夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を
(中略)
夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであろう
(立原道造 「のちのおもひに」より抜粋)
いきなり極私的記事ですみません。今年の同窓会は、昨年若くして逝った一人の同級生を偲ぶ会でもありました。彼を悼むために朗読した詩をここに書きとめておきたいと思います。