ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

The Rose / Amanda McBroom

rose
When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong
Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows
Lies the seed that with the sun's love
In the spring becomes the ROSE

( The Rose / lyrics by Amanda McBroom )

 先日Janis Joplin記事で少し紹介し、nemotaさんからもコメントを頂いた、彼女をモデルにした映画がThe Roseです。そのラスト、ローズの死後彼女の部屋を訪れた人たちが見たものはーーー、という感涙を絞るシーンで印象的に挿入されるのがそのものずばり「The Rose」という曲です。それまでエモーショナルなロック・ナンバーが続いていたのとは一転して静かなピアノのイントロから始まり、ベット・ミドラー

愛とは時に優しい葦を溺れさせてしまう河のようなもの、とある人は言う
愛とは時に魂を切り裂いて血を流させる剃刀のようなもの、とまたある人は言う

と、静かに語りかけるように歌いはじめる印象的なバラードでした。
ローズ
ローズ

この曲のクレジットをオリジナル・サウンドトラックのCDから引用してみましょう。

"THE ROSE" ENSEMBLE
Lincoln Mayorga: Piano
Amanda McBroom: Harmony vocal

 やや悪声系の少し癖のあるベットの声を中和するように透明感溢れるハーモニーを重ねているのは、この曲の作者でもあるアマンダ・マクブルームです。実は彼女だけでこの曲を歌っているアルバムがあります。それが冒頭の写真、「Growing up in Hollywood Town」です。ピアノのリンカーン・マイヨーガと二人の共作ということになっています。

 このピアニストの名前を聞いて心当たりのある方は、アナログ時代からのオーディオファイルでしょう。そう、ダグラス・サックスと二人でSheffield Labというレーベルを立ち上げた方です。このレーベルはダイレクト・カッティングという手法で高音質のアルバムを制作することで有名でした。当然このアルバムもそうなっています。

 A面の3曲目に「The Rose」は入っているのですが、これが結構オーディオでの再生が難しいんです。ボレロと同じように、ピアニッシモから始まりフォルテッシモに盛り上げていく曲なのでダイナミック・レンジがとてつもなく広いのです。それをコンプレッサー処理など全くかけておらず、マイクから直接ラッカー盤に刻み込むダイレクト・カッティングの手法で録音されているものですから、下手すると冒頭に歌詞を記したあたりのクライマックス部で、強音部のピアノの音やアマンダの声が割れてしまいそうになります。まあ逆に言えばうまく再生できた時の音は素晴らしいものでアマンダの声には陶然となります。
 またアナログディスクにしては驚くほどサブウーファーの効果がよく判る、超低域までのfレンジを刻み込んだ録音でもあります。これもダイレクトカッティングの特徴なのでしょう。スタジオの音のありのままが入っている、とでも言いましょうか。

 おそらくCDにはなっていないと思うので(ダイレクト・カッティングなら当然マスターテープなどというものはないはず)、アナログシステムを御持ちの方にしか楽しんでいただけないのは残念ですが、機会があれば手に入れてみてください。