに書き込んでおられますので、ここに再掲させていただきます。

2005年9月17日にニューオーリンズのミュージシャンを救済するためのチャリティー・コンサートがニューヨークで開かれ、アメリカでは公 共テレビチャンネルで全国放映された。その演奏の一部を収録したCDがついにブルーノートから発売された。ウィントン・マルサリスのリーダーシップにより 企画されたもので、コンサートやCDの売上から得られる収益は「Higher Groundハリケーン救済基金」を通じ、被害を受けたミュージシャンや音楽業界関係者/関係企業に寄付される。
 
日本のジャズファンの皆さんで、ニューオーリンズのジャズの復興に少しでも貢献したいと思われる方はぜひCDを購入して欲しい。コンサート自体は 5時間にわたって行われたのですべての演奏が収録されているわけではないが、CDではウィントン・マルサリスを始めとして、ダイアナ・クラールノラ・ ジョーンズダイアン・リーヴスカサンドラ・ウィルソンジョー・ロヴァーノなどが参加。多彩なアルバムに仕上がっている。

 去年のハリケーン被害によるニューオーリンズの惨状には唖然とさせられましたが、やはり多くのミュージシャンも被害を受けられたようですね。ジャズの故郷復興の為、皆さん買いましょう!とはいえ勿論、お情けで買って欲しいというだけではありません。本当に素晴らしい演奏が目白押しなので是非楽しんでいただきたいと思いますし、ライブ盤にしては音質もとても良好です(輸入盤)。

 こういうイベントの常で、まずは一曲目のアップテンポの軽快な曲で観客を一気に乗せてくれます。それに続いて、ウィントンの弟子の中でも売れっ子のテレンス・ブランチャードが観客をクールダウンするが如くしみじみとしたバラード演奏を聴かせてくれます。往々にして理が勝ちすぎるウィントンの弟子にしてはエモーショナルな演奏のツボを心得た人です。
レッツ・ゲット・ロスト~ジミー・マクヒュー作品集
レッツ・ゲット・ロスト~ジミー・マクヒュー作品集

 レッツ・ゲット・ロストというアルバムでも非常に良い演奏を聞かせてくれていますが、このアルバムに客演した歌姫のうち、4,6,15の三人がここでも素晴らしい歌声を聴かせてくれます。もう風格さえ感じるダイアナ・クラール、堂々としたこれぞ正当派ライブ歌唱の見本と言うべきダイアン・リーヴスもさることながら、(自分の好みもあるのですが)LCJOをバックに歌うカサンドラ・ウィルソンの歌唱は素晴らしいです。彼女は異色な楽器とのスキャット共演に良い持ち味を出すのですが、今回は名ヴァイオリニストマーク・オコーナーフィドルとの絡みが絶品です。

 その他にもノラ・ジョーンズ(彼女はニューオーリンズでのライブをDVD化しているくらいですから思い入れが深いんでしょうね、ブルーノート所属でもあるし)、ジェームス・テイラーベット・ミドラー等楽しめる曲が揃っております。また、ジャズ演奏ではマーカス・ロバーツ・トリオが良いですね。彼等の演奏は先日石井先生宅でベルリンフィルと競演しているのを見たのですが、素晴らしかったです。今回も入魂の演奏です。
 ウィントンは今回は裏方に徹していたのか、押さえ気味です。それが効を奏したか(^_^;)、理屈抜きで楽しめる一枚です。チャリティにもなります、是非どうぞ買ってみてください。